ニュース

QBウィルソンは“先頭からスタートを切る”とスティーラーズHCトムリン、QBフィールズと一緒に働くことに“興奮”

2024年03月26日(火) 17:32


ピッツバーグ・スティーラーズのヘッドコーチ(HC)マイク・トムリン【AP Photo/Michael Conroy】

ピッツバーグ・スティーラーズは3月に、瞬く間にクオーターバック(QB)ルームを一新した。

ケニー・ピケット、ミッチェル・トゥルビスキー、メイソン・ルドルフのトリオがいなくなり、ベテランのラッセル・ウィルソンと控え候補のジャスティン・フィールズがチームに加入している。

重点はフィールズの“学習”にある。未開発のポテンシャルを秘めたクオーターバックであるフィールズは、シカゴ・ベアーズにとっては引きとめるべき存在になり得なかったものの、スティーラーズのヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンにとっては信じられないほど魅力的な存在だ。

トムリンHCは現地25日(月)、フロリダ州オーランドで開催された年次リーグミーティングのAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)コーチ朝食会で、フィールズについて次のように語った。

「彼からは才能とポテンシャルがにじみ出ているよ。彼はフランチャイズクオーターバックとしての責任を背負っているが、まるでコミュニティの一員のような雰囲気の中で、10年以上クオーターバックとして活躍してきた選手から学ぶ機会を得た。まだ掘り下げられる価値がある。その可能性を引き出す一端を担えることにワクワクしているんだ」

フィールズが学ぶ相手は、スーパーボウル優勝経験と、9回のプロボウル選出を誇るウィルソンだ。ウィルソンは自分自身の再出発を必要としており、スティーラーズでその機会を見つけ、先発としての役割を担うことが期待されている。

元ドラフト1巡目指名のフィールズのような才能ある選手をトレード経由で獲得し、そのフィールズをバックアップの役割に追いやることは短絡的に思えるかもしれないが、フィールズはおそらくNFLに32ある先発QBの仕事の一部であるプレッシャーのかかる重圧から解放されて時間を過ごすという恩恵を受けることができる。また、スティーラーズはどちらのクオーターバックに対しても財政的に大きな負担を負っていない。ブロンコスはウィルソンの2024年のサラリーの大半を支払う一方で、フィールズはルーキー契約の最終年を過ごしている。

クオーターバックについての決断の動機はお金ではない。2024年はスティーラーズにとって最も競争力のあるチームを編成することがすべてであり、今シーズン以降、フィールズがよりよいオプションとして浮上すれば、長期にわたってフィールズを維持する可能性もある。

トムリンはこう説明している。

「いや、私たちは競争に抵抗しているわけではないが、ここ最近何度も申し上げたように、この試合に臨むにあたり、ポジションの確立が適切だと考えている。ラッセルは先頭からスタートできる位置に立っている。なぜそんな表現をするかって? それは正式に仕事をしていないこの時期には、有益な表現だと思うからだ。彼はナショナル・フットボール・リーグでの経験がある。彼の準備プロセスは、12カ月間のカレンダーを通じて磨かれ、完成されてきた。それは彼にとってだけでなく、チーム全体にとっても、レシーバー、タイトエンド、ランニングバックにとってもいいことだ。本当に勝利にコミットしている人たちが、この時期に実践していることのすべてだ」

「ラッセルにはそのようなリソースがあり、体制が整っているから、彼は先頭からスタートを切る位置に立っているんだ。この時期にはいい相乗効果が生まれると思う。いざ競争が始まったら、トレーニングキャンプのような環境になったり、プレシーズンのスタジアムなどに行ったりするが、もちろんジャスティンには彼自身の能力を示す機会が与えられるだろう」

バックアップ選手の育成は、ベテラン選手と同じ部屋に入れて浸透圧で成長を促す、といった単純なものではない。ニューヨーク・ジェッツは2023年、アーロン・ロジャースとザック・ウィルソンの2人からこの教訓を学んだ。しかし、ラッセル・ ウィルソンはデンバー・ブロンコスで失敗した後、ウィルソン自身のキャリアの極めて重要な岐路に立っている。ウィルソンがスティーラーズのユニフォームを着て、突然オールプロになれる保証はない。

幸運なことに、スティーラーズにはつい1カ月前には存在しなかった複数の選択肢が用意されている。ジェネラルマネジャー(GM)であるオマール・カーンはクオーターバックの不確実性という荒波をうまく切り抜け、2024年に向けて楽観的な気分でトムリンHCを送り出した。

しかし、トムリンHCにはまず、元ドラフト1巡指名選手のピケットをスティーラーズから送り出すことを含む、この大幅な変更を促した理由を説明する必要があった。

トムリンHCは次のように述べている。

「ラッセルを獲得した直後の数日で、ケニーから環境を変えたいという希望があった。前にも言ったように、私たちはシカゴとかなり円滑的なコミュニケーションをとっていた。その方向性が見えてから、ドミノが倒れ始め、ケニーをフィリー(フィラデルフィア・イーグルス)に送り出し、ジャスティンを獲得するために必要な取引を行った。ラッセルとジャスティンを獲得できたことにワクワクしている。スタートを切るのが待ちきれない」

スティーラーズはベン・ロスリスバーガーが2021年シーズンを最後に引退した瞬間から、その後釜を探していた。スティーラーズはピケットで空振りしている。しかし、わずか数週間で、フランチャイズに新たな希望をもたらすのに十分なほど効果的な再調整を行った。

最終的な結果はまだわからない。ウィルソンは新しい攻撃コーディネーター(OC)アーサー・スミスの指導の下でキャリアの再生を遂げ、ブロンコスで望んだような新たなホームをスティーラーズに見出すかもしれない。あるいは、フィールズを中心とした未来に向けた橋渡し役のクオーターバックにとどまる可能性もある。

もし両方ともうまくいかなければ、第3の選択肢となる。しかし、それはスティーラーズが今すぐ対処すべき問題ではない。その代わりに、スティーラーズはトムリンHCを明確に元気づけている2人のクオーターバックと共に取り組み、答えを見つけることを望んでいる。

【KO】