NFLが2024年シーズンに向けて12種類の新ヘルメットを選手に提供
2024年04月10日(水) 14:11ヘルメットの技術革新のスピードが上がり、多くのメーカーが専用ヘルメットを提供するようになったことで、NFL選手たちは次のシーズンから12種類――ラインマンおよびクオーターバック(QB)向けに作られた8種類を含む――の新ヘルメットを使えるようになる。
NFLとNFLPA(NFL選手会)によると、両者が共同で実施した臨床試験では、2024年に向けて作られたヘルメットのうち5つが、これまでNFLで着用されてきたどのヘルメットよりも優れた性能を示したという。クオーターバックは2種類のヘルメットから選択することになる。1つは『Vicis(バイシス)』社製、もう1つは『Riddell(リデル)』社製で、クオーターバックが脳しんとうを起こす主な原因となる、頭部を地面に打ちつけた際の衝撃を軽減するように設計されている。
ヘルメットの臨床試験を行なっている『Biocore(バイオコア)』社のシニア・メカニカル・エンジニアであるアニー・ベイリー・グッドは「さまざまなスタイルの選択肢が増えることは、ヘルメットの外側からも内側からも、ヘルメットの採用を決める選手にとって大きな意味を持つでしょう」と述べた。
クオーターバック専用ヘルメットが初めて導入された昨シーズン、9人のクオーターバック――全員が先発なわけではない――がそれを着用。自分たちが最も受ける可能性が高い、額とヘルメット前面に対する衝撃を軽減するために特別に設計されたヘルメットを使用したオフェンシブラインマン(OL)とディフェンシブラインマン(DL)の数は20人だった。次のテストでは、ディフェンシブバック(DB)とワイドレシーバー(WR)が受ける衝撃に対応したヘルメットの性能も測定される予定だ。2025年には、これらのポジショングループに対して、どのヘルメットが最も適しているかという情報が提供されることが期待されている。
ポジションに特化したヘルメットは、2022年にラインマン用として初めて導入されたが、選手たちは今のところ、その受け入れに手間取っている状態だ。新しいヘルメットのフィット感、感触、見た目に対する懸念が、選手たちが受け入れに消極的な理由となっている。
NFLのコミュニケーション・広報および政策担当副社長のジェフ・ミラーは「もちろん、私たちはその数を増やしたいと思っている。これらのヘルメットは臨床試験で非常に優れたパフォーマンスを示しているからね」と述べ、こう続けた。
「現在は十分な種類のモデルがあり、それらのモデルを製造しているメーカーもある。選手たちが本当に気に入ったものや自分に合ったものを見つけ、シーズンを通して着用できることを願っている。コーチやアスレチックトレーナー、選手たちがこのオフシーズンに、より新しくて性能の良いヘルメットを使用することが、大きなポイントになるだろう」
NFLとNFLPAは毎シーズン、臨床試験で判明したヘルメットの性能の順位を示すポスターと、NFL選手に使用を推奨しないヘルメットおよび使用を禁止するヘルメットのリストを作成している。今シーズンはオフェンシブラインマン用、ディフェンシブラインマン用、クオーターバック用の3種類のポスターも用意され、ヘルメットを選択するための情報を選手に与えている。
The annual helmet testing by the NFL and NFLPA is complete. 12 new helmets to choose from including 8 position specific ones for QB, OL and DL. And six performed so well players wearing them will be exempt from wearing Guardian Caps in practice. pic.twitter.com/c9Gdcogi3z
— Judy Battista (@judybattista) April 9, 2024
「NFLとNFLPAによる毎年恒例のヘルメットテストが終了。QB、OL、DL用の8つのポジション別ヘルメットを含む、12種類の新ヘルメットから選択可能。性能が非常に良い6つのヘルメットを着用する選手は、練習中のガーディアンキャップの着用が免除される」
現地9日(火)に発表された新しい総合ポスターには、これまでに使われてきたどのヘルメットよりもテストの結果が良かった5つのヘルメットが載せられている。テストで非常に良い性能を発揮した6つのヘルメットを着用する選手は、トレーニングキャンプやコンタクト練習の際に着用が義務づけられている、ヘルメットの上からかぶって衝撃を吸収するソフトシェルキャップであるガーディアンキャップの着用が免除される。その6つのヘルメットは以下の通りだ。
・Riddell Axiom 3D QB
・Riddell Axiom 3D
・Riddell Axiom 3D OL/DL
・VICIS Zero2 Trench Matrix ID 2024
・VICIS Zero2 Trench LP Matrix ID 2024
・Xenith Orbit Pro
特に夏の練習中、キャップをつけると暑いと不満を漏らす選手もいるため、その着用が免除されることは、選手がより性能の高いヘルメットを選ぶきっかけになるかもしれない。
今年は6つのヘルメットが新たに使用禁止となり、さらに5つのヘルメットが“奨励しない”カテゴリーに移された。それらのヘルメットはいずれも、ほんの数年前までトップクラスの性能を誇るヘルメットとみなされていたものだ。これは、デザインにおいても素材においても、テクノロジーがいかに急速にヘルメットを変化させつつあるかを示す一例だと言えよう。
今年のテストでトップクラスの性能を持っていると評価されたXenith Orbit Proは、他のヘルメットよりも0.5ポンド(約227g)軽い。今後の数年間ではさらに劇的な変化が起こる可能性が高く、フェイスマスクには大きな変化がもたらされると予想されている。
【RA】