コラム

数々のイベントで彩られる第52回スーパーボウル

2018年01月28日(日) 09:46


USバンク・スタジアム【Kirby Lee via AP】

第52回スーパーボウル特集

現地2月4日(日)、ミネソタ州ミネアポリスのUSバンク・スタジアムで第52回スーパーボウルが開催される。出場チームも決まり、いよいよ現地は盛り上がり始めているようだ。たった1試合にもかかわらず、ミネアポリスやその双子都市セントポールなど地元地域に与える経済効果は消費者支出だけで2億5,000万ドル(約275億円)、全体では4億1,700万ドル(約459億円)と見積もられている。これは試合そのものだけでなく、スーパーボウルウイークと呼ばれる試合前の1週間以上に渡ってさまざまなイベントが催され、数万人に達する訪問者が楽しむからだ。

まずスーパーボウル開催地の恒例イベントがNFLのテーマパーク、スーパーボウル・エクスペリエンスだ。今回はミネアポリスのダウンタウンにある大型展示場、ミネアポリス・コンベンションセンターを会場に1月27日(土)から29日(月)、31日(水)から2月4日(日)の日程で開催される。会場では40ヤードダッシュやパス、キックの体験アトラクション、ビンス・ロンバルディ・トロフィの展示、NFL選手のサイン会など多彩な催しが行われ、誰もが楽しめるイベントだ。

もうひとつ、やはりスーパーボウル恒例となっている大型イベントがスーパーボウル・ライブである。ミネアポリスのダウンタウンにある大通りを6ブロックに渡って封鎖して行われる音楽ライブを中心とした屋外イベントだ。26日から4日まで連日開催される予定で、グラミー賞受賞の人気デュオ、ジャム&ルイスなど数々のアーティストが毎日出演することになっている。特に29日はミネソタ出身で名曲“パープル・レイン”などで知られる故プリンスに捧ぐ“プリンスナイト“が行われるとのこと。音楽以外にもスノーモービルによるアクロバット披露や体験アトラクションなども予定されている。

グルメイベントもある。3日に開催され、今回27回目を迎えるテイスト・オブ・ザ・NFLだ。NFLチームの本拠地から32人の有名シェフが集まり、地元にちなんだ料理を披露するパーティーイベントである。寄付を目的にしており、これまで2,500万ドル(約27億5,000万円)を集めたという。

娯楽イベントばかりではない。地元企業と就職希望者をマッチングするビジネス・コネクト・セレブレーションや女性の人材育成を目指した“イン・ザ・ハドル”と題した女性サミットも開催される予定だ。

さらに今年3回目となるのが“ファースト・アンド・フューチャー”と名付けられたコンテスト。これはフットボールという競技自体と選手の安全を向上させるアイデアを競うものだ。脳しんとう問題などもあり、このコンテストの優勝企業には注目が集まるようになっている。今回は選手のパーフォーマンス向上、用具の改善、回復速度向上技術の3分野で競われており、2月3日にミネアポリスのガスリー劇場で最終審査が行われ、各部門の優勝者には5万ドルの賞金とスーパーボウルのチケット2枚が贈られる。

一方、まさにスーパーボウルウイークの幕開けを告げるのが29日夜のスーパーボウル・オープニングナイトだ。これはもともとメディアデーと呼ばれていたもので、通常はスタジアムなどの会場で出場チームの全選手、コーチ、オーナーなどが出席し、各1時間報道陣からの質問を受けるのが特徴。2,000人上の報道陣が集い、普段はNFLを専門としないエンターテイメント系などのメディアまでもが殺到する。さらに突飛な扮装をしてNFLと関係のない質問をするメディアが出るのも恒例だったりする。近年は改名され、チケットを販売してファンがスタンドから取材の様子を見ることができるようイベント化された。今回はセントポールにあるNHLミネソタ・ワイルドの本拠地エクセル・エナジー・センターで開催される。どんな質問と回答が出るか楽しみだ。

その後、30日から1日の3日間についても両チームの記者会見が1時間15分ずつ設定されている。これも恒例のものだが、例年はチームの宿泊するホテルで行われるのに対し、今回は郊外にあるアメリカ最大のショッピングモール、モール・オブ・アメリカ内のアトリウムが会場となっている。いつもとは少し違った光景が見られるかもしれない。またペイトリオッツは31日と1日に関して会見時間を通常の朝ではなく、2年連続で夕方に設定している点も目を引くところだ。

3日には前述のテイスト・オブ・ザ・NFLなど多くのイベントが行われるが、中でも注目度が高いのがNFLオナーズだろう。これはシーズンMVPやウォルター・ペイトン・マン・オブ・ザ・イヤーなど数々の賞の授賞式だ。今年の殿堂入りメンバーの発表も行われる。スーパーボウルのイブを輝かせることになるだろう。

こうした数々のイベントによって彩られた2017年シーズンのクライマックス、第52回スーパーボウルを満喫したい。

第52回スーパーボウル特集

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。