コラム

第51回スーパーボウル:ペイトリオッツの奇跡的な大逆転劇の裏に革新的な照明技術

2018年11月06日(火) 16:39

ニューイングランド・ペイトリオッツのジュリアン・エデルマン【AP Photo/Charlie Riedel】

2017年2月5日にテキサス州ヒューストンのNRGスタジアムで開催された第51回スーパーボウルは、AFC王者ニューイングランド・ペイトリオッツとNFC王者アトランタ・ファルコンズが対戦し、スーパーボウル史上初のオーバータイム(OT)でニューイングランド・ペイトリオッツが奇跡的な大逆転で勝利した歴史的試合となった。

その大逆転を生んだ奇跡のドライブにおいて、ペイトリオッツのワイドレシーバー(WR)ジュリアン・エデルマンがキャッチしたパスに対し、ファルコンズは判定の確認を求める“チャレンジ”を申し出た。

チャレンジの対象になったのは、第4クオーター残り2分27秒のプレーだ。8点差で、ペイトリオッツのクオーターバック(QB)トム・ブレディが自陣36ヤードからエデルマンに投じたパスは、4人の選手が交錯する中、エデルマンがチップしたボールを地面すれすれでキャッチしたように見えた。しかし、これをパス失敗と主張したファルコンズがチャレンジを申請、勝敗を分けるビデオ判定が実施されたのである。

テレビ画面にはスーパースロー映像が繰り返し流されたが、衝撃だったのはその映像の鮮明さだ。スーパースローでありながらボールがはっきりと確認できる。実は、これには照明会社のテクノロジーが大きく貢献している。

NRGスタジアムに設置された照明は『Musco Sports Lighting(モスコ・スポーツ・ライティング)』社製で、1976年創業の同社はスポーツ施設の照明一筋という老舗企業であり、世界の多くのスポーツ専用スタジアムがその照明システムを導入している。モスコ・スポーツ・ライティングの照明技術は、スタジアムの影を徹底的になくすように、LEDライトのレンズの角度や照準点を1つひとつ調整し、完璧な照明環境を実現する。

NGRスタジアムでは480個の照明ユニットがフィールドを照らしているが、それぞれのユニットに内装されているLEDライトは1個単位で最適なレンズや光の向きを決めるバイザーが選択され、フィールドに最も効率的に光を照射している。無駄のない配置技術とLEDによる消費電力の削減によって、通常のスタジアムの半分程度の設備でも十分な効果を発揮できるのだ。

さて、試合の結果は周知の通り、エデルマンの「キャッチ」成功の判定は覆らず、奇跡のドライブで史上初のオーバータイムを制したペイトリオッツが34対28で第51回スーパーボウルの勝者になった。スーパーボウルは新しいテクノロジーを知る上でも世界ナンバーワンのイベントと言えるだろう。

NFLJapan.comスタッフ
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