コラム

エンターテインメントイベントとしても成長するスーパーボウル

2019年01月13日(日) 10:40


オープニングナイトに参加したフィラデルフィア・イーグルス【AP Photo/Eric Gay】

現地2月3日(月)、ジョージア州アトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで第53回スーパーボウルが開催される。全米で1億人以上がテレビ中継を見る人気ぶりに、スーパーボウルはアメリカ最大のスポーツイベントとも称される。ただ、近年は試合以外のエンターテインメント性も高い巨大イベントとしての規模と人気も拡大させている。

まずスーパーボウルまでの1週間、スーパーボウルウイークの始まりを告げるイベントがスーパーボウルオープニングナイトだ。スタジアムと同じ敷地内にあり、NBAアトランタ・ホークスの本拠地であるステート・ファーム・アリーナで開催されるこのイベントでは、出場2チームの全選手、コーチ、オーナー、スタッフなどが登場し、2,000人を超す取材陣からの取材を受ける。チケットが販売されており、来場したファンはその様子を見たり、チアリーダーたちのパフォーマンスを楽しんだりできるようになっている。

恒例となったNFLのテーマパーク、スーパーボウル・エクスペリエンスもスタジアムと同じ敷地内にある大型展示場、ジョージア・ワールド・コングレス・センターで1月26日から2月2日まで開催される予定だ。

また、スーパーボウルの音楽ライブイベントとして定着しているのが、スーパーボウル・ライブである。無料の野外イベントであるスーパーボウル・ライブはスタジアムから近いアトランタのダウンタウンにあるオリンピック・パークを会場に、やはり1月26日から2月2日まで(29日と30日を除く)開催され、連日、地元アトランタを拠点とする多数のアーティストやDJがライブパフォーマンスを披露する。

さらに今回、初めてスーパーボウル・ミュージックフェストと題した音楽イベントも開催されることとなった。これはNFL傘下のイベント会社、オン・ロケーション・エクスペリエンセズが主催し、ビールのバドライトが冠スポンサーとなって行われるもの。ステート・ファーム・アリーナを舞台に1月31日から2月2日までの3夜、エアロスミスやブルーノ・マーズ、カーディ・Bなど人気バンド、アーティスト6組が出演し、3日間で4万5,000人を超す集客が期待されている。

オン・ロケーション・エクスペリエンセズのジョン・コリンズCEOは初開催にあたり、「この特別な3夜の音楽体験はスポンサーに素晴らしいエンゲージメントとアクティベーションの機会を提供し、アトランタのファンに特上の音楽タレントを体験してもらいたいと願う企業クライアントにアピールするでしょう」とコメントしている。

この他にもNFL各チームの本拠地に拠点を置く有名シェフが集結し、自慢の料理を振る舞うグルメイベント、テイスト・オブ・ザ・NFLも2月2日に開催予定だ。

スーパーボウルウイークに行われるのはこうしたNFL公式イベントばかりではない。企業などによるパーティーがそれこそ無数に開催されるのが恒例となっている。その中でも今回特に注目されているのが元NBAのスター選手で殿堂入りしているシャックこと、シャキール・オニール氏が主催する「シャックズ・ファンハウス」だ。

このイベントはアトランタ郊外、MLBアトランタ・ブレーブスの本拠地、サントラスト・パークのコンコースを貸し切って2月1日に開催される。昨年3月にマイアミで初開催されたイベントをアトランタで行うことについてオニール氏は「過去15年、100万回もスーパーボウルパーティーに参加したけど、どれもつまらなかった。今回はアトランタだからアトランタにパーティーを持ち込むことにした。何か大きいことをしたいと思った。だから友達を呼んだんだ」と意気込みを語っている。

音楽フェスティバルとカーニバル、サーカスが融合したものと呼ぶ通り、ミーゴスやT-ペインといったラッパーが出演する一方で世界的サーカス集団シルク・ドゥ・ソレイユや有名レストランなども出演、出店するということだ。

このように公式、非公式イベントが多数開催されることで、スーパーボウルはまさにスポーツを超えたアメリカを代表するエンターテインメントイベントに成長しているのである。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。