ランキングに見るシーズンへの期待
2019年09月07日(土) 10:33いよいよ開幕した2019年NFLシーズン。全てのファンの期待はまさに絶頂に達しているだろうが、そんな期待度を示すデータが関連企業から発表されている。
まず試合チケットの販売量や需要についてのランキングを発表したのがチケット2次流通企業のStubHubだ。同社によれば8月22日時点でチケット販売額が最も多いのはカウボーイズだという。カウボーイズはこのランキングにおいて5年連続でトップとなっている。カウボーイズは第30回スーパーボウル以降優勝できておらず、2010年以降でプレーオフには3回しか進出していないのに、この人気ぶりはさすが「アメリカズチーム」というニックネームを持つだけのことはあると言えるだろう。
また昨年と比べても販売額は64%も増えており、2位のパッカーズよりも54%も多い。これは昨シーズン地区優勝をしただけにファンの期待が一層高まったおかげだろうか。
さらにカウボーイズはStubHubの親会社でインターネットオークション大手のeBayの2018年7月から今年7月までの関連グッズ販売額ランキングでもトップだった。
期待の高まりという点ではStubHubのチケット販売額前年度比ランキングが顕著だ。最も販売額を伸ばしたのはブラウンズでなんと300%増である。これは一昨年の全敗から、昨シーズンはクオーターバック(QB)ベイカー・メイフィールドの活躍もあって7勝8敗1分の成績を残した上、オフシーズンにワイドレシーバー(WR)オデル・ベッカムなどが加入し、強力な布陣となったことが背景にある。
ブラウンズは販売額ランキングでも6位となったが、10位以内に入ったのは初めてだ。
販売額前年度比で2位はチーフスで、こちらも280%アップと急増している。チーフスは昨シーズンQBパトリック・マホームズがMVPを受賞する活躍を見せ、AFCチャンピオンシップに進出した。
やはりブラウンズとチーフスには今シーズン、一層の躍進を期待するファンが多いことが如実にわかる。
では販売額ランキングの上位はどんなチームか。カウボーイズに続く2位はパッカーズ、3位が開幕戦を戦ったベアーズで、4位がペイトリオッツだった。いずれも昨年より20%以上販売額が増えたという。この点について今年がNFL設立100周年にあたり、さまざまな行事が開催されることからファンが歴史あるチームへの関心を高めているためと同社は分析している。
対して個々の試合のチケット販売額ランキングで1位になったのは、パッカーズがベアーズを下した5日のシーズン開幕戦だった。2位が10月6日のパッカーズ対カウボーイズ、3位が9月16日のバイキングス対パッカーズ、4位が9月8日のサンデーナイトフットボール、ジャイアンツ対カウボーイズ、5位も同じ9月8日のサンデーナイトフットボール、スティーラーズ対ペイトリオッツだった。シーズン前半が多いのは試合が近くなってから買う傾向があるためだろうが、チームの情勢を見極めたい気持ちもあるのかもしれない。
ロンドンやメキシコで開催されるアメリカ以外でのインターナショナルゲームの関心も高まっており、StubHubによれば昨年より販売額が55%増えているという。さらにロンドンでの試合に関しては35カ国から購入されたという。最も人気があるのは10月6日にロンドンで行われるベアーズ対レイダースだということだ。
一方、eBayでのチーム別グッズ販売額ランキングでカウボーイズに続くのはペイトリオッツで、3位スティーラーズ、4位イーグルス、5位ベアーズだった。
選手別グッズ販売額ではペイトリオッツのQBトム・ブレイディがトップとなっている。ブレイディはアメリカだけでなく、メキシコ、カナダ、イギリスでもトップとなっており、国際的なスター選手であることを示した。
選手別では2位がセインツのQBドリュー・ブリーズ、3位がパッカーズのQBアーロン・ロジャース、4位がカウボーイズのランニングバック(RB)エゼキエル・エリオット、5位がブラウンズのWRベッカムだった。10位までにQBが5人、入っており、やはり花形ポジションであることがわかる。
ebayはメキシコ、カナダ、イギリスのチーム別販売額上位3位も発表している。メキシコはペイトリオッツ、カウボーイズ、スティーラーズの順で、カナダはチーフス、ペイトリオッツ、スティーラーズ、イギリスはペイトリオッツ、ベアーズ、レイダースだった。国によって違いがあるのが興味深いが、いずれにもペイトリオッツが入っているのはやはり長年に渡り強豪チームであり続けていることのおかげだろう。
このように数字からさまざまな期待と関心が読み取れる今シーズンはどんな激戦が繰り広げられるだろうか。
わたなべ・ふみとし
- 渡辺 史敏
- 兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。