スターQBキャム・ニュートンの受け入れ先は?
2020年03月30日(月) 01:302011年ドラフト全体1位指名選手であり、2015年にNFLのMVPに輝いたクオーターバック(QB)キャム・ニュートンがパンサーズから解雇され、正式にフリーエージェント(FA)となった。
今季からデビッド・テッパー新体制になるパンサーズは早くからニュートンの放出を決断し、チームとの契約が1年残る彼をトレードしようと試みてきた。しかし、サラリーキャップに反映する額が2,100万ドル余りと高額なことが災いしてか、トレードの打診に応じるチームはなかった。
FAとなったことでパンサーズ時代の契約を引き継ぐ必要がなくなったから、チームにとっては少しだけ獲得交渉がしやすくなった。しかし、実際にはニュートンにとって新チームで先発QBの座を獲得するのは極めて難しくなった。
新QBを必要としているチームはいくつかあるが、例えばトム・ブレイディと契約したバッカニアーズやニック・フォールズをトレードで獲得したベアーズのように各球団の動きは早い。ベンガルズもアンディ・ダルトンに代わるQBを必要としているが、ドラフト全体1位指名権を持つため、ドラフトの人材を求める方針だ。
パンサーズの前ヘッドコーチ(HC)で現在レッドスキンズで指揮を執るロン・リベラの下にはかつての教え子たちが集まっている。しかし、QBは古巣のパンサーズからカイル・アレンをトレードで受け入れたばかり。さらにレッドスキンズもドラフトで2位指名権があるのでニュートン獲得に乗り出すことはないだろう。
可能性があるとすればフィリップ・リバースを放出したチャージャーズか。現状ではタイロッド・テイラーがトップQBだが、ニュートンの身体能力が高く評価されればファンも呼び込む効果が期待できるし、獲得もあり得るだろう。
そこで気になるのはニュートンのコンディションだ。過去2年間は故障で満足なプレーができなかった。一時期はわずか10ヤードのパスすら投げることができないほど肩の負傷はひどかった。果たしてそれが改善されているのかどうか。全盛期のニュートンなら確実に興味を示すチームでも、二の足を踏まざるを得ないのはこれが最大の理由だ。
ニュートンは体調万全をアピールし、まだまだNFLで現役を続行することに意欲を見せている。それに応じるチームが出てくるか。新型コロナウィルスの影響でFA市場が活況とは言えないなかで、ニュートンの将来もまた楽観できない状況にある。
いけざわ・ひろし
- 生沢 浩
- 1965年 北海道生まれ
ジャパンタイムズ運動部部長。上智大学でフットボールのプレイ経験がある。『アメリカンフットボールマガジン』、『タッチダウンPro』などに寄稿。NHK衛星放送および日本テレビ系CSチャンネルG+のNFL解説者。著書に『よくわかるアメリカンフットボール』(実業之日本社刊)、訳書に『NFLに学べ フットボール強化書』(ベースボールマガジン社刊)がある。日本人初のPro Football Writers Association of America会員。