コラム

NFLが国内向けに自前のストリーミングサービスを開始か

2022年04月18日(月) 08:36

NFLロゴ【Aaron M. Sprecher via AP】

NFLがアメリカ国内向けに自前のストリーミングサービスを開始することを検討している模様だ。現地3月28日にオンラインスポーツニュース『フロントオフィススポーツ』に対し、NFLのブライアン・ロラップ最高メディア・ビジネス責任者が語ったもの。

このサービスは暫定的に『NFL+』と呼ばれており、リーグはこれらの権利をライセンスする企業との話し合いを続けているという。

サービスに加入すると、ユーザーはケーブルテレビに加入することなく、モバイル機器から試合をストリーミング視聴できるようになる。試合中継だけでなく、ラジオ、ポッドキャスト、チームのコンテンツが含まれる予定だ。料金は月額5ドル(約633円)程度になると見込まれている。

アメリカ国内向けのストリーミング配信に関しては当初は公式携帯電話スポンサーであるベライゾンが独占契約を結んでいたが、全ての携帯電話向けに拡大され、さらにはヤフーを通じてタブレットやノートパソコン向けにも配信していた。

NFLは昨年、11年間で1,100億ドル(13兆9,231億9,500万円)に達するテレビ放映権契約をバイアコムCBS、NBCユニバーサル、ディズニー、Foxとの間で結んだばかりだ。またアマゾンもサーズデーナイトフットボール(TNF)の独占配信について今年から2033年まで年10億ドル(約1,265億9250万円)で契約を結んでいる。NFLネットワークも複数の試合を独占放映し続けてもいる。

その一方で地元地域以外の試合が見られるパッケージ『NFLサンデーチケット』の配信権やNFLネットワーク、NFL.comを含むNFLメディアの株式売却にも乗り出している。

このメディア資産にはアマゾンとアップルが興味を示しており、現在交渉が続けられている模様だ。取引にはNFL+が含まれる可能性もある。

ロラップ氏は地元の試合について独自のサービスを開始するか、そのコンテンツをライセンス供与するかなどの決定は、2022年のシーズン開幕まではかかるだろうと発言している。

北米以外へのストリーミング配信についてNFLはこれまで有料サービスのNFLゲームパスを展開してきた。NFL+が開始される場合、ゲームパスが継続されるのか、統合されることになるのかなど、その影響も気になるところだ。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。