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NFLチーム研究所シーズン2:Week 1 - ダラス・カウボーイズ

2017年12月10日(日) 02:12



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カウボーイズが1960年の設立時に本拠地に選んだのはダラス市内に建つコットンボウルだった。

コットンボウルは1930年オープンの屋外型スタジアムで、サザン・メソジスト大学(SMU)が1932年からホームとしていた他、カレッジの4大ボウルゲーム、コットンボウルの開催地としても知られていた。

同スタジアムは9万2,000人を超える収容力のある大型スタジアムだが、1960年代半ばになるとカウボーイズの創設オーナー、クリント・マーチソンはスタジアム周辺地域の治安が良くなく、そのことがシーズンチケットの売り上げにも響くと考え、別の地区に新しいスタジアムの建設を考えるようになる。当初はダラスのダウンタウンに地方債を使って新スタジアム建設を望んだが、市長がこれを拒否。そのため1967年にマーチソンと当時のテックス・シュラムGMはダラスの郊外、アービング市に新スタジアム建設を発表した。

こうして建設され、1971年にオープンしたのがテキサス・スタジアムである。6万5,675人を収容できた同スタジアムの最大の特徴は屋根がスタンド上部をぐるりと全周に渡り覆っているものの、フィールド部分が開口部になっていたことだ。“ホール・イン・ザ・ルーフ(屋根に開いた穴)“と呼ばれたこの開口部が設けられたのは、当初NFL初の開閉式屋根を設置する計画だったことに由来する。しかし、その重量に耐えられないことが判明し、設計が変更された。このデザインを見て当時のラインバッカー(LB)D.D.ルイスは「テキサス・スタジアムの屋根に穴があるのは、神様が最も好きなチームのプレーするところを見られるようにしたためだ」と語ったとも言われている。

また人工芝のフィールド50ヤードの部分にはチームのロゴマーク、ローンスターがペイントされるようにもなった。

テキサス・スタジアムは長く本拠地として使用されたが、1990年代半ばになると次第に老朽化が目立つようになり、3代目オーナーのジェリー・ジョーンズは大幅なリノベーショや隣接地、さらには他所での新スタジアム建設に向けて交渉に入った。2004年、ダラス市とやはり大都市のフォートワース市の中間にあるアーリントン市が選出され、売上税や宿泊税、レンタカー税を増税して建設費を調達することを認めた結果、新スタジアム建設を勝ち取ったのである。

当初6億5,000万ドルと見積もられていた建設費は結局13億ドル(現在の約15億ドルに相当)に達し、新スタジアムは2009年にカウボーイズ・スタジアムとして完成した。

カウボーイズ・スタジアムは開閉式の屋根を持ち、フットボールでは通常約8万人の収容力を持つ。大イベントでは収容人数を拡張でき、これまでの最高は2009年9月に開催されたジャイアンツ対カウボーイズの10万5,121人となっている。その一方で、2010年に開催された第45回スーパーボウルでは仮設スタンドの一部が当日になって安全性の問題から使用を認められず、席のないファンが発生するという事態も起こった。

またスタジアムの大きな特徴となっているのが、スタジアム中央部に吊り下げられた大型のビデオボードだ。三菱電機によるこのビデオディスプレーは最も大きな面では横幅180フィート(約55m)、縦幅72フィート(約22m)に達し、完成当時は世界最大のスタジアム・ビデオボードだった。

2013年にスタジアムのネーミングライツを携帯電話会社『AT&T』が購入したため、AT&Tスタジアムに改称された。ちなみにカレッジのボウルゲーム、コットンボウルはコットンボウル・クラシックに改称され、2010年からは開催場所をカウボーイズ・スタジアム、現AT&Tスタジアムに移している。

【渡辺 史敏】

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