ブロンコスHCペイトンとの間に「わだかまりはない」とFAのSシモンズ、強豪チームへの加入を目指す
2025年07月11日(金) 09:39
セーフティ(S)ジャスティン・シモンズは依然としてフリーエージェント(FA)のままであるため、過去を振り返る時間が多くある。
最初に思い出されるのは、約10年にわたるNFLキャリアで唯一所属したデンバー・ブロンコスでの最終シーズンをショーン・ペイトンHC(ヘッドコーチ)が指揮を執る中で過ごした経験だろう。ブロンコスは、シモンズと別れた後にようやく明るい未来に向かって進み出した。
シモンズがブロンコス時代の終わり方について今も苦々しい気持ちを抱いていたとしても不思議ではない。しかし、そのように感じていないシモンズは、元チームメイトたちがついに成功を味わえたことを喜んでいる。
『The Denver Post(デンバー・ポスト)』によると、シモンズは「俺がショーン(ペイトン)の意見を代弁することはできない」と語り、こう続けたという。
「ショーンとも、どのチーム関係者ともわだかまりはない。あそこで過ごした時間を大切に思っている。彼のことはこれからも友人であり、素晴らしいコーチだと思っている」
「ショーンのことが大好きだった。ウォルトン・ペナー(オーナーシップ)グループのことも、彼らがやっていることも素晴らしいと思っている。ビジネス上の判断は起こるものだ。選手もファンも望まないような犠牲が出てしまう時もあるし、それが現実だ。どちらもそこから成長する可能性があるし、彼らは実際に素晴らしい1年を過ごした。俺はそれをうれしく思っている」
ブロンコスが素晴らしい1年を過ごしたのは間違いなく、ロースターを刷新して若手選手を中心にチームを編成し、約10年ぶりのプレーオフ進出を果たした。特に新人クオーターバック(QB)ボー・ニックスはブロンコスをポストシーズン進出に導く素晴らしい活躍を見せ、オフェンス部門年間最優秀新人賞の候補に名乗りを挙げた。シモンズは、若さがチームの再建に不可欠だったと考えており、2024年にペイトンHCが示した方針は経験の浅い選手の方が受け入れやすかったのだろうと解釈している。
シモンズにとってブロンコスでの最終シーズンとなった2023年は、比較的悲惨な結末を迎えたように見えたが、そこからの変貌は驚くべきものだった。
自分が所属していた頃のチームとの違いを尋ねられたシモンズは「それは本当に良い質問だ」と答えている。
「というのも、俺が彼らと対戦したり、映像を見たりして感じたのは――誰かを批判するつもりはないんだけど――若いチームは自在に形作れるし、過去にいろんな方法を見て実行してきた年上の選手よりもずっと早く物事を受け入れることができる。そうだろ?」
「人がそれをどう受け取るかは自由だ。誰かを批判しているわけじゃないけど、彼らはその方針に賛同したんだ」
「ショーンは素晴らしいコーチだ。そして、そういう組み合わせがあれば、良いことが起こる。いつもそうなるとは限らないけど、良いことが起こりやすいんだ。去年の結果はチームが方針に賛同したことで生まれた副産物だったと思う。それは多くの試合に表れていた」
一方のシモンズはアトランタ・ファルコンズの一員として遠くからその様子を見守っていた。ファルコンズはシーズン終盤に方向を見失い、プレーオフ進出を逃している。
シモンズのファルコンズでの1シーズンは、ブロンコスでの最終シーズンに比べると見劣りするが、まずまずの内容だった。しかし、シーズン終盤にやむを得ずクオーターバックを変更することになったチームで奮闘しながら、シモンズは元チームメイトたちの活躍に目を向けずにはいられなかったようだ。
それは、シモンズがブロンコスで何年も追い求めていた現実だった。シモンズは激動の時代にあったブロンコスでプロボウルにも選出される安定したスター選手となったが、人生とはしばしば残酷なもので、ブロンコスがようやく復調を遂げるタイミングで、サラリーキャップの節約を理由にチームから放出された。その結果、シモンズは新たな仕事を見つけることを余儀なくされ、ファルコンズと1年契約を結ぶことになった。
やり直すチャンスがあったとしても、シモンズは何も変えないだろう。結局のところ、ブロンコスからの放出はシモンズの意思だけではどうしようもできなかったからだ。元所属チームがプレーオフ進出を果たすのを見守りながら、自身は再びポストシーズンを逃すという失望を味わったことで、シモンズは1つの目標に集中するようになっている。その目標とは、正真正銘のチームの成功を追求することだ。
「去年と同じ状況に戻れるとしても、10回中10回アトランタを選ぶと思う」とコメントしたシモンズは「でも、今の状況から見ると、どこに行きたいか、どこをホームと呼びたいかについて、前よりも少し慎重になっている。次の2年でも1年でも何でもいいんだけど、今一番重視しているのは、優勝を狙えるチームだ」と続けている。
シモンズは4月にも同じ目標を口にしていたが、契約先はまだ決まっていない。31歳という年齢を考えると、トレーニングキャンプやプレシーズンでニーズが生まれるまで待ち続けなければならない可能性もある。とはいえ、シモンズは現時点でのキャリア状況を踏まえ、自分に合った機会が訪れるまで待つことに満足しているようだ。
結局のところ、シモンズは自分に残された時間が限られていることを理解しており、2024年に経験したプロセスを繰り返すことで時間を無駄にしたくないと考えている。
【RA】