特集

歴代ベストプレー - 2つの名場面

2017年01月19日(木) 04:53
第43回スーパーボウル(2009年2月1日)

スティーラーズ vs. カーディナルス

結果:27 – 23
会場:レイモンド・ジェームス・スタジアム(フロリダ州タンパ)

第43回スーパーボウルでは2つの名場面が生まれた。

当時36歳でピッツバーグ・スティーラーズのヘッドコーチ(HC)を務めていたマイク・トムリンは、この年にHCとして史上最年少でのスーパーボウル出場を果たしている。また、両チームのクオーターバック(QB)が過去にスーパーボウルを制覇していたため、経験豊富なQB同士の一騎打ちは試合前から注目ポイントとなっていた。

AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の第2シードとしてプレーオフ出場を決めたスティーラーズは、カンファレンスファイナルで同地区ライバルのボルティモア・レイブンズを撃破してスーパーボウルに進出。対するNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)第4シードのアリゾナ・カーディナルスはベテランクQBカート・ワーナーがチームをけん引し、カンファレンスチャンピオンシップでフィラデルフィア・イーグルスを下してスーパーボウルへの切符を手にしている。

オープニングドライブではスティーラーズがQBベン・ロスリスバーガーからワイドレシーバー(WR)ハインズ・ウォードへの38ヤードパスなどでレッドゾーンまで進入。スティーラーズ攻撃陣は惜しくもここでタッチダウンを逃してしまったが、フィールドゴールで先制点を奪う。WRサントニオ・ホームズがロスリスバーガーの25ヤードパスをつなぐなどして再び敵陣まで攻め込んだスティーラーズは、ドライブの最後にランニングバック(RB)ゲイリー・ラッセルの1ヤードランでタッチダウンし、10対0とリードした。

第2クオーターに入ってカーディナルスもワーナーからWRアンクワン・ボールディンへの45ヤードパスで敵陣1ヤード地点までボールを進め、タイトエンド(TE)ベン・パトリックがエンドゾーンでワーナーの1ヤードパスをつなげて反撃のタッチダウンを奪う。

この試合一つ目の名場面は、前半終了直前に起こった。残り時間が少ない中、またも敵陣1ヤード地点まで前進したカーディナルスだったが、ここでワーナーが相手アウトラインバッカー(OLB)ジェームス・ハリソンにパスをインターセプトされ、そのままリターンタッチダウンを決められてしまう。何度も倒れそうになりながら必死にエンドゾーンに向かってボールを押し込もうとするハリソンの姿は、多くのファンの記憶に焼き付いているだろう。

ハリソンのリターンタッチダウンによりスティーラーズが17対7とリードした状態でスタートした後半は、スティーラーズがロングドライブの末にフィールドゴールを成功させてリードを13点に広げた。最終クオーター中盤には、ワーナーからWRラリー・フィッツジェラルドへの1ヤードパスでスコアしたカーディナルスが猛反撃を開始する。その後もフィッツジェラルドがワーナーの64ヤードパスをつなげ、カーディナルスが逆転タッチダウンに持ち込んだ。

タイムアウト2つと2ミニッツウォーニングを残してボールを手に入れたスティーラーズは、ロスリスバーガーからホームズへのロングパスで一気に敵陣4ヤード地点へ。タッチダウンを決めれば逆転となる場面で、スティーラーズが選択したのはセカンドダウンでのパスプレーだった。ロスリスバーガーがエンドゾーン奥に向けて放ったパスを見事にキャッチしたホームズは、全身を思い切り伸ばしてボールをつかみ、両つま先で着地する。これがタッチダウンと判定され、スティーラーズが逆転。スローで何度見ても信じがたいホームズのキャッチは、スーパーボウル史に残る名キャッチと言って良いだろう。

最後の最後に見事な逆転劇を披露したスティーラーズが、この試合で6度目のスーパーボウル制覇を成し遂げた。HCトムリンにとっては史上最年少での、そして、QBロスリスバーガーにとっては2度目のスーパーボウル優勝だった。