夏休みを過ごしていたミネソタ・バイキングスのヘッドコーチ（HC）ケビン・オコンネルに、その時期としては珍しく早朝に電話がかかってきた。新人コーナーバック（CB）カイリー・ジャクソンの急死を知らせる恐ろしい電話によって、夏休みの週末は最悪なものとなっている。

ドラフト4巡目で指名を受けたオレゴン大学出身のジャクソンは今週、他の新人選手たちと共にトレーニングキャンプに集合するはずだった。

しかし、オコンネルHCは現地22日（月）に臨んだ記者会見で、試合には一度も出場できなかった24歳の社交的なジャクソンを追悼する計画についてや、ジャクソンとその2人の友人――アイザイア・ヘーゼルさんとA.J.リットンさん――が7月6日に地元メリーランド州で起こった交通事故で亡くなってから、バイキングスがどれほど深い悲しみを覚えているかについて話すのに多くの時間を費やした。

ジェネラルマネジャー（GM）クウェシ・アドフォ・メンサは「彼の喜び、人生に対する姿勢、そしてその勤勉な精神を感じながら、私たちは彼をこのチーム、この文化に迎えることにとてもワクワクしていた。彼がここにいないことは悲劇だ」と話している。

ジャクソンとヘーゼルさんの葬儀は金曜日に執り行われる。バイキングスはその費用として2万ドル（約313万円）以上を寄付したと明かしており、アドフォ・メンサGMとオコンネルHCは守備コーディネーター（DC）のブライアン・フローレスやスペシャルチームコーディネーターのマット・ダニエルズ、ディフェンシブバック（DB）コーチのダロンテ・ジョーンズと共に葬儀に出席する予定だ。また、チームは数週間以内にジャクソンの家族をミネソタに招待し、バイキングスの選手やコーチと共にプライベートな追悼式を行うことになっている。

ジャクソンが着用していた31番のユニフォームと使用していたロッカーは、今季は使用されない。選手はジャクソンのイニシャルが入ったヘルメットステッカーを、コーチは同じデザインのピンバッジをつける予定だ。

日曜日には38人の選手がチーム本部に集合。その大半は新人選手、クオーターバック（QB）、リハビリ中の選手で、残りのメンバーは火曜日に到着することになっている。オコンネルHCは通常、全員がそろうのを待ってからシーズン開始の挨拶をするが、今年は最初に到着したグループと話す時間を増やし、メンタルヘルスのサポートが受けられることを改めて強調した上で、ジャクソンの身近にいた選手たちに、チームがどのように追悼するつもりなのかを説明した。

オコンネルHCは「カイリーは長くチームにいたわけではないが、私たちの文化の中では・・・選手同士が強い絆や関係を築くのにそれほど時間はかからない」と述べている。

「夏の間、ベテランのリーダーたちと対話を重ねる中で、彼らが自分たちの気持ちや考えをどう表現するかを聞いてきた。彼があれほど短い間に与えたインパクトの大きさには目を見張るものがあった」

ジャクソンがバイキングスに残す最大の影響は、人生の儚さと、選手たちのキャリアが常に不安定であることを改めて気づかせることだろう。

オコンネルHCは「私たちがこの地球上で次の1日を過ごせる保証はどこにもないということを、いろんな意味で思い知らされることになったと思う」とコメント。

「それから、悲しみに暮れる中で、カイリーとその家族にとって今回のことがどれほどアンフェアなことだったのか、“どんな感じだったんだろう？”とか“自分だった可能性もあるのか？”といったことを考えなかった選手は、あのロッカールームにいないだろう」

その点が特に強く感じられたのは、ジャクソンの訃報から1週間も経たないうちに、キャリア2年目のワイドレシーバー（WR）ジョーダン・アディソンがカリフォルニアで、飲酒ならびに薬物の影響下での運転（DUI）の疑いで逮捕されたときだろう。新人時代もキャリアで初めてのトレーニングキャンプに臨む直前にスピード違反で出頭を命じられていたアディソンは、火曜日にトレーニングキャンプに集合することになっていた。

バイキングスは今のところ、団体交渉で決められた選手行動規範に基づいて、処分に関する役割をNFLに委ねている。通常は法的手続きが完了するまでにリーグからの処分が科されることはほとんどない。

アドフォ・メンサGMは「私たちはジョーダンに対して失望しているかもしれないが、ジョーダンはそれ以上に自分に失望している」と述べ、「彼は自分に高い基準を課しており、素晴らしい家族に育てられた。彼は最高の自分になるためにどんな行動が必要か分かっている。その点で、彼は自分自身を失望させた。私たちが規律とかそういう言葉を使って話すことはあまり使わない。ここでは、自分たちが求める結果に向けて計画することが重要だ。私たちが望む結果は、ジョーダンがフィールドの内外で最高の自分になることだし、彼もまったく同じ考えを持っている」と続けた。

記事提供：『The Associated Press（AP通信）』

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