報酬が低いかについて「必ずしもそうではない」とチーフスQBマホームズ
2024年07月30日(火) 12:39複数のNFLチームでクオーターバック(QB)の契約金額が急激に上昇していることから、NFLのMVPに2回輝いたことがあるカンザスシティ・チーフスのQBパトリック・マホームズの契約金額がにわかに割安に見えるようになっている。
ただし、そうした考えをマホームズに受け入れさせようとしてはいけない。
現地28日(日)、マホームズは『USA Today Sports(USAトゥデイ・スポーツ)』に「それはフットボールというゲームにとって素晴らしいことだ」と話している。
「クオーターバックポジションにとってはもちろん、すべてのポジションにとって素晴らしいことだと思う。契約がまとまるたびに、みんな俺のAPY(平均年俸)とかそういうものを見るだろ。俺自身はかなりいい感じだ」
「結局のところ、俺にとってはとにかく試合に出て勝つこと、家族のためにお金を稼ぐことが重要なんだ。自分はそれをうまくやっていると感じている」
チーフスに2031年までとどまる契約を結び、年俸4,500万ドル(約69億3,027万円)を受け取っているマホームズは、まさにそれをうまくやっていると言えよう。10年におよぶ契約がなかなか実現しない時代において、マホームズが2020年に結んだ契約は異例中の異例だ。しかし、マホームズより実績をあげていないクオーターバック――今オフシーズンに新契約を結んだマイアミ・ドルフィンズのトゥア・タゴヴァイロアや、グリーンベイ・パッカーズのジョーダン・ラブ、デトロイト・ライオンズのジャレッド・ゴフ、ジャクソンビル・ジャガーズのトレバー・ローレンス――は、年俸の観点から見るとマホームズを上回っている。前述の4人のうち3人は、スーパーボウルMVPに3回選ばれ、スーパーボウル連覇を成し遂げているチームのクオーターバックであるマホームズよりも年俸が1,000万ドル(約15億4,006万円)も高い。
純粋に数字だけ見ると、計算が合わないということになる。しかし、実際はうわべで見るほど悲惨な状況ではない。マホームズは、ニューイングランド・ペイトリオッツのキャップスペースを温存し、その結果として一流選手であり続けるために比較的少ない報酬でプレーしていた伝説の元QBトム・ブレイディの足跡を自らたどっているのだ。また、マホームズは2023年から2026年にかけて2億1,060万ドル(約324億3,177万円)――4年間では史上最高額――の保証を受けるために、昨オフシーズンに契約を再編している。
自分の報酬が不当に低いと感じるかと質問されたマホームズは「必ずしもそうではない」と答えた。「チームは俺に多くの報酬を支払いながら良いチームを維持できるように、うまく資金を管理していると思う。何度か契約を再編して、特定の部分や特定の年にキャッシュフローを増やしたことは分かっている。そこでは、フロントオフィスやオーナーと良好な対話、良好なコミュニケーションを持つことが重要だ。俺たちはここでそれをやってきた。だから、うちは素晴らしいチームを作ると同時に、俺を高額の報酬を得る選手にすることができている」
マホームズと妻のブリタニーは、全米女子サッカーリーグのカンザスシティ・カレントのオーナーグループの一員として投資し、フォーミュラ1(F1)のアルピーヌF1チームにも出資するなど、意欲的に収入を得ている状態だ。
マホームズはリーグトップの報酬を得る選手になるために、将来的にチーフスと再び交渉することになると分かっている。しかし、それを急いでいるわけではなく、マホームズはNFLトップのフランチャイズの顔としての仕事を続けることに集中しているのだ。
そうするためには、チーフスの首脳陣と同じ考えを持っていなければならないことをマホームズは理解している。ここまでは順調だ。
「俺たちはいい仕事をしている」と語ったマホームズはこう続けている。「前回、契約を再編してお金を動かしたときに、ある年にもう一度再編を行うという話をした」
「そういう計画を立てて、常にコミュニケーションをとることが大事だ。俺たちはここでそうしている。選手たちができるだけ多くのお金を手にするのを見るのはうれしい。それはこのスポーツにとって素晴らしいことだ。でも、俺たちには素晴らしいコミュニケーションシステムがあって、俺たちはそこで自分たちにできる範囲でベストを尽くしてきたと思っている」
チーフスは2024年に前人未到の偉業、つまりスーパーボウル3連覇に挑戦する。それを成し遂げるにはあらゆるリソースが必要になるが、マホームズはそれを理解している。それは、マホームズが金銭的な部分を見過ごそうとしていることからも明らかだ。
【RA】