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NFLオーナーがプライベートエクイティファンドによるチーム株式購入を承認

2024年08月28日(水) 16:54


NFLロゴ【NFL】

NFLのオーナーたちが現地27日(火)、プライベートエクイティファンドがチームの株式――現時点では小規模なもの――を購入することを認める措置を承認した。これは所有権規則に大きな変化をもたらすもので、これまで各チームにはリミテッドパートナーを持つことは認められていたが、機関投資――すなわち、投資家から集めた資金――はオーナーシップの一部として認められていなかった。

その意味は?
チームのごく一部をプライベートエクイティファンドに売却したいオーナーが、非常に短期間で数億ドルの資金を手に入れることができるようになる。

影響がほぼないと考えられる点は?
ファンにとって顕著かつ意味を持つ形でフランチャイズの運営方法に変化が起こる可能性はきわめて低いと想定される。プライベートエクイティファンドがNFLチーム全体を買収することはない。資金の流入によってフランチャイズに対するオーナーの支出が増え、理論的にはそのチームの財政がより安定する可能性があるため、これはフットボールのビジネス面にとって重要な動きだと言える。しかし、プライベートエクイティファームの役員がドラフト会議で次のクオーターバックを選ぶわけではない。

この先、何が起こるのか簡単に説明しよう。

基本的なルール:NFLは5年間にわたってプライベートエクイティについて検討しており、昨年には専任委員会を設置して他のプロスポーツリーグがすでに取り組んでいる資産クラスについて深く掘り下げた。その結果、計画的な初めての試みが行われることになった。

プライベートエクイティファンドが所有できるのは、合計でチームの10%だ。NFLはこれからチームとの取引を許可する、プライベートエクイティファンドをすでに審査してきた。許可されたファンドには、『Arctos Partners(アークトス・パートナーズ)』や『Ares Management Corporation(アレス・マネジメント・コーポレーション)』、『Sixth Street(シックス・ストリート)』のほか、『Blackstone(ブラックストーン)』や『Carlyle(カーライル)』、『CVC』、『Dynasty Equity(ダイナスティ・エクイティ)』、殿堂入りした元ランニングバック(RB)カーティス・マーティンが率いる『Ludis(ルディス)』を含むコンソーシアムが含まれる。政府系ファンドや年金基金による直接投資は認められていない。それらのファンドがプライベートエクイティファンド全体に出資することは認められているが、その場合でも、出資比率はごくわずかなものに限られる。

チームは複数のファンドに合計10%の株式を売却できるが、それぞれの株式は3%以上でなければならない。また、1つのファンドが同時に複数のチーム(最大6チーム)の株式を保有することもできる。リーグは複数のチームの株式を保有するファンドに対し、情報開示に関する基準を設けている。

これはまさに受動的投資だ。この取引に議決権は付与されない。NFLの厳格な所有権規則は引き続き適用され、コントローリングオーナーはチームの30%を所有しなければならない。フランチャイズはリミテッドパートナーを持つことができるが、どのチームも、コントローリングオーナー、その他の個人や家族、そして今回のプライベートエクイティファンドを含め、オーナーの合計が25人を超えることは許されない。

そして、チームの株式を購入したプライベートエクイティファンドには、売却する前に6年間、投資を継続する義務がある。つまり、不動産売買のようにはいかないということだ。

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは火曜日に「これで何かが変わるわけではない」と報道陣に述べた。「これはチームの10%だ。チームの10%を提供したいチームが資本にアクセスできるようにするための、発言権のないポジションに過ぎない。彼らが意思決定に影響を与えることは一切ない。これを始めるにあたって、オーナーシップを強化することは非常に重要だった。単一オーナー制は非常に価値のあるものだと考えている。今回の措置はそれにまったく影響を与えない」

これを実施する理由は?
非常に裕福な人々にも、流動性が必要であること。既存のオーナーはチームの株式を数億ドルで売却することで、その資金をスタジアムプロジェクトや施設の改善、その他の支出に充てることができる。

さらに、評価額が急騰している中で、チームが売却される際にプライベートエクイティの参入を認めることで、入札者はチーム購入に必要な資金を集めやすくなるだろう。現在、億万長者は比較的少なく、NFLチームを購入するだけの資力と意欲を持つ人はさらに限られている。そのため、リミテッドパートナーの存在は重要になる。とはいえ、見返りとしてチーム運営に対する発言権を与えずに大きな金額を支払ってもらうよう個人を説得するのは、必ずしも容易ではない。

2023年にワシントン・コマンダースがジョシュ・ハリスと、マジック・ジョンソンを含むリミテッドパートナーたちに売却された際には、売却価格が60億ドルを突破した。今後も売却価格を上昇させ続けるためには、NFLは入札に参加するオーナー候補の数を増やす必要がある。機関投資家はリミテッドパートナーとして、個人や家族よりも売却価格の大部分を提供できる可能性が高く、チーム運営に対して意見を持つことにはほとんど興味がないため、その数は今後、拡大していくと考えられる。プライベートエクイティファンドがNFLチームに投資したい理由は、シンプルかつ明白だ。チームの価値が急上昇し、NFLのビジネスが活況を呈している中で、株式を売却すればいつでも投資家に利益をもたらすことが実質的に保証されているからだ。

グッデルは「このプライベートエクイティについては非常に慎重に進めてきた」と話している。「資本へのアクセスという点では、以前から関心があったことだと思う。他のリーグではすでに行われていることで、私たちは10%の上限を設けて導入することにした。つまり、(他リーグより)はるかに重要度の低いポジションだ。各チームに流動性を与え、ゲームやチームに再投資させるのは適切なことだと思う。私たちにとってはポジティブな展開だと考えている。すべてのチームがその機会を活用するわけではないと思うが、必要であればそうするだろう。彼らにとっては非常に良い機会だ」

今後はどうなるのか?
NFLは春にオーナーたちを対象にプライベートエクイティに関するアンケート調査を実施し、現オーナーたちの間ではプライベートエクイティ市場の活用に対する関心がある程度高まっていることが判明。この変更が即座に施行されることで、いくつかのチームは比較的早い段階で投資を求める動きに出る可能性がある。プライベートエクイティ投資が現実のものとなった今、より多くのチーム、特に家族が所有するチームは、それが自分たちの計画とどのようにフィットするかを考え始めるだろう。

次にチームが売却される際には入札額と入札数に注目だ。どちらも活発になるだろう。

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