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スティーラーズがQBウィルソンをレギュラーシーズンの先発に指名

2024年08月29日(木) 10:47


ピッツバーグ・スティーラーズのラッセル・ウィルソン【NFL】

現地28日(水)、ピッツバーグ・スティーラーズがクオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンをレギュラーシーズンの先発に指名したと発表した。

今オフシーズン、ヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンはウィルソンが先発争いで“先頭からスタートを切る位置”にいると述べていた。ウィルソンはジャスティン・フィールズを差し置いて、先発としてシーズン第1週に行われるアトランタ・ファルコンズ戦を迎えることになる。

水曜日、トムリンHCは両クオーターバックと会い、“難しい決断”を本人たちに伝えたと明かした。

数週間の差でスティーラーズに加入した35歳のウィルソンと25歳のフィールズは、オフシーズンを通して先発の座を争ってきた。トレーニングキャンプを迎えるにあたってはウィルソンが最有力候補だとトムリンHCは述べていたが、ウィルソンが途中でふくらはぎを痛めたことで、フィールズにもチャンスが訪れている。

しかし、フィールズはウィルソンが離脱している間に差を縮めることができなかった。フィールズの挑戦を即座に退けたウィルソンが、プレシーズン最終戦でプレーしたのは1シリーズだけだったが、それはトムリンHCがどちらに傾いているかを示唆していたようだ。

プレシーズンの限られた出番の中で、ウィルソンはパス12回中10回を成功させて73ヤードをマーク。一方のフィールズは、プレシーズンを通してパス27回中19回成功で199ヤード、チーム内最多の48ランヤードを記録した。

2年前にシアトル・シーホークスからデンバー・ブロンコスにトレードされたウィルソンは、2023年シーズンにブロンコスの一員として15試合に先発し、タッチダウン26回に対してインターセプトわずか8回、タッチダウンラン3回を記録するなど、比較的好調なシーズンを送った。とはいえ、ウィルソンのキャリアはここ数年、徐々に下降線をたどっている。

ブロンコスは昨シーズン終盤にウィルソンをベンチに下げ、オフシーズンに放出。その過程で5,300万ドル(約76億5,460万円)ものサラリーキャップヒットを負担した。スティーラーズは今シーズン、ウィルソンの報酬のうち120万ドル(約1億7,331万円)しか支払わない。それはフィールズに支払う金額よりも少なく、ウィルソンの契約後にシカゴ・ベアーズからトレードされたフィールズは、新人契約の最終年で320万ドル(約4億6,216万円)を受け取ることになっている。

今後はウィルソンがどれだけ長くそのポジションを維持できるかが問題だ。2023年シーズンに先発のケニー・ピケットがベンチに下げられたのは、厳密にはピケットがケガから復帰するも、仕事を取り戻せなかった後のことだったが、トムリンHCはシーズン中にクオーターバックを交代させることに前向きであることを示していた。

また、負傷前にはウィルソンがファーストチームのレップスの大半を担当していたにもかかわらず、トムリンHCはスティーラーズがキャンプ中に正真正銘のQB争いを行っていると主張し続けていた。スティーラーズはフィールズに、ウィルソンに挑ませたいと考えていたが、それは失敗に終わっている。

この3シーズンでベアーズの一員として38試合に先発し、タッチダウン54回(パスで40回、ランで14回)を記録してきたフィールズは、来春にフリーエージェント(FA)になるため、今シーズンのいずれかのタイミングでプレーする可能性が高い。

『ESPN』によると、トムリンHCはウィルソンが現時点では不動のQB1だと繰り返しながらも、フィールズを出場させるプランも“確かに検討している”と示唆した上で、スティーラーズはフィールズの身体能力を“武器として活用することに前向き”だと語ったという。

12年にわたるNFLキャリアでいずれのシーズンも14試合以上に先発してきたウィルソンには、今年もその記録を更新するチャンスがある。しかしながら、厳しいAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区でスティーラーズをうまくけん引できなければ、レギュラーシーズン中にQB争いが再燃する恐れもあると言えよう。

【RA】