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2024年NFLシーズン:新導入のダイナミックキックオフルールを解説

2024年09月06日(金) 14:46


フィールドに描かれたNFLシールドロゴ【Matt Patterson via AP】

105回目のシーズンを迎えるにあたって、NFLは新しい“ダイナミックキックオフ”を導入した最初のシーズンを開始する。『NFL research(NFLリサーチ)』はこの新しいキックオフルールに光を当て、歴史あるこのゲームに加わった最新のルールに関する疑問を払拭しようと試みている。

NFLが2024年に“ダイナミックキックオフ”を導入した理由は?

NFLは新しいキックオフルールで2つの課題に取り組もうとしている。1つはキックオフ時の負傷率を減らすこと。もう1つはリーグで最もエキサイティングな瞬間を提供してきたプレー(2024年に殿堂入りを果たした、シカゴ・ベアーズのリターナーであるデビン・へスターに敬意を表そう)を存続することだ。近年では、キッカー(K)がボールをエンドゾーンの奥に蹴り出し、タッチバックにすることが習慣化してしまっていた。

このルールはキックオフリターンを促進することを目的としている。また、キック時に選手同士がより近い位置で整列し、リターンチームがボールに触れるまで動きが制限されることで、スクリメージからのプレーにより近くなるよう設計されている。これは、リターンユニット間のスペースを減らし、スピードを抑えることを意図している。

“ランディングゾーン”とは何か? その機能は?

“ランディングゾーン”は、レシーブ側チームのゴールラインと20ヤードラインの間にあるエリアとして指定されている。このゾーン内に着地するか、ゾーン内でキャッチされたキックはリターンしなければならない。ただし、例外として、ランディングゾーンに着地したボールがエンドゾーンに入った場合はリターンの義務はない(詳細は後述)。

リターンされない場合、どのような結果が考えられるのか?

キックオフがリターンされなかった場合、以下の、それぞれ20ヤードライン、30ヤードライン、または40ヤードラインから始まる3つの結果が考えられる。

1. キックがランディングゾーン内に着地してからエンドゾーンに入った場合、そのボールはライブボール(キッキングチームがリカバー可能)と見なされ、リターンチームはリターンするか、ダウンさせなければならない。タッチバックが発生した場合、リターンチームは自陣20ヤードラインから攻撃を開始する。

2. キックがエンドゾーンの外に出るか、エンドゾーンに着地してそのままインバウンドでダウンされた場合はタッチバックと見なされるが、ボールは30ヤードラインに置かれる。

3. キックがランディングゾーン手前に着地した場合は、キックオフがアウトオブバウンズになったのと同じ扱いとなり、リターンチームは自陣40ヤードラインでボールを獲得。

「キックオフの新時代が幕を開けた。オーナーたちがNFLのハイブリッドキックオフルールを承認したと情報筋が明かしている」

「何年にもわたる調整によって、試合で最もエキサイティングな瞬間の1つが“廃れた、儀式的なプレー”になってしまったことを受け、リーグは今回の大改革によって自分たちが望むこと、すなわち負傷者の減少とリターンの増加が生まれることを期待している」

キック前の配置ルールおよびリターン前の動きに関する制限は?

ボールは引き続き35ヤードラインからキックされるが、50ヤードラインを境にキック側にいるのはキッカーだけとなる。キックされたボールが地面に触れる、またはランディングゾーンもしくはエンドゾーンにいる選手に触れるまで、キッカーは50ヤードラインを越えることができない。ボールがティーから2回落ちた場合、キッカーはキッキングスティックを使用可能となる(最寄りの審判がキック直後にスティックを回収する)。強風が吹いている場合は、12人目の選手がボールを支えることが許可されるが、キック後は直ちにフィールドを離れなければならない。

キックオフチームの他の10人の選手は、敵陣40ヤードライン(ティーから25ヤード先のライン)に片足を置いて並ばなければならない。キックされたボールが地面に触れる、またはランディングゾーンもしくはエンドゾーンにいる選手に触れるまで、10人の選手は動くことができない。

リターンチームについては、ランディングゾーンに最大2名のリターナーを配置することが可能。この2人の選手は、キックの前でもキック中でも自由に動くことが許可される。

リターンチームの他の9人の選手は、“セットアップゾーン”と呼ばれるエリアに並ばなければならない。このゾーンはレシーブ側チームの30ヤードラインから35ヤードラインの間の5ヤードのエリアだ。

この9人のうち7人は、“制限ライン”と呼ばれる35ヤードライン上に少なくとも片足を置かなければならない。これらの選手はフィールド上に描かれている数字の外側、その数字とハッシュマークの間、そしてハッシュマークの内側に配置される必要がある。制限ライン上に立たない2人の選手は、ハッシュマークの外側に並ばなければならない。

セットアップゾーン内の選手は、ボールが地面に触れる、またはランディングゾーンもしくはエンドゾーンにいる選手に触れるまで、動くことはできない。

キックオフやセーフティ後にペナルティが適用された場合、ランディングゾーンに変化は?

変わらない。ペナルティがキックオフやセーフティ後に適用されても、ランディングゾーンやセットアップゾーンは変更されない。変わるのはキックの位置だけとなる。

得点した時のプレーに対するペナルティはキックオフでは適用されず、トライ(エクストラポイントや2ポイントコンバージョン)で適用されることに注意。ただし、トライ時のペナルティはキックオフに適用される可能性がある。

セーフティ後のキックオフは、引き続きキッキングチームの20ヤードラインから行われる。キッカーはティーを使用する選択肢が与えられる。

どちらの状況でも、セットアップゾーンとランディングゾーンは変わらない。

各チームはいつオンサイドキックを行うことが可能か?

スーパーボウルでのサプライズオンサイドキックは過去のものとなる。各チームがオンサイドキックを行えるのは、今では第4クオーターでリードされている時のみとなり、試みる前に審判に申告しなければならない。オンサイドキックに関するルールには変更はない。

2024年のプレシーズンでキックオフリターンの数は増加したか?

昨シーズン、NFLは歴史上で最も低いキックオフリターン率(22.1%)を記録した。2024年プレシーズンでは、初めて新しいダイナミックキックオフが導入された一連の試合で、70.5%のキックオフがリターンされた。その結果、2024年プレシーズン中にリターンされなかったキックオフは8回にとどまっている。そのうち5回は前半終了または試合終了間際で、2回はファンブルロスト、1回はセーフティになったものだった。

新しいダイナミックキックオフに関するまとめ

●キックオフがランディングゾーン内に着地した場合、リターンされなければならない。
●キックオフがランディングゾーンに着地し、その後にエンドゾーンに入った場合、そのボールはライブボールとなり、リターンするかダウンさせなければならない。ダウンさせた場合、ボールはレシーブ側チームの20ヤードラインに置かれる。
●キックオフがエンドゾーンに着地してそのままエンドゾーンの外に出る、もしくはキックが直線エンドゾーンの外に出た場合、タッチバックとなり、ボールはレシーブ側チームの30ヤードラインに置かれる。
●キックオフがエンドゾーンに着地してインバウンドにとどまった場合、そのボールはライブボールとなり、リターンするかダウンさせなければならない。ダウンさせた場合、タッチバックとなり、ボールはレシーブ側チームの30ヤードラインに置かれる。
●ランディングゾーンより短いキックオフはアウトオブバウンズとして扱われる。タッチバックにより、ボールは40ヤードラインに置かれる。
●キックオフがランディングゾーン内に着地したものの、リターナーが片足をランディングゾーン外に置いてボールに触れた場合、そのボールはランディングゾーン外に着地したものとみなされ、レシーブ側チームの40ヤードラインにボールが置かれる。

【KO】