ニュース

シーズン初戦で苦戦もチームの勝利に満足するベアーズQBウィリアムズ

2024年09月09日(月) 15:30


シカゴ・ベアーズのケイレブ・ウィリアムズ【AP Photo/Erin Hooley】

シカゴ・ベアーズのディフェンスとスペシャルチームが流れを変えていなければ、話はまったく違ったものになっていただろう。

2024年ドラフトの全体1位で指名されたクオーターバック(QB)ケイレブ・ウィリアムズは現地8日(日)に臨んだNFLでのデビュー戦で苦戦したものの、チームはオフェンス以外の2回のタッチダウンを活用して17点差をひっくり返し、24対17で勝利した。自身は不調だったにもかかわらず、ウィリアムズは初めての勝利を祝うことにしている。

「ああ、スタッツは気にしない。最高の気分だ」と語ったウィリアムズは「正直に言って、気分は最高だ」と続けた。

ベアーズが勝利を収めたことは特筆に値する。1970年以降、ドラフト全体1位指名を受けたクオーターバックのシーズン第1週における成績は、日曜日を迎えるにあたって3勝14敗1分となっていた。ウィリアムズはデビッド・カー(2002年)、ジョン・エルウェイ(1983年)、ジム・プラケット(1971年)に次いで、ドラフト全体1位指名を受けてシーズン第1週で先発を務めたクオーターバックの中で20年以上ぶりに勝利を収めた選手となっている。

ウィリアムズがターンオーバーを喫しなかったことも称賛に値する。それは、対戦相手であるテネシー・タイタンズのQBウィル・レビスに大きな代償をもたらした原因となった。レビスは3回のターンオーバーを喫し、そのうち1回はベアーズのタッチダウンにつながり、最後の1回は試合を終わらせる原因となっている。

ベアーズが1勝0敗のスタートを切ったことで、ウィリアムズの精彩を欠く初戦の成績も受け入れやすくなっている。オープンになっていたレシーバーに向かって何度か暴投し、少なくとも3回のパスがラインで弾かれた結果、ウィリアムズの成績はパス29回中14回成功、93ヤードにとどまっている。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によれば、ウィリアムズはバーティカルパスを7回試みたが、一度も成功しなかったという。

もちろん、すべてがウィリアムズのせいというわけではなかった。ランゲームは序盤で失速し、試合を通してライトガード(RG)を交代させていたオフェンシブラインは息が合っていなかった。ワイドレシーバー(WR)たちも完ぺきとは言えず、キーナン・アレンはアウトルートで、タッチダウンにつながるはずだったウィリアムズからの絶好のパスを落としている。結果的に、ベアーズはフィールドゴールでプレーを締めくくった。

ウィリアムズは「もちろん、俺たちは(オフェンス面で)自分たちが望むようなパフォーマンスを発揮できなかった」と振り返っている。

「俺たちは一番効果的なチームになりたいと思っている。自分も含めてね。自分が望むようなパフォーマンスができなかった。いつもはミスしないようなパスも何度か外してしまった。他にもいろいろとある」

“いろいろ”に含まれるミスの1つとして、試合前半にウィリアムズが19ヤードのロスを伴うサックを喫し、フィールドゴール圏外に外れてしまったことが挙げられる。とはいえ、ウィリアムズは2回のニーダウンで試合を終える前に足も駆使してプレーし、複数のプレッシャーをかわしつつ、3回のスクランブルで17ヤードを獲得した。第3ダウン残り10ヤードの場面で見せた11ヤードのランは、第4クオーター序盤にタイタンズとの差を17対13に縮める一因となっている。

周りの状況を踏まえても、ウィリアムズの成績はこれまでのフットボールキャリアの中でも特に控えめなものだったと言えよう。2022年ハイズマントロフィー受賞者のウィリアムズはオクラホマ大学と南カリフォルニア大学(USC)の両方で素晴らしい成績を残し、カレッジでの37試合で1万0,082ヤードを記録している。

しかし、今回ほどフラストレーションのたまる試合を経験したことはあるかという質問に、ウィリアムズは昨年にUSCの一員として臨んだノートルダム大学との試合をすぐに思い出した。ウィリアムズは37回のパスを試みて199ヤード、インターセプト3回を記録(大学時代の総インターセプト数は14回)。また、キャリー13回でマイナス2ヤードに抑えられたウィリアムズは、ノートルダム大学のディフェンスに苦しめられ、6回のサックを喫した。

ウィリアムズは冗談まじりに「(シカゴから)それほど遠くない場所だった。取り上げられるのは嫌だけどね」とコメント。「でも、(日曜日は)フラストレーションのたまる試合だった。だけど、一番大事で、このチームの個性をよく表していると思うのは、戦う姿勢、自分たちが持っている回復力だ」

ウィリアムズはヘッドコーチ(HC)マット・エバーフラスがハーフタイムに行ったスピーチがチームを奮い立たせ、ディフェンスとスペシャルチームが勝利をつかむ上で重要な役割を果たしたと評価。一方のエバーフラスHCは、ウィリアムズは苦境に立たされても、決して動揺する様子を見せなかったと明かしている。

「不安は一切なかったと思う」と述べたエバーフラスHCは次のように続けた。

「彼は終始、穏やかで、冷静で、落ち着いていた。一度もイライラしていなかった。彼にはいつも耐え続けることの重要性を話している。時には両面で厳しい状況になることがあるからね。つらい状況になることはある」

「とにかく耐えないといけない。隣にいる人やチームメイトを信頼し続けないといけない。それは1人の選手の問題ではない。私はハーフタイムでそう感じていたし、選手たちは後半にその姿勢を示してくれた」

厳しい状況に直面したときに、誰も責任のなすり合いをしなかったことも評価しているウィリアムズは、次のように語った。

「俺たちは誰かを責めるようなことはしなかった。ディフェンスがオフェンスを責めるとか、そういうことがなかったんだ。それは(エバーフラスHCの)人柄とか、みんなが自分たち、つまりシカゴ・ベアーズをどれだけ信じているかを示している。ディフェンスはオフェンスを信じ、オフェンスはディフェンスやスペシャルチームなどを信じている」

「俺たちはこの勝利をつかめて感謝しているし、うれしく思っている。ロッカールームで祝えたのはかなりクールだった。ここで祝うのは初めてだったしね」

【RA】