チャージャーズRBドビンズ、“暗い日々”から抜け出し2試合の通算ランヤードでリーグトップに
2024年09月18日(水) 14:052週間を通して素晴らしいランや宙返りを披露し、ビッグゲインに成功してランヤードでNFLトップに立っているロサンゼルス・チャージャーズのランニングバック(RB)J.K.ドビンズが、早くもAP通信NFL最優秀カムバック選手賞の有力候補となっている。
それはドビンズの性格を示していると言えよう。ドビンズは確実に、ボルティモア・レイブンズでのケガに悩まされていた数シーズンで過ごしていた“暗い日々”から抜け出した。
この3シーズンで9試合しか出場していなかったドビンズは、チャージャーズが2勝0敗のスタートを切る中、健康な足と強い精神力を持ってリーグトップの266ランヤードを記録している。
今週に公開された『The Jim Rome Show(ザ・ジム・ローム・ショー)』に出演した際、ケガがもたらす精神的な負担について語ったドビンズは、「体は鍛え直せるけど、精神面はさ、間違いなく別の領域に踏み込まないといけない。時には暗い日々を過ごして“俺は戻ってこられるのか?”と思う日もあるさ」とコメントした。
レイブンズでの4年間を経て、ドビンズは今オフシーズンにチャージャーズと1年契約を締結。100%健康だと宣言しているドビンズは、現時点では過去最高の状態にあるように見える。
ドビンズは驚異的なキャリー平均ヤード(9.9ヤード)と試合平均ランヤード(133ヤード)を記録しており、いずれの成績でもリーグトップに立っている。最長61ランヤードを記録したシーズン第1週のラスベガス・レイダースと、最長43ヤードのランを見せたカロライナ・パンサーズで、合わせて2回のタッチダウンも決めている。パンサーズ戦では、43ヤードを駆け抜けた末にエンドゾーンに飛び込んで背中で着地し、タッチダウンに成功。その後、ドビンズはジェネラルマネジャー(GM)ジョー・ホルティスから“もう宙返りはなしだ”と言われたと明かした。
健康に関する懸念は今のところそれだけだ。
ドビンズは2020年にレイブンズのルーキーとして頭角を現し、15試合で805ヤード、タッチダウン9回を記録。その後は度重なるケガに悩まされ、3シーズンの合計出場数は初年度に出場した試合数よりも少なかった。
2021年シーズンから今シーズン第2週まで、ドビンズはわずか11試合しか出場していない。
2021年、シーズン開幕前に膝を負傷したドビンズは全試合を欠場。2022年は別の膝の問題が原因で8試合の出場にとどまった。また、昨季はシーズン第1週にアキレス腱(けん)を断裂している。
「あれは契約最終年だったから、別のチームが自分にチャンスをくれるかもしれないと思っていた」と語ったドビンズはこう続けた。「まだ早い段階で、“ああ、俺は健康だ。このチャンスをつかんでうまくやれる”と確信する前の話だった。最初の段階ではお尻を使って移動していたし、歩くことができなかった。普通の靴を履くことも、裸足になることもできなかった。アキレス腱は足を踏み出すだけで伸びてしまうからな」
「それは長く暗い日々、暗い夜で、眠れずにただただ、これからどうなるんだろうって考えていた」
それでも、まだ25歳のドビンズは十分な力が残っていることを示している。また、そうした暗い考えを振り払うという心構えが、困難を耐え抜くのに役立ったようだ。
ドビンズは「心の奥底で、神がいつも俺の味方をしてくれていることが分かっていたし、あれは理由があって起こったことだと信じていた」と話している。
「時々、暗い考えが浮かぶこともあったけど、すぐに立ち直った。祈った後、本当にすぐにね。長い旅路だったけど、それのおかげで人としてもメンタル的にも強くなれた」
ドビンズの旅路はシーズン第3週へ続く。チャージャーズはそこで同じく2勝0敗のピッツバーグ・スティーラーズと対戦する予定だ。今年に入るまで、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区でプレーしていたため、ドビンズはスティーラーズのことをよく知っている。ドビンズはこれまでに出場可能な8試合のスティーラーズ戦のうち3試合に出場してきた。
過去の実績から判断すると、ドビンズは現在の好調ぶりを維持する可能性が高い。というのも、ドビンズはスティーラーズとの3試合で平均して108ヤード強を稼いできたからだ。
ドビンズは前向きな展望や良好な健康状態を維持し、生産的な夏を経てオフェンシブラインとの信頼関係を即座に構築した結果、間違いなく復活を果たし、暗黒の日々を脱して試合の流れを変えるようなランを披露している。
「独特な状況だった。それはキャンプを通して積み重ねてきた努力の証だ」とドビンズは語った。
【RA】