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コマンダースQBダニエルズがベンガルズ戦でTD3回の華々しいプライムタイムデビューを果たす

2024年09月25日(水) 14:50


ワシントン・コマンダースのジェイデン・ダニエルズ【AP Photo/Jeff Dean】

クオーターバック(QB)ジェイデン・ダニエルズがついに世界にその存在を知らしめた。

NFLキャリアわずか3試合目にして、ダニエルズは初のプライムタイムゲームで3つのタッチダウンを決める活躍ぶりを見せ、ワシントン・コマンダースがシンシナティ・ベンガルズを38対33で下すというマンデーナイトの番狂わせを演じている。

NFL経験の少なさをものともしない冷静さ、驚くほど正確なパス、そして抜群のフットワークを披露したダニエルズは、23回中21回のパスを成功させて254ヤードとタッチダウン2回を記録。さらに、12回のキャリーでチームトップの39ヤードを稼ぎ、ラッシングタッチダウンも決めた。タッチダウン数がインコンプリート数を上回るという成績を残している。

この試合でNFL界に何を示したかと聞かれたダニエルズは、「俺はコンペティターだということ」と答えた。

「俺は最高レベルで戦いたい。毎週日曜日にフィールドに立てて、世界で限られた人しかできないことをやれるのは本当に幸運だと思う。32チームのうちの一つの選手として、毎週日曜日や月曜日、何曜日だろうと、試合がある日に戦えることに感謝している」

ダニエルズのデュアルスレットとしてのスキルセットが終始発揮された試合では、その決断力や成熟度も際立っていた。大舞台の重要な局面でも冷静さを失わず、その場で成長しながら状況に適応してく姿が見られた。

ヘッドコーチ(HC)ダン・クインはダニエルズについてこう語っている。

「彼は本当に冷静で、落ち着いている。試合前からわれわれはボールをしっかりと扱うことと、それに必要な決断力が重要だと理解していた。ターンオーバーで簡単に相手に得点を与えるわけにはいかない。賭けに出るべきか、自らの足で運ぶべきか、そういった彼の判断力は練習で見られていたが、今は試合でもそれを実践できている。決断力、スライディング、ビッグプレーに挑む勇気、そのすべてにおいて今夜の彼のパフォーマンスは本当に素晴らしかった」

このパフォーマンスを称賛したのはコマンダースの関係者だけではなかった。

ダニエルズと同じルイジアナ州立大学出身のベンガルズのワイドレシーバー(WR)ジャマール・チェイスは、「彼は本当にすごい選手だ。嘘じゃない。スプリングゲーム以外で彼をじっくり見る機会はなかったけど、卓越した選手だ」とコメントしている。

これほどの活躍を見せたのは今回が初めてだったが、ダニエルズはニューヨーク・ジャイアンツやタンパベイ・バッカニアーズとの試合でも70%以上のパス成功率を記録しており、インターセプトなしで2つのラッシングタッチダウンを挙げるなど、すでに輝かしいスタートを切っていた。

「彼は試合を通じて成長し続けている」とクインHCは語っている。

「それは彼だけでなく、他の新加入の選手たちにも言えることだ。プレーをどこで延ばすか、どこで止めるべきか、足をいつ使うべきか、彼らは学び続けている。数日前に“最初の2試合で何を学んだ?”と聞いたのだが、今夜もまた学んで成長したようだ」

ダニエルズはベンガルズのホームであるペイコー・スタジアムで、歴史的な瞬間をいくつも刻んだ。

『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、ダニエルズが記録した91.3%というパス成功率は、NFLのルーキーとして史上最高記録だという。また、ダック・プレスコットとジャスティン・ハーバートに次いで、2000年以降にプライムタイムでパスとランの両方で得点を記録したルーキーQBとなった。さらに、1950年以降に250ヤード以上のパス、複数のタッチダウン、ラッシングTD、そして90%以上のパス成功率を同一試合で達成したのはダニエルズが初めてだという。

ダニエルズはこの夜に数々の記録を打ち立てたが、本人はそれほど驚いていない様子だった。この結果は日々の準備のたまものだと説明している。

早くも成功を収めたことに驚いたかと聞かれたダニエルズは、「イエスでもノーでもある」と答え、こう続けた。

「まだルーキーイヤーが始まったばかりで、新しいことだらけのこの時期という点では驚いている。でも、自分はしっかりと準備してきたし、影での努力は必ず表に現れると信じている。だから、こういう瞬間のために常に準備はできている。フィールドに立ってフットボールをプレーし、結果を残す。それだけだ」

最初の2試合ではTDパスを記録していなかったダニエルズだが、第3クオーターに決めた初のTDパスは、オフェンシブタックル(OT)トレント・スコットへの1ヤードパスだった。1巡目指名のルーキーQBが初のTDパスをオフェンシブラインマンにつないだのは、2005年にJ.P.ロスマンがOTジェイソン・ピータースにパスをつないで以来のこと。さらに、全体5位以内に指名されたQBとしては史上初の快挙でもある。

だが、この試合でもっとも印象的だったのは、WRテリー・マクローリンへの27ヤードパスで決めた2つ目のタッチダウンだ。スコットの得点でコマンダースが28対13とリードしていたが、ベンガルズが31対26と追い上げ、ダニエルズのセンセーショナルな活躍が無駄に終わる危険にさらされていた、試合終了まで残り2分15秒、第3ダウン残り7ヤードという緊迫した場面。ここでダニエルズと攻撃コーディネーター(OC)クリフ・キングスベリーはリスクを冒すことを選ぶ。ダニエルズは笑みを浮かべながらパスラッシュに立ち向かい、ヒットを受けながらも美しい弧を描くパスを放ち、それをマクローリンが見事にキャッチした。

この素晴らしい夜に、ダニエルズは冷静さと不屈の精神、そして正確さをたった1つのプレーに凝縮させた。

クインHCは「彼らは練習でしっかりと時間をかけて準備してきた。そうでなければ、自信を持ってあのプレーに挑むことはできなかっただろう」と語っている。

「最初の2試合ではテリーにディープパスがなかなかつながらなかったが、これまでに重ねてきた努力を考えたら、今後はそうならないと信じていた。だから、チャンスが訪れた時にあの見事なパスと、テリーの素晴らしいキャッチが実現したんだ」

現在2勝1敗のコマンダースは、2024年シーズンに対して好感触を得ているだろう。そしてクオーターバックに関して言えば、コマンダースは2024年以降に向けても非常に大きな期待を寄せているはずだ。

終わりの見えないQB問題に悩まされ続けたコマンダースにとって、この試合はまさに待ち望んでいたスター誕生の瞬間だったと言える。過去7シーズンにわたり、コマンダースは毎年開幕戦で異なるQBを先発に起用し、ダニエルズがデビューを果たした際には8人目となった。60分間の才気あふれるマンデーナイトを終えたコマンダースは、ついに未来を託せるQBを見つけたという実感を味わっていただろう。

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