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チーフス復帰で「世界を驚かせたい」と意気込むRBハント

2024年09月27日(金) 15:45


カリーム・ハント【AP Photo/Kirk Irwin】

13日前、ランニングバック(RB)カリーム・ハントには仕事がなく、金曜日の夜はプログレッシブ・フィールドでクリーブランド・ガーディアンズの野球の試合を観戦して過ごしていた。

その2日後、カンザスシティ・チーフスのRBアイゼア・パチェコがシーズン第2週に勝利したシンシナティ・ベンガルズ戦で腓骨を骨折し、長期間にわたって離脱を余儀なくされた。これに伴って経験豊富なランニングバックが必要になったチーフスがハントに連絡を取り、ほどなくして、ハントはチームの練習生に加わることになったのだ。

この瞬間、ハントはNFLでのキャリアをスタートさせ、6年前に不名誉な形で去ったチームに戻ることになった。NFLでの最後の大きなチャンスとなるかもしれないこの状況で、29歳のハントは、自身がかつて名を挙げたときのユニフォームに再び身を包み、まだ仕事をやり遂げられることを証明しようと意気込んでいる。

ハントは現地25日(水)に「俺は自分がまだそういうことができるって信じている。世界を驚かせて、自分がまだやれることを証明するのが楽しみだ」とコメント。

ハントは2017年に、スーパースターのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズと同じ年にドラフトされた新人選手としてキャリアをスタートさせ、リーグトップの1,327ランヤードとタッチダウンラン8回という成績を残している。マホームズはすぐにNFLでエリート選手としての地位を確立していったが、先にリーグにその存在感を示したのはハントの方だった。

しかし、その活躍も2018年に終わりを迎えた。ハントはクリーブランドのホテルで発生した女性に対する暴力事件に関与したことを受けて、リザーブ/コミッショナーの除外リストに載せられ、12月にチーフスから放出された。その後の5シーズンはクリーブランド・ブラウンズで、RBニック・チャッブとペアを組んでプレー。その間に合計で2,286ランヤード、タッチダウンラン25回を記録したハントは、2023年にタッチダウンラン10回をマークしたものの、比較的静かにブラウンズでの期間を終えている。

そして今、ハントは慣れ親しんだ場所に戻ってきている。ハントの古巣であるチーフスは自分抜きで大成功を収め、過去5年間で3度のスーパーボウル制覇を果たしてきた。ハントは元チームメイトたちの成功を“うれしく思った”としつつも、自分なしでチーフスが成功するのを見るのは“つらかった”と正直に認めている。同じ目標、つまりもう一度タイトルを獲得するために、ヘッドコーチ(HC)アンディ・リードの下で再びプレーできるチャンスを得たことを幸運に感じているという。

順応の問題もある。ハントは“建物の匂いが同じだ”とすぐに気づくほど、非常に馴染み深い環境に戻ってきた一方で、自身にはまだ違いを生み出すだけの力が残っていることを証明しなければならない。

ハントは「俺は“みんな、俺のことは知っている。あとは自分らしくプレーするだけ”って言ったんだ」と語っている。

ハントは2023年の大半をそけい部の負傷に悩まされながらプレーした後、時間をかけて健康を取り戻しており、自分らしくプレーするためのハードルはすでに1つクリアしている。次は、ハントが親しい友人と考えているマホームズが支配するオフェンスに、うまくフィットする方法を見つけることだ。

その点はさほど難しくないだろう。

「ここには才能ある選手がたくさんいる」と話すハントは、こう続けている。

「俺がここにいた頃からずっと才能ある選手がたくさんいるんだ。パット(マホームズ)が成長して成熟して、このチームのリーダーになった姿を見るのは、本当にうれしい。俺はルーキーイヤーにはアレックス(スミス)と一緒にプレーしていたんだけど、彼もそんな感じだった。だから、彼がこういう選手に成長したのを見て、これ以上うれしいことはないよ」

チーフスを去って以来、問題を起こしていないハントだったが、当然ながら、水曜日には過去の過ちについての質問を受けた。これもまた順応しなければならないことの一部であり、過去が過去にすぎないことをチーフスファンに証明することが求められている。ハントはリードHCから復帰時に受けたアドバイスの一部がまさにこれであったと明かし、次のようにコメントした。

「彼(リードHC)は俺がどんなタイプの人間なのかをよく知っている。彼はただ、“お前がやってきたことを続けろ。問題を起こさず集中していれば、すべてがうまくいくさ”って言ってくれたんだ」

NFLファンで、過去10年以上このスポーツを見続けている者であれば、驚くべき光景が日曜日に目に入るかもしれない。それは、ハントが5年ぶりにチーフスのユニフォームを着てフィールドに立つ姿だ。

それはハント自身にとっても非現実的な感覚かもしれないが、確実にハントを必要としているチーフスにとっては、まさに絶好のタイミングだったと言えるだろう。

ハントは「まだ想像するのは難しい。その日が来れば、現実味を帯びてくると思う。長い道のりだった。また赤いユニフォームを着て、みんなと一緒にフィールドに出て、彼らのために全力を尽くすのが待ちきれない。フィールドに立って、何を求められても、最高のレベルでやり遂げて、ここで勝ち続ける方法を見つける手助けをしたい」と話した。

【KO】