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2勝3敗のジェッツがサラーHCを解雇、ウルブリッチDCが暫定HCに

2024年10月09日(水) 10:27


ニューヨーク・ジェッツの守備コーディネーター(DC)ジェフ・アルブリッチとヘッドコーチ(HC)ロバート・サラー【AP Photo/Godofredo A. Vasquez】

ロバート・サラーが傾きながら進むニューヨーク・ジェッツを立て直すチャンスを得ることはない。

現地8日(火)、2024年シーズンを2勝3敗でスタートしているジェッツが、ヘッドコーチ(HC)を務めていたサラーを解雇したと発表。守備コーディネーター(DC)ジェフ・ウルブリッチが暫定HCに指名された。

4年目も続投させたにもかかわらず、5試合を経てサラーを解雇したジェッツ幹部の動きは、驚くべきものだと言えよう。サラーがヘッドコーチとして指揮した56試合の戦績は20勝36敗で、勝ち越しシーズンは一度もなかった。最後にジェッツの指揮を執った試合はロンドンで行われたミネソタ・バイキングス戦であり、それには23対17で敗れている。

ジェッツのオーナーであるウッディ・ジョンソンは声明で「今朝、ロバート・サラーに対し、彼がもうジェッツのヘッドコーチを務めることはないと伝えた」と述べた。

「この3年半にわたる尽力に感謝し、彼とそのご家族のご多幸をお祈りしている。この決断は簡単なものではなかったが、自分たちが期待する結果を残せていない現状を考えると、今こそ別の方向に進むべき時だと考えている」

「今シーズンの残りの期間はジェフ・ウルブリッチが暫定ヘッドコーチを務める。彼はチームのコーチ陣や選手たちから尊敬されている、タフなコーチだ。彼が他のコーチと共に、この才能豊かなチームの力を最大限に引き出し、オフシーズンに定めた目標を達成してくれると信じている」

『Fox Sports(フォックス・スポーツ)』のピーター・シュレーガーがその後に報じたところによると、サラーは次の月曜日に控えているバッファロー・ビルズとのプライムタイムの重要な試合に備えて火曜朝に出勤したものの、その後にウッディ・ジョンソンやジェッツの副会長であるクリストファー・ジョンソンとの会議に呼び出され、そこで自身の運命を知ったという。

ウッディ・ジョンソンは火曜午後に実施した電話会見で、サラーの解雇を決断した理由の中には“ジェッツ史上最も才能あるチームの1つに”今シーズンに勝利を収める最大のチャンスを与えたかったことも含まれると報道陣に明かした。

「私はこの仕事を25年間続けてきたが、今のチームはおそらく、25年間で最高のチームだ」と語ったジョンソンは「新たな方向に進むことが最善だと感じた。ジェフ・ウルブリッチを暫定ヘッドコーチに任命することで、このチームの力を最大限に引き出し、私たち全員が望んでいるプレーオフ進出のチャンスを手にする可能性が最も高まると考えた」と続けている。

サラーの指揮下において、ディフェンスは問題になっていなかった。この2シーズンにいずれも、被ヤードで5位以内、被得点で12位以内につけていたジェッツは、2024年シーズンも5週間の成績として被ヤードで2位、被得点で5位となっている。しかし、ジェッツは攻撃面で成功を収めることができず、サラーが指揮した4シーズンはいずれも、獲得ヤードや得点で下位4分の1に位置していた。特に、クオーターバック(QB)ザック・ウィルソンの育成に失敗したことは、サラーの評価に大きく影響したと言えよう。サラーが指揮を執った3年以上の間に、ジェッツは6人ものクオーターバックを起用している。

2023年におけるアーロン・ロジャースの獲得は、ジェッツに変化をもたらすはずだった。しかしながら、ロジャースがシーズン第1週にアキレス腱(けん)を断裂したことで1年目の計画は頓挫。サラーはウィルソンへの移行をうまく進められず、クオーターバックの入れ替えを繰り返した。今季の5試合を通して、ジェッツのオフェンスは攻撃コーディネーター(OC)ナサニエル・ハケットとロジャースが率いる中で依然として苦戦を強いられ、試合平均18.6点しか獲得できず、時代遅れのスキームで一貫性を見出すことができずにいる。

「どうやってオフェンスを改善するか? 私が最も高いレベルでコーチ変更を行う決断を下した理由の1つはまさにそれだと思っている」とジョンソンは火曜日にコメント。

「勝利する方法を見つける必要がある。同じことを繰り返していては、その方法を見つけることはできない。(ウルブリッチは)何かをもたらしてくれるはずだ。ポジティブな刺激だけではなく、選手たちの共に過ごしてきた彼に対する信頼感、彼を知り尊敬していること、それが相互的なものであると知っていることなど、さまざまな要素をもたらしてくれるだろう。オフェンス面で変えなければならないことを変える。オフェンスだけではなく、ディフェンスでも変化を起こしていくつもりだ。成長するために努力する。これは私たち全員にとって新しい機会だ。だからこそ今日、そうすることを決めた」

サラーとロジャースは適切な発言をしていたが、その関係は決して安定しているようには見えず、先週、ロジャースのケイデンスに関する奇妙な意見の食い違いが話題になったことで、コーチとクオーターバックの間に明らかなズレがあることが浮き彫りになっていた。しかし、シュレーガーによると、ロジャースはサラー解雇の決定に大きく関与したわけではないとのこと。

ジョンソンは報道陣に対し、月曜夜にロジャースと会話をかわしたものの、サラーの状況については話さなかったと明かしている。

非難の対象となっているハケットOCが現在もチームのコーチングスタッフにとどまっている中、ジョンソンは火曜日に、ジェッツのオフェンス面の問題や、ハケットOCのパフォーマンスについて評価することを求められた。

それに対し、ジョンソンはハケットOCについて具体的に言及することは避けつつ、「必要な部分に変化を起こすつもりだ」と答えている。

「自分たちの弱みや強みを理解しているし、あなた方もそのはずだ。それは毎週、見ることができる。攻守両面の素晴らしい選手たちに勝つチャンスを与えられるように変化を起こすつもりだ。改善や変更が必要なことは分かっている。確かにオフェンスは課題で――課題以上のものと言える。(ウルブリッチは)そこに重点的に取り組むと私は確信している」

火曜日、ウルブリッチは初めて暫定HCとして臨んだ電話会見で、攻撃スタッフの役職に変更はないものの、あらゆることを“深く掘り下げる”つもりだと語った。

混戦となっているAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)東地区で2勝3敗という成績を残し、ビルズとの対戦を控えている中で、ジェッツには状況を好転させる時間がまだ残されている。サラーは単純にその操縦から外れるということだ。

NFL選手として10シーズンにわたってプレーした経歴を持つウルブリッチは、高く評価されているアシスタントだ。現在47歳のウルブリッチは2021年にDCとしてサラーのスタッフに加入。このオフシーズンに行われたシニアボウルではヘッドコーチを務めていた。今後は本格的にヘッドコーチを務める機会を得て、ジェッツのシーズンを立て直すことに挑戦する。

火曜日はジョンソンがオーナーになってから25年目にして、初めてシーズン途中にコーチ解雇に踏み切った日となった。

「これはチームにとって新しい日だ」と述べたジョンソンは「歓迎すべき新しい日だ。チームが自分たちにとってどんな機会なのかを理解すれば、しばらく見られなかったレベルにまで到達できると思う」と続けている。

【RA】