WRクーパーのトレード後、残されたパスキャッチャーたちに期待するブラウンズHCステファンスキー
2024年10月17日(木) 10:17チームのトップワイドレシーバー(WR)をバッファロー・ビルズにトレードした翌日、クリーブランド・ブラウンズの首脳陣はその動きについて説明を求められた。
当然のことながら、彼らは“ただのビジネスだ”と簡潔に説明している。
現地16日(水)、ヘッドコーチ(HC)ケビン・ステファンスキーは「ケガやトレード、どんな理由であれ、選手がチームを離れるときはがっかりするものだ」とコメント。
「アマリ(クーパー)の幸運を祈っている。もちろん、昨日は彼と話をした。私たちはワクワクしている。他の選手たちにチャンスがもたらされるからね。選手たちと親しくなれば、どんな理由であれ失いたくないと思うものだ。だが、私たちはビジネスの部分を理解しているし、他の選手たちにとってどんなチャンスが生まれるかと思うとワクワクする」
その“他の選手”には、新たにブラウンズの1番手WRになると見られているジェリー・ジューディや、エライジャ・ムーア、2023年ドラフト3巡目指名を受けたセドリック・ティルマン、新人のジャマリ・トラッシュが含まれる。また、必要に応じてリターナーのジェイロン・ダーデンもレシーバーとして出場することになるだろう。
理論的に、このコンセプトは理想的に見える。ブラウンズは契約満了間近のベテランレシーバーを優勝候補チームに送り、その見返りとしてドラフト3巡目指名権を受け取った。実際、ブラウンズが2022年ドラフト5巡目指名権と引き換えにクーパーを獲得したことを踏まえると、今回の動きは賢明な判断だと言える。
しかし、残された選手たちは、今のところ先発クオーターバック(QB)としてNFLで最悪の成績を残しているデショーン・ワトソンのためにプレーしなければならず、ブラウンズはそうした大きな問題を都合よく無視している状態だ。
パスラッシュが迫っていることを察知する、あるいは単純に狙い通りにパスを投げられないことで、ワトソンがオープンなターゲットを見逃す場面はすぐに見つけることができる。ワトソンがオフェンスを大幅に停滞させていることから、ブラウンズは今季の試合で一度も20点以上を獲得できていない。チームで最多のタッチダウン数をマークしているのは守備選手のセーフティ(S)ロドニー・マクロードだ。シーズン第4週にファンブルリターンタッチダウンを決めたマクロードは、シーズン第6週にブロックされたフィールドゴールをリターンして6点を獲得した。
クーパーが2024年シーズンに著しく低調なスタートを切ったのは、ワトソンとの信頼関係の欠如が大きく影響していた。ブラウンズは今後、トップターゲットとなっていたクーパーを欠いた状態で前進していく。
現在も先発の座を維持していることから、ワトソンは水曜日にクーパーのビルズへの移籍について質問を受けた。
ワトソンはクーパーについて「一番大事なのはクーパーが俺のブラザーだってこと」と話している。
「この3年間、フィールド上はもちろん、特にフィールドの外でお互いのことを知ることができた。オフシーズンに一緒に過ごしたり、家族同士で会ったりした。俺が困難に直面しているときは助けてくれたし、逆に俺が彼を助けることもあった」
「自分だけじゃなくて、ロッカールームのみんなにとって、すごく大切な兄弟でありチームメイトでもある選手がトレードでいなくなるのは間違いなくつらい。でも、組織を信じ、(ジェネラルマネジャー/GMアンドリュー・ベリーや)ケビン、チームの上層部が計画していることを信じるしかないし、それは俺がどうにかできることじゃない。でもそれと同時に、間違いなく彼のことが恋しくなるだろうし、彼がこのチームや組織にフィールド上でもたらしてくれたすべてのことに感謝している」
チームがトップレシーバーを失うときは、程度の差こそあれ、失望感が伴うものだ。クーパーの落球は確かにチームの足を引っ張っていた(時には相手チームに有利な状況をもたらした)が、それでもクーパーはブラウンズ攻撃陣にとって重要な存在だった。クーパーがいなくなった今、ブラウンズファンにとっては32位に沈んでいるオフェンスが次の日曜日にまた結果を出せないだろうと考えてしまう理由が増えただけとなっている。
水曜日、ステファンスキーHCはコーチがよく使う言葉を用いながら、楽観的な雰囲気を醸し出そうとした。
「今一番大事なのは勝つことであり、戦うことだと、うちの選手たちは理解していると思う」と述べたステファンスキーHCは「実際、シーズン中に選手を失うことはある。ケガやトレード、理由はさまざまだが、その時が来たら、うちの選手たちはより一層力を発揮しなければならない」と続けている。
ワトソンが指揮を執る中、ブラウンズは誰がルートを走っても攻撃面で競争力を欠いている。チームはスターRBニック・チャッブの復帰を期待しているが、今シーズンは攻撃のわずか37%しかランプレーを実行していない。
クオーターバックを変更しない場合、ブラウンズがとれる最善の策は、膝のケガで1年以上も戦線離脱していたランニングバックに頼ることだ。それはあまり素晴らしい状況とは言えない。
前向きな発言以外にできることがほとんどない中、励みになる材料としてターゲットの再分配を挙げたステファンスキーHCは、次のように話している。
「多くの選手が関わることになると思う。ご存知の通り、アマリはたくさんターゲットになっていた。それがワイドレシーバールーム、タイトエンド(TE)ルーム、ランニングバックルームにいる他の選手たちに振り分けられる必要がある。私たちは自分たちの選手に大きな自信を持っている」
自信を持つのはいいことだ。ただ、クーパーがいなくなった今、残されたブラウンズの選手たちがその自信を正当化できるかどうかは分からない。
【RA】