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トレード期限前にDEキャンベルのレイブンズ移籍を阻止していたドルフィンズHCマクダニエル

2024年11月25日(月) 10:19


マイアミ・ドルフィンズのカライス・キャンベル【Cooper Neill via AP】

現地11月5日のNFLトレード期限を迎える前に、ボルティモア・レイブンズはなじみのある選手でディフェンシブラインの強化を図りたいと望み、大物選手の獲得に動いていた。

ターゲットとなったのはマイアミ・ドルフィンズのディフェンシブエンド(DE)カライス・キャンベルだ。レイブンズは以前にチームで活躍していたキャンベルが再びそうすることを期待していた。

しかし、情報筋によると、取引が進むにつれてドルフィンズが抵抗したという。期限前の慌ただしい2日間の中で、取引が成立し、キャンベルがボルティモアに戻ると見られていた瞬間は何度かあったとのこと。

しかし、それはドルフィンズのヘッドコーチ(HC)マイク・マクダニエルが介入するまでの話だ。情報筋によれば、キャンベルは失うにはあまりにも価値がある選手だと考えていたマクダニエルHCが取引を阻止したという。そして、マクダニエルHCはキャンベルに対してこのことを直接、ミーティングで伝えた。

当時は2勝6敗で巻き返しを図る望みも薄かったが、たとえその取引でいくらか資金を捻出でき、2026年ドラフト5巡目指名権を獲得できるとしても、マクダニエルHCはチームのリーダーであり、ディフェンスの要でもある選手を手放すことに賛成できなかったようだ。

マクダニエルHCはリーダーシップを重視し、チームへの信頼を貫いた。

その時点でドルフィンズが好転するチャンスはあったかもしれず、その場合、キャンベルは必ずチームの助けになっていただろう。11月末や12月にまだ戦う理由が残っていたとすれば、ドルフィンズは彼をフィールドに立たせたいと考えていたはずだ。

その後、ドルフィンズは2連勝して4勝6敗まで追い上げた。そして、現地24日(日)に行われたニューイングランド・ペイトリオッツ戦にも勝利し、勝率を.500に近づけている。

2019年ウォルター・ペイトンNFLマン・オブ・ザ・イヤー賞の受賞者であるキャンベルのプレーが、ドルフィンズの好転を後押ししているのだ。

キャンベルにとってマイアミは故郷であり、それが1年200万ドル(約3億0,814万円)とかなり少額の契約をドルフィンズと結んだ理由の1つだ。AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区で2位につけ、スーパーボウル出場を目指しているレイブンズへのトレードは、キャンベルが2020年から2022年にかけて活躍した場所に戻ることを意味していた。キャンベルはレイブンズでの初年度にプロボウルに選出されている。

情報筋によれば、トレードがどう転ぶか分からない中、キャンベル自身も取引が成立すると考えていたという。多くの人がそう考えていた。しかし、マクダニエルHCのおかげでキャンベルはマイアミにとどまり、チームの巻き返しをけん引している。

38歳のキャンベルは、ドルフィンズがシーズン第10週にロサンゼルス・ラムズに勝利した試合で大きな注目を集めた。その試合で相手のパスを2回弾き、1回のサックを決め、さらに4回のサックに貢献したキャンベルは、セレブレーションとしてバスケットボールのシュートを決めるポーズをとっている。

その試合を終えた後、キャンベルは「自分たちが望む場所に行くためには、戦い続け、信じ続けなければいけない」とコメント。

キャンベルはシーズン第11週に勝利したラスベガス・レイダース戦でも1回のサックを記録。プレーオフ進出を目指すのは容易ではないが、今回のペイトリオッツ戦で勝利した上に、その後もニューヨーク・ジェッツやクリーブランド・ブラウンズといった低迷しているチームとの3試合が控えているため、チャンスはまだある。

ドルフィンズのプレーオフ進出が実現した場合、キャンベルはそこにいるだろう。

【RA】