レイブンズHCハーボーの第4ダウンでの大胆なコールがチャージャーズ戦の「転換点」に
2024年11月27日(水) 15:35“ハーボウル3”として注目を集めていた試合が終わったとき、ボルティモア・レイブンズのヘッドコーチ(HC)ジョン・ハーボーは弟のジム・ハーボーが指揮を執るロサンゼルス・チャージャーズに対して余裕の勝利を収めていた。
とはいえ、それはレイブンズにとって10点差を追い上げた末につかんだ逆転勝利だ。この勝利は試合の前半におけるジョン・ハーボーの大胆なコールが決め手となった。
前半終了まで残り約2分、3点ビハインドで自陣16ヤード地点から第4ダウン残り1ヤードの場面を迎え、流れを変えたいと考えていたジョン・ハーボーは結果を気にせず、大胆にもタイトエンド(TE)マーク・アンドリュースをクオーターバック(QB)ポジションに配置した。
2ミニッツウオーニングの後、レイブンズはハドルを解散し、素早く位置についた。そして、センターの後方についたアンドリュースが2ヤードをスニークで突破。それから間もなくして、QBラマー・ジャクソンがワイドレシーバー(WR)ラショッド・ベイトマンに40ヤードのタッチダウンパスを通したことで勢いに乗ったレイブンズは、最終的に30対23で勝利を収めた。
ジョン・ハーボーは「マイナス面としては、16ヤード地点で相手にボールを渡してしまうことが挙げられた」と述べている。
「それはマイナス面だが、そのプラスの面を成功させられると本当に思っていた。マークならクオーターバックスニークで突破できると思った。彼とタイラー(リンダーバウム、センター/C)、うちのインテリアオフェンシブライン、それから(フルバック/FB)パトリック・リカールや(オフェンシブタックル/OT)ダニエル・ファレレのプレー開始時の動きを考えて、決められると思ったし、実際に決めたのだ。だから、彼らのことを尊敬している。あれのおかげで90ヤード以上のドライブが続いて7点を取ることができた。あれが試合の大きな転換点になった」
チャージャーズは序盤に10対0でリードしていたが、ジャクソンが第2クオーター中盤に10ヤードのタッチダウンランを決め、反撃を開始。その次のドライブで、アンドリュースがヘッドコーチの大胆なコールを見事に成功させ、SoFiスタジアムの勢いと感情に大きな変化を生み出した。
アンドリュースのランから4プレー後、ジャクソンはエンドゾーンにいたベイトマンに美しいロングパスを通した。このプレーでは、チャージャーズのコーナーバック(CB)クリスチャン・フルトンがパスインターフェアランスの反則をとられたにもかかわらず、ベイトマンが見事なキャッチを決めている。そのようにして8プレー、93ヤードのドライブを締めくくったレイブンズは、14対10のリードを奪い、そのリードを最後まで手放さなかった。
ジャクソンはアンドリュースのコンバージョンについて「あれはでかかった」と振り返っている。
「第1クオーターで出遅れて、かなりゆっくりしたスタートだったから、勢いを取り戻して、正しい方法で自分たちのプレーをし始める必要があった。試合が進むにつれて、どんどん強くなっていかなきゃいけないし、本来のやり方で終わらせる必要がある」
「でも、俺たちは勝ったし、あのコンバージョンに関しては、とにかく素晴らしかった」
アンドリュースの2ヤードのゲインは、レイブンズの支配的なランゲームのほんの一部に過ぎない。ランニングバック(RB)デリック・ヘンリーが140ヤード、RBジャスティス・ヒルが55ヤード、ジャクソンが15ヤードを稼いだことで、レイブンズは合計212ランヤードを獲得し、試合の主導権を握った。
今回の勝利で、ジョン・ハーボーは弟との対戦成績を3勝0敗としている。ただし、今回はジムがチャージャーズに加わってから初めての対決だった。
アンドリュースは試合後に『NFL Network(NFLネットワーク)』のブリジット・コンドンに「あの家族は本当に素晴らしい。彼らの父親と2人について考えると、ただただ素晴らしい家族だと思う」と話している。
「俺たちにとって、ハーボーコーチをサポートして、この勝利を手にすることができたのは本当にクールだ」
敗北のつらさを味わいながらも、ジム・ハーボーはフットボールの最高のレベルで兄と対戦できることは素晴らしいことだと認めている。
「このレベルで、これほど競争の激しい環境で戦えるのは本当にクールだ」とジム・ハーボーはコメント。
夜がふけるにつれて兄弟対決への熱気は次第に収まっていったが、今回の試合はプレーオフ争いの真っ只中にある2チームが激突し、レイブンズが最終的なスコア以上に印象的な形で勝利を収めるという結果になった。
「最も重要なのは、今夜は彼らがより良いフットボールをしたということだ」とジム・ハーボーは述べている。
レイブンズがチャージャーズを打ち破る中での転換点は、アンドリュースがスニークを決めた瞬間にあった。
それは最新の兄弟対決の流れを変えるプレーとなったが、試合後の反応には影響を与えていない。
ジムが「私たちは同じことを言って、彼の勝利を祝った。ああ、愛している」と語った一方で、ジョンは次のように話している。
「ただ彼に“君は素晴らしいコーチで、素晴らしいチームを擁している。愛している”と言った。そしたら彼は“愛している、おめでとう”と言ってくれた。良かったよ」
【RA】