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6度のスーパーボウル制覇を誇るビル・ベリチックがHCとしてノースカロライナ大学と契約締結へ

2024年12月12日(木) 09:39


ビル・ベリチック【AP Photo/Chris Szagola】

ビル・ベリチックがフットボールの指導から離れた1年間は、結果的に休職期間となった。

現地11日(水)、NFLのヘッドコーチ(HC)としてスーパーボウル制覇を6度経験したベリチックがノースカロライナ大学(UNC)のヘッドコーチに就任する契約をまとめ、カレッジレベルに活躍の場を移すことになったと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが報道。その報道の前に、『Inside Carolina(インサイド・カロライナ)』は水曜日に両者間で契約締結が間近であると報じていた。

ノースカロライナ大学ターヒールズとベリチックは3年3,000万ドル(約45億6,567万円)の契約を結ぶとラポポートはつけ加えている。

現在72歳のベリチックは1年間のブランクを経て再び指導の現場に復帰するが、今回はプロレベルではない。ベリチックは24シーズンを過ごしたニューイングランド・ペイトリオッツを離れた後、アトランタ・ファルコンズとの複数回にわたる面談が実を結ばず、他のチームとも契約が成立しなかったため、この1年は毎週出演する『Inside the NFL(インサイド・ザ・NFL)』を含め、複数の放送番組に出演していた。

2024年NFLシーズンは、ニューヨーク・ジェッツのアシスタントヘッドコーチ兼守備コーディネーター(DC)を務めていた最後の年にあたる1999年より後で、ベリチックがNFLのヘッドコーチを務めていない初めてのシーズンとなっている。

その不在は際立っていたが、一時的なものにすぎないと見られていた。

しかし、驚くべきことに、現在は3チーム(ニューヨーク・ジェッツ、ニューオーリンズ・セインツ、シカゴ・ベアーズ)が暫定ヘッドコーチの下で2024年シーズンの残りを戦っているにもかかわらず、ベリチックのNFL復帰の可能性についてはほとんど動きがなかった。ベリチックはNFLの候補者として注目が高まるのを待つ代わりに、先月のマック・ブラウン解任後に自身への関心を隠さず示していたノースカロライナ大学の職を引き受けることを選んでいる。

ベリチックがノースカロライナ大学と面談したというニュースが流れたのは先週だ。ベリチックは月曜日に『The Pat McAfee Show(ザ・パット・マカフィ・ショー)』に出演した際に、自身が統括する場合の大学フットボールプログラムがどのようなものになるのかを概説した。

その際にベリチックは次のように話している。

「強調しておくが、もし、仮に、私が大学プログラムに加われば、そのプログラムはNFLでプレーする能力を持った選手たちにとって、NFLへのパイプラインになるだろう。NFLでも通用するトレーニング、栄養、戦術、コーチング、技術などを含んだ、プロフェッショナルなプログラムになるはずだ」

「それは大学レベルのNFLプログラムとなり、大学卒業後であれ、プロとしてのキャリアを終えた後であれ、選手たちがフットボールから離れた後のキャリアに備えるための教育となるだろう。だが、それは選手の育成や時間管理、規律、構造など、NFLに所属しているかビジネスの世界にいるかに関わらず、人生に役立つスキルを育成することを目的とすることになる」

「私はナショナル・フットボール・リーグで競争する機会を獲得する能力を持つ選手たちの道を切り開くためのコネクションがナショナル・フットボール・リーグにあることに大きな自信を持っている。選手たちに十分な実力があるかどうかは分からないが、彼らがそれに備えているということに関しては一切疑っていない」

ベリチックがカレッジフットボールに進出するのは初めてだ。海軍アシスタントの父親スティーブ・ベリチックの人脈のおかげで、ビルは大学を経由することなく、1975年にテッド・マーチブローダが率いるボルティモア・コルツのスタッフの下級職に就く機会を得た。マーチブローダの下で特別アシスタントとしてコーチングキャリアを開始したベリチックは、1979年にニューヨーク・ジャイアンツに移り、最終的にはビル・パーセルズの下で守備コーディネーターに就任した。

その後、ベリチックはジャイアンツからクリーブランド・ブラウンズに移り、1991年から1995年までヘッドコーチを務めた。ボルティモアへのフランチャイズ移転に伴う人員整理の対象となり、ニューイングランドとニューヨークで再びアシスタントを務めた後、2000年にペイトリオッツのヘッドコーチに就任。そこから伝説的な活躍が始まった。ベリチックの指導下でペイトリオッツはスーパーボウルに9回出場し、そのうち6回で優勝を果たし、20年間にわたってNFLのトップチームであり続けた。

元クオーターバック(QB)トム・ブレイディの退団により、ペイトリオッツでのベリチック時代は終わりに近づいた。2020年から2022年にかけて、ペイトリオッツは10勝以上を1シーズンでしか達成できず、2023年シーズン終了をもって、ベリチックとペイトリオッツは双方合意の上で決別。ベリチックの代役であり元選手のジェロッド・メイヨが後任を務めることとなった。

フォックスボロで過ごした24シーズンの間に、ベリチックはプロスポーツ史上最も素晴らしい王朝の1つを築き上げた。ベリチックは現在、ドン・シュラが記録したヘッドコーチの歴代最多レギュラーシーズン勝利数(328勝)まであと26勝、歴代最多レギュラーシーズンおよびプレーオフ勝利数(347勝)まであと14勝に迫っている。ノースカロライナ大学に所属することで、シュラの記録に並ぶ、あるいは上回るチャンスはなくなったようだ。

ノースカロライナ大学は州内のライバル校であるノースカロライナ州立大学にシーズン最終戦で敗れる数日前にブラウンを解雇。これにより、ブラウンは44勝33敗、ボウルゲームでは1勝4敗という成績で、チャペルヒルでの在任期間を終えた。ノースカロライナ大学はNFLのレジェンドが自分たちを強豪校に変貌させてくれることを期待している。

【RA】