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プロレス世界タイトル戦に挑む元DTフランシス、「TNAでは俺がクオーターバックだ」

2024年12月13日(金) 13:19


A.J.フランシス【AP Photo/Paul Sancya】

元ディフェンシブタックル(DT)A.J.フランシスが、ニューヨーク・ジャイアンツの元ジェネラルマネジャー(GM)デイブ・ジェトルマンに感謝の気持ちを伝えることは、まずないだろう。

しかし、今となっては感謝してもいいのかもしれない。

2018年の夏にフランシスはジャイアンツからリリースされ、その直後に戦いの舞台をフットボールのフィールドからプロレスのリングへと移した。

かつて毎年のようにロースター入りを懸けて戦っていたフランシスが、今やプロのレスラーとしてキャリア最大の試合を迎えようとしている。フランシスは現地13日(金)夜に行われる“Total Nonstop Action (TNA) Wrestling【トータル・ノンストップ・アクション(TNA)・レスリング】”の世界タイトルマッチで、ニック・ネメスに挑む。

アトランタのセンター・ステージ・シアターで行われ、『TNA+』で配信される試合を前に、フランシスは「金曜日は正直、俺のキャリアで最大の瞬間だ」と『NFL.com』に語った。

「これが俺にとって初めての世界タイトル戦だ。20年、30年とレスリングを続けても、TNAレベルの世界タイトルマッチに出られない選手もいる。レスリングの世界タイトルの中でも、TNAのタイトルほど名高く、歴史的で、重要なものはほとんどない。そんなタイトルを懸けた試合に出場できる機会をもらえたこと自体が、名誉であり特権だ」

ゴンザガ高校(シカゴ・ベアーズのQBケイレブ・ウィリアムズと同じ母校)出身のフランシスは、メリーランド大学からドラフト外でNFL入りを果たした。2013年から2018年にかけてマイアミ・ドルフィンズ、ニューイングランド・ペイトリオッツ、シアトル・シーホークス、タンパベイ・バッカニアーズ、ワシントン・レッドスキンズ(現コマンダース)、そしてジャイアンツでディフェンシブラインマンとしてプレーした。

今回の試合に出場する元NFL選手はフランシスだけではない。

今は“ムース”のリングネームで知られる元ガード(G)のクイン・オジンナカは、2006年から2016年にかけてアトランタ・ファルコンズ、ペイトリオッツ、ロサンゼルス(セントルイス)・ラムズ、インディアナポリス・コルツでプレーした元オフェンシブラインマンであり、TNA世界王者のタイトルを2度獲得した経験を持つ。しかし、今回の主役はフランシスだ。

「レスリングを始めてまだ6年しか経っていない」と34歳のフランシスは語った。

「ただ、今年は間違いなくキャリアで最高の年だった。このチャンスを手にするために全力を尽くしてきたし、自分がこの世界タイトル戦にふさわしい存在だと証明するのが楽しみだ」

振り返ればあっという間とも言える長いキャリアを歩んできたフランシスは、WWEのような一般層にも認知度の高いプロレス団体からリリースされて以降、驚くべき成長を遂げてきた。

プロレスラーとしてのフランシスの原点は、多くのジャイアンツファンが共感するであろう出来事に由来している。それは、ジェトルマンによる誤った判断だとフランシスは考えている。

「俺は間違いなくロースター入りに値するプレーをしていた。でも、ジェトルマンは俺を残さないという決断を下した」とフランシスは振り返る。

「ジャイアンツのファンに聞けば、彼は他にもたくさんの間違いを犯したと誰もが言うだろう」

フランシスがジャイアンツから正式にリリースされたのは2018年9月1日だった。

ジャイアンツからリリースされたことがレスリングへの道につながったのと同じように、WWEから放出されたことが、新たな、これ以上ない道へとつながっている。

「WWEでは、バックアップのオフェンシブラインマンみたいな感覚だった。彼らは必要なときに、俺を使う。でも、本当に俺を必要としているわけじゃない。TNAでの俺はクオーターバックなんだ。プロボウル級のクオーターバック。スーパーボウルで競えるクオーターバックだ」とフランシスは話している。

【R/A】