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カウボーイズQBロモ、「プレーはしたい。でもチームの邪魔はしたくない」

2016年11月16日(水) 17:06


ダラス・カウボーイズのダク・プレスコットとトニー・ロモ【AP Photo/Michael Ainsworth】

ダラス・カウボーイズのクオーターバック(QB)トニー・ロモが地元ダラスのメディアを前に、自らに代わってカウボーイズを8勝1敗に導いた新人QBダック・プレスコットの活躍やチームへの思い、今の正直な心境などについて初めて口を開いた。

冒頭で会見を開いた理由を説明したロモは「今日は自分の気持ちを皆に伝えるために来た。たくさん質問があるとは思うけど、今日は質問を受け付けない。今から言うことが質問の答えになることを願っているし、もし答えが出てこなくても、将来的には話すつもりでいる。長々と話すつもりもない。今のチームの現状、自分の立ち位置、自分の心境をしっかりとまとめてきたつもりだ」と語り、現在の気持ちを次のように明かしている。

「僕にとって今シーズン前半戦は精神的に決して簡単なものではなかった。自分がプレーしてきた中で、一番実力を持ったチームとプレーできると思っていた矢先にケガで戦線を離脱したのは本当に辛かった。復帰にかかる時間が3週間でなく、10週間と聞いた時は言葉を失った。チームメイト、チーム、ファンに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。QBとしてチームを優勝に導くべき立場にいただけに、なおさらだ。チームを勝たせることがQBの役目であり、QBは勝ってこそ評価されるものだ。僕がQBというポジションを愛している理由もそこにある。ただ今は、ベンチからチームを助けることもできない。だからこそ自分と向き合う必要があったんだ」

「シーズンは短く、1試合1試合が重要になっていく。自分が輝くチャンスも少なくなっていく。そして自分の代わりとなる後継者も現れた。2年連続のケガに加えて、もう30代半ばになる。メディアにはいろいろ言われ、周囲からも疑われ始める。キャリアを通してここまで積み上げてきたものを、また一から始めないといけないわけだ。部外者扱いされた気分だった。コーチ陣は同情してくれるかもしれない、でも彼らにも仕事がある。正直、お先真っ暗だったし、今までで一番落ち込んだと思う。座りこんで”何でこうなってしまったんだ”って自問した。でも人間は窮地に立たされた時に本性が現れるんだ」

「フットボールは実力主義だ。繰り返し結果を出していくしかない。自分の実力を証明していくしかNFLでは生き残れないんだ。それを代表する例がダク・プレスコットだ。彼は自分の実力で今の先発QBのポジションを勝ち取った。それはボクも認めざるを得ない。チームを8勝1敗という戦績をあげるのは、決して簡単なことではない。僕が今フィールドに立っていたいと思っているのは間違いない事実。勝利する気持ち良さを知っている人は分かると思う。その気持ちはまだ持っている。ベンチから見ているのは決して簡単なことじゃないけれど、勝ちたい気持ちはまだある。でも自分がダクの立場だった時のことを今でも覚えているし、彼にとっても今が一番楽しい時期なはずだ。その時の印象に残っているは、僕を助けてくれた人たちだ。もし僕がダクにとっての支えになれるであれば、それが一番だと思っている」

「カウボーイズが今シーズン、躍進を遂げているのは皆知っていると思う。僕が原因でダクやチームの勢いを止めることはしたくない。僕がダクを応援していることをダクも理解していると思うし、彼もまた僕を応援してくれている。結果的に一番大事なのはチームなんだ」

「子供の時から何か大きい存在の一部になりたい自分がいた。ハイスクールでもカレッジでも、チームの勝利を心から願っているチームメイトが重要になるんだ。誰しもが勝利の立役者になりたいと思っている。でもそんなチームとしての目的を、一人一人が役目を果たし、団結して達成してこそ、意味がある。これを忘れてはいけないと思っている。個々の成績や名誉のためでなく、チームのために結束することに意味があるはず。そのプロセスを通して最高の自分を目指していく。だからフットボールは素晴らしいんだ。だからまだこのスポーツを続けたいと思うんだ」

「最後に、この経験を通して学んだことを共有したいと思う。誰しも常に2人の敵と戦っているということを分かってほしい。1人は自分の目の前にいる敵。もう1人は自分の中にいる敵だ。一度自分の中に潜む敵を倒してしまえば、自分の目の前にいる敵は存在しないのと同じなんだ。あとはどうやってその敵を倒すか。今日はありがとう」