ブラウンズQBワトソンが再びアキレス腱断裂、2025年シーズン絶望か
2025年01月11日(土) 06:23デショーン・ワトソンはリハビリの挫折のみならず、再断裂に見舞われたことで、さらにもう1シーズンを棒に振る可能性が浮上した。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地10日(金)、クリーブランド・ブラウンズのクオーターバック(QB)であるワトソンが再び右アキレス腱を断裂し、木曜日に修復手術を受けたと報道。
当初のアキレス腱断裂から3カ月と経たずして再断裂に見舞われてしまったワトソンは復帰に向けて長い道のりを歩まなければならない。ラポポートによれば、2025年シーズンの全試合欠場もあり得るという。
その後、ワトソンの再断裂と手術を受けたことを公表したブラウンズは声明の中で次のように説明した。
「今週初め、ワトソンはブラウンズのシーズン終了時プロセスの一環である期末の身体検査を受けるため、クロスカントリー・モゲージ・キャンパスに出向いた際、マイアミで足首をひねったとして違和感を訴えた。MRI検査の結果、アキレス腱の再断裂が確認された。いずれの手術も、ノースカロライナ州シャーロットの足関節専門医、ボブ・アンダーソン医師が執刀した。ワトソンの回復期間とプレー復帰の状況ははっきりしておらず、2025年シーズンにかなりの間、欠場することになりそうだ」
月曜日にはブラウンズのジェネラルマネジャー(GM)を務めるアンドリュー・ベリーがワトソンのリハビリに後退があったことを明かし、来季の稼働についてさらなる疑問を突きつけたところだった。
月曜日の時点で、ベリーGMは「この数時間で知った新しい情報だ。なので、まだすべてを把握していない。大ケガだからといって、何も除外したくはない。今はまだすべての情報を集めているところだ。われわれの焦点は彼が可能な限り健康になるようにすることだ」と述べていた。
今回の新たな手術によってワトソンのタイムラインは再スタートを余儀なくされ、2025年シーズン中に復帰できたとしても、すでに苦戦を経験していたワトソンが2度のアキレス腱負傷を経てパフォーマンスを発揮できるかどうかが問題だ。2024年シーズンはカーク・カズンズ(アトランタ・ファルコンズ)とアーロン・ロジャース(ニューヨーク・ジェッツ)がアキレス腱のケガから復帰を果たしているが、どちらも機動力に欠けるシーンが見られた。
さらに、今回の負傷はクリーブランドに移って以降のワトソンの悲惨さを増幅させてもいる。ブラウンズが大量のドラフト指名権と引き換えにヒューストン・テキサンズからワトソンを獲得して以降、ワトソンがレギュラーシーズンの試合に出場したのは51戦中わずか19試合。2022年にはマッサージセラピーの施術中に性的暴行行為を働いた疑惑を受け、NFLが定める個人行動規範違反で11試合の出場停止処分を受けた。ワトソンはその後2シーズンをいずれも故障者リザーブ(IR)に名を連ねて終えている。
ブラウンズ加入以前も、テキサンズ時代の2021年に全試合を欠場しており、2025年もケガで完全欠場となれば、最大85試合出場可能な計算となる5シーズンでわずか19試合しかプレーしていないことになる。
フィールドに立ってなお、29歳のワトソンは期待された効果を発揮できていない。プロボウル選出の経歴も持つ司令塔としてワトソンに2億3,000万ドル(約361億6,852万円)を完全保証した5年契約締結時に、ブラウンズが得られると考えていたものは何も手にできていないと言えよう。パスの精度をはじめ、プレッシャー時にパニックに陥ったり、フィールドを適切に把握できなかったり、レシーバー陣との信頼関係も築けていなかった。この3シーズン、ブラウンズのクオーターバックとして出場したほぼ全員が、ヘッドコーチ(HC)ケビン・ステファンスキーのオフェンスでワトソンよりも活躍していたことがワトソンの苦境を物語っている。
ワトソンの2025年シーズンが絶望となる可能性を抱える今、ブラウンズにとってはフルタイムの後任を招へいする道を開くことになるかもしれない。2025年NFLドラフトで全体2位の指名権を持つブラウンズはクオーターバックの安定性を求めるべく、新人クオーターバック獲得に動くかもしれない。ワトソンの有償契約を考えれば、安価なルーキー契約で手に入れられるクオーターバックの確保がブラウンズにとっては最善の転換に向けた動きになるだろう。
ドラフトやオフシーズンでどのような道に進むかにかかわらず、今回のワトソンの負傷もまた、ブラウンズが2022年に期待していた苦しいQB事情の解決策にならないことは確実だ。
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