「組織を生き返らせ、特権意識を排除する」とペイトリオッツHCに就任のブラベル
2025年01月14日(火) 13:10マイク・ブラベルがニューイングランド・ペイトリオッツの殿堂入りを果たしたのは記憶に新しい。現地13日(月)、殿堂入りの式典が行われたマサチューセッツ州フォックスボロの施設で、ブラベルは新しいヘッドコーチ(HC)として正式に紹介された。
ブラベルは挨拶の冒頭で、「このプロセスを通じて私と面談し、チームの指揮者として検討してくれたすべてのチームに感謝している」と述べ、「だが、最終的には自分自身、家族、そして心の奥底で、ここが私の居場所だと確信していた」と続けた。
ブラベルは、同じく元ペイトリオッツの選手であるジェロッド・メイヨの後任を務めることになる。メイヨは4勝13敗という期待外れの成績に終わり、わずか1シーズンで今月5日に解雇された。ブラベルはペイトリオッツの文化を再構築することを最初の課題に挙げている。
「われわれのフットボールチームを生き返らせたい」とブラベルは語った。
「この施設を生き返らせたい。ファンを生き返らせたい。そして最も重要なのは選手たちだ。彼らに主導権を与えつつ、連帯責任を共有するプログラムを提供したい。彼らが誇りに思い、戦いたいと思えるようなプログラムだ」
「毎日ここにいる権利を自ら勝ち取る。このチームから特権意識を排除する。ヘッドコーチからポジションコーチ、選手に至るまで、全員が日々その権利を勝ち取らなければならない」
ペイトリオッツのオーナーであるロバート・クラフトは、2000年から2023年にかけてビル・ベリチックが築き上げた輝かしい時代を継承する計画を、メイヨの解任により早々に断念した。クラフトは、メイヨを「非常に困難な状況」に置いた責任を認めつつ、ブラベルが持つヘッドコーチとしての経験と、ベリチック時代に選手として培った深い理解が、再建への鍵になると確信している。
月曜日にクラフトは次のように述べた。
「面接の過程で、マイクは現在のチームに対する深い理解を示してくれた。そして何よりも重要だったのは、われわれが再びチャンピオンシップ争いに加わるための、明確かつ焦点を絞った戦略を提示してくれたことだ。それはわれわれ全員にとって重要であるだけでなく、ファンのみなさんが期待し、また当然提供されるべきものだと考えている」
ブラベルが引き継ぐロースターは、過去3シーズンにわたりプレーオフ進出を逃し、30年ぶりとなる最長のレギュラーシーズン敗退期間を記録したチーム構成がそのまま残っている。
2024年シーズンのペイトリオッツで明るい話題を唯一提供したのは、クオーターバック(QB)ドレイク・メイだった。ドラフト全体3位指名で入団したメイは、チームが1勝4敗でスタートした後のシーズン第6週から先発に抜擢され、パス攻撃に勢いをもたらした。ルーキーシーズンを通じて先発した12試合で3勝9敗を記録し、2,276ヤード、タッチダウン15回、インターセプト10回、パサーレーティング88.1という成績を残している。
ブラベルは、メイを含むペイトリオッツに戻ってくる全選手に、自身の指揮の下で「やり直す機会」が与えられると話している。
メイの起用について、「彼の周りには優秀な選手を配置するつもりだ」とブラベルは述べた。
「私の関与は、ゲームマネジメントや状況認識、そしてフィールドでの状況判断に関することになるだろう。また、オフェンスのリーダーとして彼を育成することが目標だ。クオーターバックがプレーをコールする際に、全員がそのプレーでタッチダウンが決まると信じられるような説得力を持たせたい。すべてがどのように機能するかに重点を置きたい。ドレイクにはこれからも彼自身のスタイルでプレーしてもらうが、勝利に必要な要素を提供していくつもりだ。われわれは効率的なパス攻撃を展開しなければならない」
ペイトリオッツは2025年のNFLドラフトで全体4位指名権を有している。先発した12試合で34回のサックを受けたメイを守ることが今後の優先事項とみられている。ブラベルは選手獲得において、ペイトリオッツの人事担当副社長を務めるエリオット・ウルフと協力していく意向を示した。
「最も重要なのは、何を目指し、どのように取り組み、そしてどのように選手を獲得していきたいのかという組織全体のビジョンが共有されていることだと思っている」とブラベルは言う。
「常に意見が一致する必要はない。むしろ、そういう環境は作りたくない。ただし、共有されたビジョンがあり、そこに到達するための異なるアプローチが存在することが大切だ。スタッフが私と同じ考えを持つ必要はないし、全ての選手が同じタイプである必要もない。多様なアイデアを持つことこそがカギだ」
ブラベルはテネシー・タイタンズのヘッドコーチとして6シーズンを指揮し、レギュラーシーズンで54勝45敗、プレーオフで2勝3敗の成績を残した。2021年にはタイタンズをカンファレンス首位に導き、年間最優秀コーチ賞を受賞。在任中に最も功績を収めた2019年には、チームをAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームへと導いた。その年のプレーオフでタイタンズは、ジレット・スタジアムで実施されたワイルドカードゲームでペイトリオッツを破っており、これはトム・ブレイディがペイトリオッツの選手として戦った最後の試合となっている。
連続して負け越しシーズンを記録したことを受け、ブラベルが2023年のシーズン終了とともにタイタンズを去ったことは驚きをもって受け止められた。アクロン出身でオハイオ州立大学の卒業生であるブラベルは、翌年をクリーブランド・ブラウンズのコンサルタントとして過ごしている。
49歳のブラベルはNFL選手として14シーズンのうち8シーズンをペイトリオッツの選手としてプレーし、スーパーボウルを3度制覇した。チーム史上4番目となる48回のサック記録し、2023年10月にペイトリオッツの殿堂に迎え入れられている。
『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、選手としてスーパーボウルを制覇したチームのヘッドコーチ(暫定ヘッドコーチは除く)に就任するのは、ブラベルが史上4人目だという。また、ブラベルがメイヨの後任となったことで、ペイトリオッツはグリーンベイ・パッカーズに次いで、チームの元選手が連続してヘッドコーチを務めた2番目のチームとなった。パッカーズでは、1983年シーズン終了後にフォレスト・グレッグがバート・スターの後任としてヘッドコーチに就任している。
ペイトリオッツは世紀の変わり目に、背番号50番のユニフォームを着たブラベルがサイドラインを駆け巡る中、輝かしい時代の幕開けを迎えた。ブラベルはチームリーダーとしてチャンピオンシップを支えるディフェンスの要であり、選手時代にはレッドゾーンで脅威となり、重要な場面でいくつものタッチダウンを決めた。その経験が、ペイトリオッツがブラベルを再び迎え入れる決断を下す一因となった。そして、その栄光の日々の記憶は、フォックスボロでブラベルが新たに指揮を執る上での指針となるだろう。
「スタジアムに掲げられた旗は、われわれの勝利に直接役立つわけではないが、勝利に必要なものを思い出させる素晴らしいシンボルだと考えている。組織に不可欠な人材、無私無欲の姿勢、努力、そして犠牲を払う覚悟だ」とブラベルは語った。
「だから、あの旗は私にとって勝利に必要なものを思い出させてくれるものなんだ。旗が掲げられているだけで、われわれがフィールド上で有利になれるわけではないが、成功するためにどれほどの努力が必要か、何をしなければならないかを明確に示してくれる」
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