新契約で合意に至らず、カウボーイズHCマッカーシーが退任へ
2025年01月14日(火) 15:37ダラスにおけるマイク・マッカーシー時代が終わった。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロが現地13日(月)に報じたところによると、マッカーシーが新たな契約期間についてチームと合意に至ることができず、2025年シーズンにダラス・カウボーイズのヘッドコーチ(HC)として復帰しないことになったという。
その後、チームが正式に発表した。
カウボーイズのオーナーであるジェリー・ジョーンズは声明で「私はマッカーシーがここでの職務に就いて以来、この数週間を含め、彼が成し遂げてきた仕事を非常に高く評価してきた。それは、その期間の成績、チームの結束と文化、マイクの資質と成功の実績、そして素晴らしい人格といった個人的なレベルにも当てはまる」と述べ、こう続けた。
「私はマイクのことをとても尊敬している。彼は在任中、非常に独特で困難な時間を通してチームを導いてきた」
「この1週間、マイクと私は選手やスタッフなど、あらゆる側面について合同で検討する機会を持った。また、チームの今後についてもかなりの時間をかけて話し合った。そうした議論は徹底的に行われ、十分な時間と深さをもって進められた。しかし、契約交渉に至る前に、別々の道を歩むことがお互いにとって最善だということが明らかになった。マイクには感謝している。そして、彼や妻のジェシカ、ご家族の皆さんの幸せを願っている。彼らは私たちのコミュニティにとって素晴らしい存在だった」
火曜日に契約が切れる予定だったマッカーシーは、5シーズン在籍し、そのうち3シーズンでプレーオフに導いたカウボーイズを去り、新たなチームを探すことになる。マッカーシーは指揮官を務めた5シーズンでレギュラーシーズンに49勝35敗、プレーオフで1勝3敗という成績をもたらした。
ジョーンズは負傷者が相次いだ2024年シーズンの途中にマッカーシーの契約延長を検討すると示唆しており、カウボーイズがシーズン後半に5試合中4試合に勝利した際にも、マッカーシーを擁護し続けていた。
カウボーイズは高い期待を寄せられていた今シーズンを7勝10敗で終えている。ジョーンズはシーズン終了後もマッカーシーへの称賛を口にし続け、1月5日には「マイクは私が知る中で最高のコーチの1人だ」と報道陣に語っていた。
また、スタークオーターバック(QB)ダック・プレスコットもベテランコーチを支持し、12月初旬にはヘッドコーチへの信頼を表明しつつ、マッカーシーは“再契約”にふさわしい存在とまで言っていた。
しかし、プレスコットが9試合を欠場した影響もあり、負け越したシーズンを経て、両者は前に進むことになった。ダラスでのマッカーシー時代は始まったときと同じような状況で幕を閉じている。
マッカーシーの就任初年度にあたる2020年シーズンの第5週にプレスコットは脚を負傷。シーズンの大半でアンディー・ダルトンが司令塔を務めた結果、6勝10敗という結果に終わった。しかし、プレスコットが完全復帰すると、マッカーシーのビジョンが現実のものとなるのにそれほど時間はかからなかった。
マッカーシーは2021年から3シーズン連続でチームを12勝5敗に導き、その過程で2度のNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区制覇を達成。カウボーイズを何度もスーパーボウル争いに絡む存在へ引き上げた。
2021年から2023年にかけて、オフェンスで圧倒的な力を見せていたカウボーイズは、トータルヤードと得点でトップ5にランクインしている。プレスコットは3シーズンでタッチダウン96回に対してインターセプト34回、パサーレーティング101.6を記録し、大きな活躍を見せた。その中で、シーディー・ラムもNFL屈指のワイドレシーバー(WR)として頭角を現し、2023年にはレシーブ135回で1,749ヤード、タッチダウン14回と、フランチャイズ史上最高のレシーブ記録を残した。
しかし、マッカーシーはレギュラーシーズンで成功を収めた一方で、その流れをプレーオフに持ち込むことができなかった。それがマッカーシーの任期が終了する根本的な要因なのかもしれない。
2021年シーズンはワイルドカードラウンドでサンフランシスコ・49ersに敗れたことで終了した。レギュラーシーズンにトータルオフェンスと得点でトップに立っていたにもかかわらず、カウボーイズはホームで臨んだ49ers戦で17得点しか挙げられなかった。
一方、マッカーシーは2022年のポストシーズンでカウボーイズを勝利に導き、フランチャイズにとって30年ぶりとなる敵地でのプレーオフ勝利をもたらした。カウボーイズはその試合でタンパベイ・バッカニアーズを31対14で下し、トム・ブレイディはその試合を最後に引退している。しかし、カウボーイズはまたしてもNFCのライバルである49ersを打ち負かすことができず、19対12で敗北。ディビジョナルラウンドで7連敗という不名誉な記録を更新した。
その後、カウボーイズは2023年のワイルドカードラウンドでマッカーシーがかつて所属していたグリーンベイ・パッカーズと対戦したが、その因縁めいた試合は屈辱的な結果に終わった。カウボーイズはAT&Tスタジアムで前半終了時に27対0という大差をつけられ、苦しみながらも追い上げを試みたが、最終的に48対32で大敗。これにより、マッカーシーの立場に対する懸念が一層強まった。
カウボーイズは2024年もマッカーシーと共に進むことを決断したが、負傷者が相次ぎ、シーズン第9週にはプレスコットも失った。ハムストリングを負傷したプレスコットはシーズン終了を意味する手術を受けている。マッカーシーはクーパー・ラッシュを司令塔に据えてチームを支え続けたものの、(プレスコットが健康な状態だったにもかかわらず)シーズン序盤に苦戦したことが影響し、最終的にはプレーオフ争いから脱落した。
マッカーシーが採用された2020年と同様に、カウボーイズのヘッドコーチ職は大きな注目を集める役職となるだろう。このオフシーズンには高額なロースターに関する決断を求められる――最も注目されているのはスターラインバッカー(LB)マイカ・パーソンズの契約延長だ――が、カウボーイズにはプレスコットやラムなど、競争力の維持に必要なピースがそろっている。
マッカーシーは2025年の採用サイクルで複数の選択肢を得ると予想されている。シカゴ・ベアーズは先週、マッカーシーとの面談を要請したが、カウボーイズは独占交渉権を理由にその要請を拒否した。ペリセロによると、マッカーシーは今週中にベアーズと面談する予定だという。また、NFLネットワークのイアン・ラポポートは月曜日に、ニューオーリンズ・セインツも関心を持っている見込みだと報じている。
ベアーズ、セインツ、または新たにヘッドコーチを探している他のチームが、スーパーボウル制覇経験のあるマッカーシーの獲得に動くかどうかは、いずれ分かるだろう。
【RA】