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第1シードながらプレーオフ敗退に「私の責任だ」とキャンベルHC、QBゴフも「俺のせい」

2025年01月20日(月) 02:42


デトロイト・ライオンズのジャレッド・ゴフ【AP Photo/Seth Wenig】

1年目のクオーターバック(QB)ジェイデン・ダニエルズとワシントン・コマンダースが世界に衝撃を与えた。

その過程で彼らは、デトロイト・ライオンズのヘッドコーチ(HC)ダン・キャンベル、QBジャレッド・ゴフと、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)第1シードだったチームを失意の底に突き落とした。

ディビジョナルラウンドで45対31というまさかの敗北を喫し、期待のポストシーズンが波に乗る前から終わってしまったキャンベルは、責任意識と落胆をあらわにした。

第6シードに敗れたということが、敗北をいっそう受け入れがたくしているのではないかと聞かれ、キャンベルは答えている。「どんなものでも敗北は苦痛だ。第7シードだろうが、第6だろうが、第5だろうが、第1だろうが、どうだっていい。そのすべてにこんな形で敗れたということだ。これはつらい。苦痛だよ」

ライオンズは2023年シーズンにNFC北地区で初のタイトルを獲得し、1991年以来となるNFCチャンピオンシップゲームに臨んだ。かつての絶望的なフランチャイズから復活を遂げたライオンズは、応援しやすいアメリカの人気チームとなった。

2024年のライオンズはもはや成り上がりのアンダードッグなどではなく、NFCに君臨する百獣の王だった。

レギュラーシーズン最後の試合で勝ってミネソタ・バイキングスを上回り、カンファレンスのトップシードを獲得。フランチャイズの長い年代記の中でもいまだ達成されていないスーパーボウル制覇の有力候補と目されていた。

しかし、回復のためのバイウイークを得たにもかかわらず、ライオンズがコマンダースに襲いかかることはなかった。最大の願いと望みは、ルーキーの活躍と5回のターンオーバーという不運によって絶たれてしまった。

「ミネソタ戦の後はみんな有頂天になっていた。なのに、こうしてここに立って、すべてを受け入れるのは難しい」と3回のインターセプトとファンブルロストを喫したゴフは言う。

ライオンズは第1クオーターでランニングバック(RB)ジャーマイア・ギブスがタッチダウンを決め、7対0のリードを奪った。しかし、意志を貫くことはできず、セーフティ(S)クアン・マーティンに40ヤードのインターセプト・リターン・タッチダウンを決められ、第2クオーターでコマンダースに10点のリードを許してしまう。

「最悪だ」とゴフは嘆く。「俺がもう少しいいプレーをしていれば。もっとうまくボールを扱えば良かった。あのピック6は本当に悔やまれる。俺の判断ミスだ。他のはゲームで時々あることだ。けど、まあ、俺のせいだよな。俺がもっと気をつけるべきだったんだ。そうしていれば、俺たちにもっと勝つチャンスがあったのに」

ゴフもキャンベルHCも敗北の責任から逃げようとはしなかった。

ヘッドコーチが責任を認めたことについて、ゴフは驚かなかった。結局のところ、ライオンズをここまで引き上げたのは、キャンベルのそうした性格、人柄だったのだろう。

「彼はうちの宝だ。そうなんだよ」とゴフ。「そんなことしなくていいのに、そういう人なんだ。俺たちはそんな彼の感情、エネルギーに力をもらっている。彼は俺たちを信じ、愛して気遣ってくれる。同時に彼も俺たちにすべてをさらけ出してくれるんだ。みんなが自分自身にすごくガッカリしている。それがいいチームというものだ。でも、みんながベストなプレーをできていれば、違う結果になっていたかもしれない。分からないけど、そう考えたいな」

ショックを受けた後でどちらも感情が高ぶっていた。

早期に道が絶たれてしまったせいもあるだろうが、そこに至るまでの流れがそうさせたのだろう。

今年のライオンズは、特にディフェンス陣にケガ人が多発する中で、それを乗り越えてここまでやってきた。しかし、この日はさすがのアーロン・グレンのディフェンスも困難を克服することはできず、481ヤードと4回のオフェンシブタッチダウンを許してしまった。

シーズンを通してMVP級の活躍を見せてきたゴフだったが、肝心な時に失態を演じてしまった。

ゴフもキャンベルもコメントでコマンダースをたたえることは忘れなかったが、多くの後悔が胸中をよぎっているのは明らかだった。

「俺がもっとうまくやっていたら、勝てたか? たぶんね」とゴフは言う。「オフシーズンの間ずっと、俺はその思いにさいなまれるだろう」

ターンオーバーの多さもそうだが、ライオンズ最大の失策は、残り14分15秒でフィールド上の選手が多過ぎるとしてフラッグを投げられたことだろう。31対28で追うライオンズの5ヤードラインから、第4ダウン残り2ヤードという場面での考えられないようなミスだった。新たなダウンを得たコマンダースは、2プレー後にRBブライアン・ロビンソンJr.の1ヤードランで得点を挙げた。

「私の責任だ」とキャンベルは述べた。「私の責任なんだ」

シーズン最後の夜はライオンズにとってうまくいかないことばかりだった。

失意の暗闇の中でキャンベルとゴフが見せた姿勢は、2025年シーズンの希望になるかもしれない。

しかし、キャンベルは何も保証されていないことを知っている。昨シーズンの衝撃的な敗北の後で自身がそれを予言していた。

NFCチャンピオンシップゲームでハーフタイムに17点リードしていたにもかかわらず、サンフランシスコ・49ersに敗れた後でキャンベルは、「これが私たちの唯一のチャンスだったかもしれないと選手たちに伝えた」と語っている。「私はそう考えているか? いいや。そう信じているか? いいや。だが、ここまで来るのがどれほど大変か、それは知っている。知り尽くしている。その上、ここまで戻ってくるのに来年は今年より2倍大変になる。それが現実だ」

カンファレンスの第1シードを獲得しながらも、ライオンズは前シーズンの成功を再現できなかった。それが過酷な現実だ。

「今は素晴らしい年だったなどと振り返る時ではない」と15勝2敗を記録したレギュラーシーズンについてキャンベルは述べた。「この瞬間に、そう感じている者は誰もいないはずだ。そうだろう? われわれのしていることはすべて、最大のショーにたどり着くためのものなんだ。そのためにプレーしている・・・にもかかわらず、われわれは目標を達成できなかった」

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