「幸いにして史上最強の助っ人がいる」とキャロルHC、トム・ブレイディの知見を生かしてQBポジション中心にレイダース構築へ
2025年01月28日(火) 08:45現地27日(月)に開かれたピート・キャロルのラスベガス・レイダース新ヘッドコーチ(HC)就任記者会見ではひとつの事実が明白になった。73歳という年齢で指揮官に就任したとはいえ、シアトルにその情熱を置き去りにはしておらず、報道陣に「もちろん、とてつもなく興奮している。驚くことではなかろう」とコメント。
「まず、背中にこの73という数字を背負うことを誇りに思っているわけではない。それで突き動かされるわけでないからね。何かを成し遂げて自分の価値を証明することではない。大事なのは次に何をするか。(中略)今回のフットボールシーズンは控えめに過ごしてきた。(中略)それでも、いつだってこの状況から離れることなく、常にどうすべきかを考えてきた。再びこのような機会を与えてもらえたことに感謝している」
「次に進む一歩、それが自分を奮い立たせる。次なる挑戦だ。戻ってくること、あるいは乗り越えること。成し遂げたばかりの成功を祝った後には、基本に立ち返り、並外れた一貫性を継続することが私を駆り立てる。楽しくやることやボールを投げるやり方など、皆さんがご存知のピート流も一部ではあるが、何よりも競争という点だ。そして、自分に価値があり、それに見合っていることを証明する。年齢など関係ない。歳を重ねてどう続けるのか、それを知りたい人がいるなら、毎日、戦い、競争し、より良くなる方法を探し続けることだ」
キャロルHCはシアトル・シーホークス時代、ジェネラルマネジャー(GM)のジョン・シュナイダーと良好な関係を築き、一から強豪チームを作り上げた。今回、キャロルHCは新たにGMに就任したジョン・スパイテックとタッグを組み、さらに、キャロルHC時代のシーホークスをスーパーボウルで撃破したことがあり、かつ、スパイテックがフロントオフィスにいた時代のタンパベイ・バッカニアーズをスーパーボウル制覇に導いたことのあるトム・ブレイディというマイノリティオーナーからのアドバイスにも耳を傾ける姿勢を見せている。
特に、ブレイディのポジションだったクオーターバックにおいて、レイダースが長期的なプランを欠いている状況を踏まえると、ブレイディの経験や知識を活用するのは賢明と言えよう。これが、ロースター作りに向けてキャロルHCとスパイテックGMの最初の課題になると予想される。
「クオーターバックポジションを中心に、このフットボールチームを作り上げていくのがわれわれの使命だ。幸いにして史上最高選手の助けを得られる。彼が持っている以上の知見を有している者は他にいないので、当然、でき得る限り、トムの知見に頼るつもりだ。彼は唯一無二の存在。ただし、クオーターバックポジションはチームにおけるポジションのひとつであり、他のすべてのポジションとうまく組み合わせる必要がある」
「これまでに、大学時代も含めて、私は素晴らしいクオーターバックたちと仕事をしてきた。彼らは皆、チームの重要なメンバーになってくれた。クオーターバックの課題や挑戦をチーム全体が支える形で受け入れる術がある。われわれがサポートし、うまく機能するようにできることをやらなければならない。クオーターバックというポジションを中心にして素晴らしいフットボールチームを作り上げることが大事だ」
シーホークス時代、キャロルは3巡目指名のラッセル・ウィルソンを擁していた。マット・フリンのバックアップになることを期待されてシーホークス入りし、初めてのレギュラーシーズンが始まる前に先発クオーターバックの座を勝ち取っている。この一連の流れは2度のNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)優勝、1回のスーパーボウル優勝、複数のプレーオフ出場を含む10年にわたる成功の幕開けとなった。
一方で、現在のレイダースにそのようなオプションはない。QBエイダン・オコンネルが3年目を迎え、クオーターバックとしてはレイダースにとってベストプレーヤーだったが、フランチャイズクオーターバックというよりも、長期的なバックアップにプラスアルファが付くような役割が適していると見られている。紙の上では、レイダースにはクオーターバックの解決策が必要だ。
ブレイディのような選手は簡単に見つかるわけではないが、その成功例は次のフランチャイズQBに求めるべき特性についてヒントを与えてくれるだろう。
また、スパイテックGMはブレイディについて「私が思うに、史上最高の選手のそばにいるチャンスを得たと思っている。純粋な試合に対する愛情と逃げることを許されない競争心だ。彼は決してあきらめることがなかった。普通のフットボール選手がやりたがらないようなことも彼は進んでやっていた」と語る。
「このチームにも、そういったリーダーを見いだすために、あらゆる手を尽くすつもりだ。ただ、その仕事には一定の条件がある。必ずしも、最強の腕や最高の投げ手が必要なわけではない。チームメイトを快適ではないような場所にプッシュするような選手だ。それによって勝利への道が開ける。それこそがベストなプレーヤーであり、われわれはそういった選手を見つけるつもりだ」
スパイテックGMとキャロルHCが指揮を執る今、既存のロースターにとらわれることなく、自らのビジョンに沿ってチーム作りに励む自由がある。彼らはそのプロセスをゆっくり進めるつもりはないと言う。
キャロルHCのシアトル時代や南カリフォルニア大学でのタイトル獲得という成功から学んだことがあるとすれば、そう長く大人しくしていることはないだろうという点だ。彼はひとつのスピードしか知らず、どんな困難が待ち受けていようとも、それをもってレイダースを率いていくだろう。
キャロルHCは「タイムラインやら、そういったことを疑問に思っている人もいるかもしれない。私が携わった過去数回のプログラムでは頂点に立つのに数年かかった。でも今回は今すぐスタートさせる。5年後や6年後を目指しているわけではない。たった今この瞬間から全力を尽くす。チームをできる限り早くに構築しなければならない」と述べ、次のように付け加えた。
「マックス(クロスビー)、メッセージを送ってくれ。われわれは君を追いかけるつもりだ。君たちを探し出し、できるだけ早く、最高の期待をもってこの仕事を始めていく。願わくは、皆の耳に届くような形で、このメンタリティがハイパフォーマンスを駆り立てていければと思っている」
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