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ゴールラインでペナルティが繰り返されれば、相手チームに得点を与えることが可能だとレフェリーのショーン・ホクリ

2025年01月28日(火) 09:56


ワシントン・コマンダースのフランキー・ルブ【NFL】

NFLのルールブックオタクでないかぎり、日曜日に行われた試合を見た者は、新たな知見を得たはずだ。ディフェンスがペナルティを繰り返す場合、レフェリーはオフェンスにタッチダウンを与えることができる。

NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップ戦の第4クオーター序盤、ワシントン・コマンダースのラインバッカー(LB)フランキー・ルブが、フィラデルフィア・イーグルスをエンドゾーンに入らせないようにするために、必死に奮闘していた。策略に富むベテランは、繰り返しオフェンシブラインに飛び込み、エンクローチメントのペナルティを科されている。これを受け、レフェリーのショーン・ホクリがコマンダースに対し、パーソナルファウルがコールされる可能性を警告。さらにディフェンシブエンド(DE)のジョナサン・アレンがイーグルスのハードカウントにつられてオフサイドになった後、ホクリはまるで子どもを叱る両親のように、レフェリーは実際のところ、繰り返されるペナルティに対して、他方のチームにタッチダウンを与えられることを全世界に知らしめた。

ホクリは試合中のアナウンスで「こういったタイプのふるまいが繰り返された場合、レフェリーは得点を与えることが可能だとワシントンは警告された」と説明していた。

ただし、警告は結局、その後の展開とは無関係に終わった。イーグルスのクオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツが自ら、次のプレーでエンドゾーンにたどり着いたのだ。これによって、イーグルスがコマンダースの棺にくぎを打ち、最終的にイーグルスが55対23で勝利している。

ルブは試合後に、オフサイドを繰り返すことでペナルティになるとは認識していなかったと話した。『ESPN』によれば、ルブは次のようにコメントしたという。

「俺はただジャンプのタイミングを図っていただけだ。彼らはショートヤーデージをかなりやっていて、俺はただ狙っていた。そういう考え方だった。狙って、うまくいけばうまくいく。ダメなら、立て直す。3度目に、俺にスポーツマンらしくない振る舞いで15ヤードのペナルティを科すと言われた。俺は何のことか分からなかった。彼らは向こうに得点をやりたかったんじゃないかな。だから、そこからはやめて、ああいう展開になった」

ホクリは代表取材記者のザック・バーマンに対し、ワシントンが引き下がらなかった場合、公正なふるまいに関するルールが適用される可能性があったと述べた。

「単純に、1つのチームが相手の得点を防ぐために複数の反則を犯すようなことがあってはならない。その中で、4番(ルブ)が何度か飛び込んでおり、その際に警告を行っている。繰り返すが、それが得点を防ぐためのものならば、われわれは原則として、得点を与えることができる」

この一件で、フットボール界はNFLルールブックの第12章第3節第2項について知ることになった。

この項目はスポーツマンらしくない挙動について規定するもの。“得点を阻害する意図での反則”とのタイトルで、簡潔に「守備陣は得点を阻害するために、連続して、もしくは繰り返して反則を犯してはならない」とされ、次のように続けられている。

「ペナルティ:得点を阻害するための連続した、もしくは繰り返された反則:警告後に違反行為が繰り返された場合、それに関連する得点が攻撃側のチームに与えられる」

コマンダースのミドルラインバッカー(MLB)ボビー・ワグナーのように経験豊富な13年目の選手でさえ、タッチダウンを与えられる可能性があることに気づいていなかった。ワグナーはプレーとプレーの間に、レフェリーと言葉を交わしている。

「俺はただ、彼らがオフサイドにラインアップしていると伝えたかっただけだ。タッチダウンを与えることができるなんて知らなかった」

イーグルスの“タッシュ・プッシュ”のポテンシャルを考えれば、日曜日に起こった一連の出来事がこれまでに起こらなかったことの方が驚きだったかもしれない。1ヤードラインでハーフ・ザ・ディスタンスのペナルティを受けるのは守備陣に大きな影響を与えない、スナップのタイミングを狙うことにはそれだけの価値がある。いずれかの時点で、レフェリーが繰り返されるペナルティに対して相手チームに得点を与えざるを得ない状況は訪れるだろう。少なくとも今後は、そのルールを知らなったと守備陣が言うことはできない。

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