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セインツHC候補のムーアOCがチームに与えた影響について語るイーグルスの選手たち

2025年02月05日(水) 14:45


ケレン・ムーア【Greg Trott via AP】

第59回スーパーボウルの後にニューオーリンズ・セインツのヘッドコーチ(HC)候補として面談を受ける予定のケレン・ムーアにとって、現地9日(日)に臨む試合はフィラデルフィア・イーグルスの攻撃コーディネーター(OC)として指揮を執る最後の試合になるかもしれない。

ニューオーリンズでは週の早い段階から関係者の間でこの話題が持ちきりになっている。第59回スーパーボウルの優勝チーム――カンザスシティ・チーフスかイーグルス――が勝利の余韻に浸る間に、ムーアは1週間滞在した街に引き続きとどまるための契約の最終調整に入る可能性がある。

イーグルスの中にはそのような結果を考えないようにしている選手もいる。火曜日、オフェンシブタックル(OT)ジョーダン・メイラタはセインツがムーアを採用しないように仕向けるべく、冗談まじりにムーアをけなした。

メイラタは笑顔で「ちょうど“ケレン・ムーアはひどいコーチだ”と言おうとしていたところだ」と話している。

「とにかく彼を雇うべきじゃない。彼は本当にひどいコーチだからさ」

「彼は導き方、方向性、戦略、選手たちとの関わり方に関して、ものすごく準備が整っていると思う。選手たちのことを知り、意見を言う機会を与え、選手たちの好みを知ろうとする。攻撃コーディネーターとそういう関係になっていれば、選手たちはその人のためにより一層頑張るんだ。彼は間違いなくヘッドコーチになる能力を持っている。でも、みんな彼のことはいらないだろ。誰も彼のことなんていらないはずだ」

メイラタが発言する前に、タイトエンド(TE)ダラス・ゴーダートはより穏やかな形で自身の意見を述べている。

月曜日、ゴーダートは第59回スーパーボウルのオープニングナイトで「彼はオフェンスを率いてプレーをインストールし、オフェンスの選手たちに自信を与えるという点で素晴らしい仕事をしてきた」とコメント。

「彼は俺たちにとって素晴らしい存在だ。彼がどんな違いを生み出したのか、全部は分からないけど、オフェンスでの成功には満足している」

「彼は良いヘッドコーチになるだろうけど、俺は彼をOCとして気に入っている」

ムーアはロサンゼルス・チャージャーズの元HCブランドン・ステイリーのスタッフとして不運な1シーズンを過ごした後、2024年にイーグルスに加入。低迷するイーグルス攻撃陣に新たな視点をもたらした。その移行は劇的なものではなかったが、ランニングバック(RB)セイクワン・バークリーの加入もあり、イーグルスはオフェンスでNFL内8位につけ、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)タイトルを獲得した。

カンファレンス制覇は成し遂げていないものの、イーグルスは2023年シーズンにもオフェンスで8位につけている。しかし、その状況は今季とまったく異なっていた。2023年、イーグルスは素晴らしいスタートを切ったが、シーズン最後の7週間で調子を崩し、1試合を除くすべての試合で敗北。ニック・シリアニHCはシーズン終了後に自身の進退に関する質問を受け、コーディネーターの刷新を行うことになった。

その後、シリアニHCは両コーディネーターの採用に成功。ムーアを東海岸に呼び寄せ、ビック・ファンジオを40年前にコーチングキャリアを開始した場所に呼び戻した。イーグルスのディフェンスがファンジオの下で一流のレベルでプレーした傍ら、ムーア率いるオフェンスはポストシーズンでの生産性に関する懸念を払拭し、NFCチャンピオンシップゲームで55得点を挙げてライバルのワシントン・コマンダースを圧倒した。

クオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツは火曜日に「彼は異なる考え方やアプローチをもたらしてくれたと思う」と話している。

「俺は常に、できる限り多くを学ぶという姿勢を保っている。キャリアのほとんどの年で、違うコーディネーターがいて、違う指示を聞いてきたから、俺のアプローチは、とにかくできる限り多く学んで、それらを取り入れて自分のゲームに生かし、最終的に勝利する方法を見つけることだった」

スーパーボウルへの道筋が、バークリーの加入とその貢献によって築かれたわけではないにしても、その地図を描き出したのは確実にバークリーだと言えよう。バークリーの存在がイーグルスをオフェンス8位という成績に導き、複数のプレーオフ勝利をもたらした。しかし、バークリーだけがオフェンスに変化を起こしたわけではなく、ムーアもパス攻撃の戦略を練る上で重要な役割を果たし、相手がバークリーだけに集中しないようにしている。

シリアニHCは火曜日にムーアとファンジオについて「もちろん、2人とも私たちにとって非常に重要な存在だ」と述べた。

「他の人たちの素晴らしさがなければ、素晴らしい存在になることはできない。コーチから選手へ、選手からコーチへ。2人は素晴らしい仕事をしてくれた。年の初めにも、トレーニングキャンプ中に彼らのコーチングの細部を見て、同じようなことを言っただろう。面談のプロセスやOTA(チーム合同練習)中に彼らのことを少し理解した上で、彼らと多くの時間を過ごしてきた。あの2人の採用は大成功だったと思っている」

日曜日にスティーブ・スパグニョーロDC率いるチーフス守備陣に対峙するイーグルスにとっては攻撃のバランスが非常に重要になるだろう。シリアニHCにとっても、ハーツにとっても、ムーアにとっても、それ以外のことを考える余裕はない。

「私たちはこの試合に集中している。ケレンもこの試合に集中している」と強調したシリアニHCは次のように続けた。

「私もこの試合に集中しているし、この試合以外のことはあまり考えていない。他のことに少しでも注意を向けると、本来の目標に集中できなくなるからだ」

「ケレンにチャンスがあることは分かっているし、どうなっても仕方がない。だが、私は自分が知っていることを彼に教えて、他のコーチたちからしてもらったように彼のことをサポートできたらいいなと思っている。ただ、ケレンが機会を得たときに、フットボールの指導で非常に細かいところまでこだわることは分かっている。彼はこのゲームを愛していると思う。ものすごく懸命に取り組んでいるし、選手たちが成功し、成長できる状態に持っていく素晴らしいオフェンシブマインドを持っている。人としても素晴らしく、一緒に働くには最高の人物だ。つまり、ケレンには大きな敬意を抱いているし、1年の終わりにどうなるか見てみよう」

【RA】