トレードされる可能性があるWRサミュエルの「代わりになる選手はいない」と49ersのTEキトル
2025年02月20日(木) 13:27
ワイドレシーバー(WR)ディーボ・サミュエルのサンフランシスコ・49ersでの時間は終わりに近づいているようだ。
最も尊敬を集めているチームメイトの1人であるタイトエンド(TE)ジョージ・キトルは、今こそチームが今後の方針について正直になるべき時だと考えている。それは、現実、選手の価値、戦略的適合性、代替候補者について認識することから始まるプロセスだ。
最も対処が難しいのは最後の部分かもしれない。
最近、『USA Today(USAトゥデイ)』の『Sports Seriously(スポーツ・シリアスリー)』に出演したキトルは「ディーボの代わりになる選手は本当にいない」と語った。
「彼の能力を考えると、NFLで最も優れた選手の1人だと思う。まあ、1つ言えるのは、彼は俺を除くと一番YAC(ヤードアフターキャッチ)が得意な選手だってことだな。自分を持ち上げておくよ、俺もかなり得意だしね。でも、ボールを持ったときの彼は本当にすごい。スロットでもアウトワイドでもバックフィールドでも、どこに配置しても面白いことができる。タックルをかわしてランニングバック(RB)みたいに走って、爆発力とスピード、機敏性で相手を振り切るんだ。とにかく彼は唯一無二の選手だ」
「彼の代わりを見つけることは本当にできないと思う。それができないから、俺たちはオフェンスをちょっと違った形で構築していかなきゃいけない。でも、ディーボはものすごく素晴らしいフットボール選手だ。彼のチームメイトでいられてうれしかったし、彼と一緒にフィールドに立って、戦うのが大好きだった。もし彼がトレードされることになったらすごく悲しくなるだろう。でもそれと同時に、俺はいつだって選手たちが機会を手に入れることをうれしく思うし、それこそ選手がNFLで求めていることだ」
キトルはサミュエルが特別な選手である理由を非常に的確に評価している。新人だった2019年から万能な選手として起用されてきたサミュエルは、フィールドのあちこちで活躍し、プレーオフで49ers攻撃陣の実力を解放させる重要な存在であることをたびたび証明してきた。
とはいえ、近年は健康状態が問題となっている。サミュエルは過去2シーズンでそれぞれ15試合に出場してきたが、頻繁に故障者報告に名前が載り、さまざまな不調によって制限を受けてきた。
2024年シーズンはサミュエルのパフォーマンスを正確に評価する材料とはなり得ない。49ersでは負傷者が相次ぎ、ほとんどの期間をフルメンバーで戦えなかったからだ。しかし、サミュエルのキャリアを通じて49ersを見てきた人々は、サミュエルがオフェンスで以前と同じように重要な役割を果たしていないことに同意するだろう。それは、昨年にWRブランドン・アイユークと大型契約を締結した49ersが、サミュエルのトレードに興味を示している理由を説明しているのかもしれない。
両者の決別は“もし”ではなく“いつ”の問題のように見える。つまり、49ersが2025年にサミュエルを欠く中でどのように調整するのかを考える時が来たということだ。
キトルは「ロースターには今も、ジャワン(ジェニングス)、ACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)断裂からの回復を目指しているアイユーク、リッキー・ピアソルの3人が残っているし、スロットにはトレント・テイラーやジェイコブ・カウイングがいる。クリス・コンリーもいる」とコメント。
「ディーボを外して考えると、誰がステップアップするのかという問題になる。アイユークは・・・シーズン第1週には出場しないと思う。分からないけどね。もし出場できたら素晴らしいよ。アイユーク、お前ならできるさ。信じている」
「でも、ジャワンはナンバー1ワイドレシーバーとしてプレーできることを証明しているし、3回のタッチダウンと170ヤードを記録した試合もある。彼は試合に出てやるべきことをやる選手だ。彼のためにゲームプランを立てて、いくつか機会を与えるだけでいい。リッキー・ピアソルは去年末の(デトロイト)ライオンズ戦で140か150ヤードを稼いで1回のタッチダウンを決めていた。うちには結果を出せる選手がいる」
キトルは間違っていない。ジェニングスは2024年シーズンに驚くべき活躍を見せ、多くのファンを魅了。キャリア最高のシーズンを過ごしたジェニングスは、以前のキャリアハイの2倍以上にあたる77回のレシーブを記録し、1,000ヤード突破まであと一歩のところまで迫った。また、ピアソルが2024年シーズンを力強く締めくくったことで、49ersのWR陣に対する期待感は高まっている。それは、サミュエル不在の将来について考えているジェネラルマネジャー(GM)ジョン・リンチにさらなる自信を与えているかもしれない。
仮定の話は当てにならないが、49ersは今後の見通しに楽観的になれるだろう。なぜなら、彼らは2024年シーズンの大半で、主力選手の1人であるRBクリスチャン・マカフリーも欠いていたからだ。マカフリーが健康な状態でランナーとしてもパスキャッチャーとしてもオフェンスで貢献すれば、サミュエルの退団はより受け入れやすいものとなるだろう。
「去年ずっと欠けていた、ワイドレシーバーたちにとって助けになることは、クリスチャン・マカフリーが復帰することだろう」と語ったキトルはこう続けた。
「彼は去年の大半を欠場していて、ハイライト映像に登場することもなかったけど、復帰するはずだし、俺は彼が去年ほとんど出場できなかったことに怒りを感じながら戻ってくると予想している。最高のクリスチャン・マカフリーが見られると思うよ」
「クリスチャンのように、あらゆるルートを走れて、ランプレーでも素晴らしい活躍ができる選手がいたら、ワイドレシーバーも俺もいろんなことができるようになる。だから、戦略を練る(ヘッドコーチ/HCカイル)シャナハンコーチとのコンビネーションは、成功を収めるための素晴らしい組み合わせになると思う」
シャナハンHCが就任してからの49ersはしばしば、健康状態という重要な要素によって説明されてきた。壊滅的なケガを回避できたシーズンで存分に競争力を発揮してきた49ersは、カンファレンスチャンピオンシップゲームに4回出場し、2勝2敗の成績を収めている。一方、ケガが問題となったシーズンでは、10回以上の敗北を喫する結果となった。
さまざまな要素の中でも健康は何よりも重要な要素だ。サミュエルのトレードで十分な見返りを得ることも、49ersが今後、オフェンスを強化する上で役に立つだろう。
現時点では単なる憶測に過ぎないが、来月には結論が出ているはずだ。切なさを感じながらも、キトルはサミュエルが去っても49ersは大丈夫だと確信している。
【RA】