テキサンズが複数のドラフト指名権と引き換えにLTタンシルをコマンダースにトレードへ
2025年03月11日(火) 12:34
多忙なオフシーズンを過ごしているワシントン・コマンダースが、現地10日(月)にも大型トレードをまとめた。
コマンダースがプロボウルに5回選出された経歴を誇るレフトタックル(LT)レアミー・タンシルを獲得し、その見返りとしてヒューストン・テキサンズに複数のドラフト指名権(2025年ドラフトの3巡目指名権および7巡目指名権、2026年ドラフトの2巡目指名権および4巡目指名権)を送ると『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが報じた。ラポポートによると、コマンダースはタンシルに加え、2025年ドラフト4巡目指名権も受け取るという。
このトレードは、コマンダースが3月に入ってから2度目の大型補強を行ったことを意味する。コマンダースはドラフト5巡目指名権と引き換えにサンフランシスコ・49ersからディーボ・サミュエルを獲得し、経験豊富でダイナミックな能力を持つベテラン選手をワイドレシーバー(WR)陣に加えた。
クオーターバック(QB)ジェイデン・ダニエルズの信頼できるブラインドサイドプロテクターとしてチームに加わるタンシルは、スターQBのポテンシャルを即座に最大化すると見られている。ダニエルズは鮮烈なルーキーシーズンにフランチャイズの立て直しに貢献し、オフェンス部門年間最優秀新人賞を獲得。プレーオフに返り咲いたコマンダースは、ポストシーズンに臨んだアウェーでの2試合で番狂わせの勝利を挙げ、第59回スーパーボウルの出場まであと1勝というところまで迫るという魔法のようなシーズンを展開した。
コマンダースはそのような素晴らしいシーズンを過ごした後も現状に甘んじることなく、サミュエルやタンシルのトレードに加え、タイトエンド(TE)ザック・アーツやミドルラインバッカー(MLB)ボビー・ワグナーとの再契約も結び、チャンスを倍増させている。ワグナーは2024年シーズンに10回目のプロボウル選出を果たし、オールプロのセカンドチームにも選ばれた選手だが、過去3シーズンに連続してプロボウルに選出された5人のオフェンシブタックル(OT)のうちの1人であり、過去3年間で『Pro Football Focus(プロフットボール・フォーカス)』によるパスブロッキンググレードで91.9をマークしているタンシルは、その実績によって今オフシーズンに獲得または保持された選手の中で最も優れた選手であることを証明している。
タンシルがトレードされるのはキャリアで2度目だ。2019年にはマイアミ・ドルフィンズがタンシルと複数の指名権をビル・オブライエン率いるテキサンズにトレードし、見返りとしてドラフト1巡目指名権2つと2巡目指名権1つを獲得している。今夏に31歳になることを踏まえると以前ほどの価値はないと言えるが、過去6シーズン中5シーズンでプロボウルに選出されたタンシルは、またしても素晴らしいパッケージと引き換えにトレードされることになった。
2016年にドルフィンズから1巡目指名を受けたタンシルは、キャリアの大半をヒューストンで過ごし、当初はQBデショーン・ワトソンのブラインドサイドプロテクターとして活躍。2023年にC.J.ストラウドが加入してポジションが安定するまで、テキサンズが不安定なQB状況を乗り越える中で頼りになる存在であり続けた。しかし、テキサンズのオフェンシブラインは2024年シーズンに大きく苦戦。シーズンの大半でストラウドをうまく守れず、ストラウドの成長を阻害してブロッカーに対する自信を失わせ、最終的に攻撃コーディネーター(OC)ボビー・スロウィクが解雇されたため、今回のような展開になる可能性はあると見られていた。
オフェンシブラインの穴を埋めることがオフシーズンの最優先課題となっている中で、そのグループの主力選手をトレードで手放すことは理にかなっていないように見える。しかし、タンシルは8月初旬に31歳になり、現行契約はあと2年しか残っていない。また、その契約でタンシルはNFLのレフトタックルとして3番目に高い年俸を得る予定だった。テキサンズがタンシルの価値を最大限に生かすとすれば、今がまさにそのタイミングだったと言えよう。
テキサンズはトレードの見返りとして、ロースターを強化するために使える複数のドラフト指名権を受け取ることになった。今週、正式に新リーグイヤーが始まる中、オフェンシブラインの強化に着手すると予想されているテキサンズは、今回の動きを受けてレフトタックルの補強にも取り組むだろう。
【RA】