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キャロルHCと「やり残したこと」を成し遂げるつもりの新レイダースQBスミス

2025年04月08日(火) 12:47


ジーノ・スミス【Ben Liebenberg via AP】

クオーターバック(QB)ジーノ・スミスはNFLでの長い道のりを経てラスベガス・レイダースにたどり着き、ヘッドコーチ(HC)ピート・キャロルと再会を果たした。それは、スミスがかつて不可能に近いと考えていたことだった。

スミスは現地7日(月)に、自分たちの再会は運命の産物だとコメント。その理由は、ややありきたりではあるが、シンプルなものだった。

月曜日に臨んだ入団記者会見で「やり残したことがあるし、俺のストーリーを思い浮かべてもらうと、キャロルコーチはその中で大きな役割を果たしているはずだ」とスミスは説明している。

「彼は多くの人が与えてくれないようなタイミングで機会を与えてくれた。彼は俺が努力していること、この機会を得るために舞台裏でやっていたことを見てくれていた。でも、彼のためにプレーできることや、この組織の一員になれることは、俺自身と家族にとってものすごく大きな意味がある」

「彼には、あなたのために壁を突き破るつもりだと言ったところだし、彼もそれを分かっている。俺はチームメイトやこの組織に対しても同じことをするつもりだし、それが自分自身の在り方や、このチームのクオーターバックとしての自分を表す言葉であってほしいと思っている」

キャロルはスミスに先発の可能性を見出した人物だ。スミスは2019年にシアトル・シーホークスに加入した際、多くの人からベテランのバックアップQBに過ぎないと見られていた。シーホークスのヘッドコーチを務めていたキャロルがジェネラルマネジャー(GM)ジョン・シュナイダーと共にQBラッセル・ウィルソンをデンバー・ブロンコスにトレードすることを決断した際、2人はスミスがその代役を務められると確信していた。そして、スミスは2022年シーズンにその時点でキャリア最高のパスヤード、タッチダウンパス数を記録。シーホークスを9勝8敗でプレーオフ進出に導き、2022年最優秀カムバック選手賞を獲得した。

その1年後、キャロルはシーホークスのヘッドコーチを退任。後任としてマイク・マクドナルドが加入したときに、スミスは自分のシアトルでの日々は終わりに近づいているのかもしれないと感じ取っていた。シーホークスと契約延長交渉で折り合いがつかなかったことを受け、スミスは移籍を決意。移籍先でキャロルと再会するのは当然の流れだったと言え、キャロルはレイダースが最も必要としている司令塔の信頼性をスミスがもたらしてくれると信じている。

「彼は私たちに素晴らしい安定性をもたらし、チームが重視していることに確信を与えてくれるだろう」と述べたキャロルはこう続けた。

「彼の習慣は本当に素晴らしい。彼の仕事への取り組み方、試合の捉え方、あらゆる挑戦に対する見方は、まさに私たちの考え方に一致している。だから、彼は素晴らしい形でチームを象徴する存在となってくれるだろう」

「それが重要な局面で即座に安定感をもたらしてくれると思う。私たちには歴史があり、私はG(スミス)のことも、彼がベストを尽くせるよう手助けする方法も理解している。そして、彼は競争心や私たちが信じているものを体現しているため、私たちのシステムで最大の力を発揮する方法を理解している。これはまさに素晴らしい組み合わせだし、とてもワクワクしている。すでに決まっていたことだが、今日は本当にその瞬間が来たのだと感じている。ついに私たちは一緒にここに座り、フィールドに出てフットボールを投げることについて話している。それが私たちのすべてであり、その点ではこれ以上ないほど強く結びついている」

キャロルはスミスが自身を取り巻く環境に左右されることなく持ち続けてきた決意を称賛し、どれほど小さなものであっても目の前にある機会を最大限に生かすことに集中する姿に感銘を受けたと明かしている。

スミスは1つ1つのプレーを決して当たり前のものと思わないという一貫したアプローチのおかげでここまで来られたと振り返った。

「自分の考え方が変わったことはない。毎日同じだ。外に出て競争し、試合に出て勝ち、最高の選手になるために必要なことをする」とスミスは語っている。

「バックアップだったときも、同じように感じていた。そのおかげで続けてこられたと思うし、先発の機会を得た今でも、何も変わらない。俺は今も、チャンスをつかむために必死に戦わなきゃいけなかった頃の自分のままだ。それが変わることは決してないだろう」

スミスは当面、レイダースで先発を務める見込みだ。先週に2年最大8,850万ドル(約130億3,714万円)の契約延長に合意したことで、その地位は確固たるものとなっている。キャロルからの揺るぎない信頼がスミスの支えとなっている中で、レイダースは今やベテランQBのスミスがけん引するチームとなっている。

スミスは自身の経験と実績を生かし、低迷状態にあるチームを立て直すつもりだ。

「外に出てあらゆるものを勝ち取ることが大事だ。みんなには、そうしなければならないと信じてもらいたい」とスミスはコメント。

「俺は毎日、自分が持っているものをすべて出し切るつもりだ。絶対に手を抜かない。試合で勝つために必要なことは何でもする。チームメイトがその姿を見ることが大事だし、その姿勢から刺激を受けてもらいたいと思っている」

スミスはその挑戦を1人で成し遂げるわけではない。レイダースのマイノリティオーナーであるトム・ブレイディからできる限り多くの知識を吸収したいと考えているスミスは、伝説的な元クオーターバックと交流する際には“スポンジ”のように吸収したいと語っている。それは、ブレイディと同じように“勝つためにここにいること、チームメイトのために正しいことをするためにここにいること”を証明するためだ。

最終的には、結果がそれを証明することになるだろう。しかし、ここ数年で初めて、レイダースは非常に楽観的な見通しで新しいシーズンを迎えようとしている。2025年は実績のあるコーチとクオーターバックがチームを率いる上に、ドラフトで才能のある選手をさらに加える準備も整っている。

楽観的な雰囲気であろうとなかろうと、スミスはそれによって自分が変わることはないと強調。フィールドですべてを勝ち取らなければならないことを理解しており、その準備が整っているスミスは、次のようにコメントした。

「これは大きなリーグだし、いろんなことが言われているけど、このビジネスで一番重要なのは仕事内容や実際にやっていることだと理解している。今日はここでいろいろ話したけど、俺は本当に・・・マーショーン(リンチ)が言っていたように、“行動こそが大事”だと思っている」

【RA】