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父親のがん闘病中もルーキーシーズンに集中し続けるブラウンズQBサンダース

2025年08月05日(火) 14:10

クリーブランド・ブラウンズのシェドゥーア・サンダース【AP Photo/Sue Ogrocki】

クリーブランド・ブラウンズのクオーターバック(QB)シェドゥーア・サンダースは父親が春に膀胱(ぼうこう)がんと闘う中、悲しむ暇もなかった。

しかし、ブラウンズからドラフト5巡目で指名されたシェドゥーアが初めてのNFLトレーニングキャンプに向けて準備を進める中、父ディオン・サンダースは明確かつ率直なメッセージを息子に送っている。

メンタル面で集中し続けろ、と。

現地4日(月)、シェドゥーアは「父は、自分のことは自分で何とかする人だ。俺たちは自分がやるべきことをやる。“お前たちは自分たちが集中できることに集中しなさい。ここでじっと父さんを気の毒に思って自分たちの行動に支障をきたしたらだめだ”って感じだった」と話している。

「結局のところ、みんなは俺がフィールドの内外で経験していることをすべて見て理解している。だからこそ、俺がどう物事に向き合い、自分に降りかかることにどう対処しているかを見れば、それに対して称賛せざるを得なくなる」

月曜日、シェドゥーアは殿堂入りした父のディオンが7月28日に進行性のがんを食い止めるために膀胱摘出手術を受けたと発表して以来、初めて報道陣の前に姿を現した。シェドゥーアは腕の痛みで土曜日の練習を欠席していたが、月曜日にフィールドに復帰している。

シェドゥーアは2025年の最初の8カ月ほどを波乱に満ちたものにしてきたと言っても決して過言ではない。NFLドラフト前に1巡目指名候補として大いに注目されていたシェドゥーアが、実際には5巡目まで順位を落とし、全体144位でブラウンズに指名されたことは広く報じられている。

ブラウンズはベテランのジョー・フラッコとケニー・ピケットが先発の座を争う中、シェドゥーアを慎重に育成している。ドラフト3巡目で指名されたQBディロン・ゲイブリエルもファーストチームの練習機会を部分的に得てきた。

シェドゥーアは現時点で一度もファーストチームのオフェンスに参加していないが、セカンドチームやサードチームでプレーする際に、ファーストチームのディフェンスと対峙したことは何度かある。

「ディフェンスはうまく選手を混ぜていると思う。つまり、(ライン)バッカーとしてルーキーが出ることもあるし、DB(ディフェンシブバック)にいろんな選手が出ることもある」とシェドゥーアはコメント。

「正直、どのオフェンシブラインと一緒にプレーするかは気にしていない。1番でも2番でも3番でも、どんな状況でも構わない。ゲームに取り組む金曜日に、自分が2番と一緒なのか3番と一緒なのかは分かっている。俺にとってそれは問題じゃない。とにかく準備はできているし、自分にできることをやるだけだ」

ディオンが7月23日にタンパベイ・バッカニアーズのキャンプでセーフティ(S)シャイロ・サンダースのもとを訪れた際、関心はすぐに、“コーチ・プライム”の愛称で親しまれるディオンがいつクリーブランドに姿を見せるのか、という点に移った。

しかし、練習機会が限られていることと、父が来れば注目が集まることを理由に、クリーブランドには来ないよう求めているシェドゥーアは、次のように話している。

「父がここに来て、俺がちょっとだけ練習するところを見て、良い父親みたいに応援されるのは嫌なんだ。“いや、今の俺を誇りに思っちゃだめだ。俺は目標に向かって頑張らなきゃいけない”って感じ。目標に到達するために、まだやるべきことがたくさんあることは分かっている。今はとにかくやっていることに集中したいし、邪魔が入ってほしくない」

「みんながそれをどう受け止めるかは分かっている。自分の父親が来ることで、チームから注目を奪っているって思われるだろう。それには良い面と悪い面がどっちもある」

ヘッドコーチ(HC)ケビン・ステファンスキーと攻撃コーディネーター(OC)トミー・リースは水曜日に行われる合同練習と金曜日に臨むカロライナ・パンサーズ戦でのプレー機会の配分について、まだ詳細を明らかにしていない。

状況が不確実な一因は、ピケットとゲイブリエルがハムストリングのケガを抱えていることにある。2人は月曜日にそれぞれ個別練習を行った。

リーグ全体の最近の傾向としては、合同練習ではベテラン選手がスナップの大半を受け取り、プレシーズンゲームではルーキーが出場するケースが多い。シェドゥーアとゲイブリエルにとっては、実際の試合がこれまでで最も良い適応力の見せどころとなるだろう。

ステファンスキーHCは「(クオーターバックが)明らかに(接触禁止を意味する)赤いジャージーを着ていなければ自由に狙われるが、練習や他チームとの合同練習ではそうではない。つまり、そういったことはすべて、シーズンや週ごとにチームにとって何が必要かを見極めようとする中で、コーチとして考慮している要素だと思う」と語っている。

シェドゥーアは月曜日の練習で最高のパスを投げた選手の1人となり、2ミニッツドリルの第4ダウン残り17ヤードの場面でワイドレシーバー(WR)ルーク・フロリアに28ヤードのパスを通した。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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