ニュース

ベンガルズDEヘンドリックソンが契約再構築、今季の報酬は44億円に

2025年08月26日(火) 09:54

シンシナティ・ベンガルズのトレイ・ヘンドリックソン【AP Photo/Stew Milne, File】

ディフェンシブエンド(DE)トレイ・ヘンドリックソンとシンシナティ・ベンガルズの間で長引いていた契約問題が、ついに解消した。

ヘンドリックソンとベンガルズが契約の再構築に合意した。この再構築によって、ヘンドリックソンの報酬は1,400万ドル(約20億6,955万円)増加し、2025年のサラリーは3,000万ドル(約44億1,090万円)になると『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地25日(月)に伝えた。チームも後に、プロボウルに選出されたパスラッシャーとの契約再構築に、正式に合意したことを発表している。

今回合意した内容は2025年シーズン終了時に期限を迎えるため、ヘンドリックソンにはフリーエージェントになってオープンマーケットで大金を得るチャンスがある。特に、サック35回をマークした過去2シーズンのようなペースで成績を残した場合は、その可能性が高まるだろう。ただし、それはベンガルズが来季にフランチャイズタグを使うこと選択しなかった場合の話だ。

ヘンドリックソンは2025年のオフシーズンを通じて契約の件でベンガルズと争っており、2021年にフリーエージェントで加入したチームとの折り合いをつける上で感じたフラストレーションについて公に語っていた。この間にヘンドリックソンとベンガルズのいずれか、もしくは双方がトレードを模索した期間が2度あり、それはトレーニングキャンプにまで持ち越されている。代理人が契約をまとめるべく取り組む中で、ヘンドリックソンはホールドインとホールドアウトの両方を行っている。

月曜日、即時的な解決策がその状況に終止符を打った。

今回の契約再構築は、シンシナティにおけるヘンドリックソンの未来にどういった意味を持ってくるだろうか? ベンガルズは昨シーズンに、プレーオフに到達することができなかった。その原因は、リーグトップのサック17.5回を記録したヘンドリックソンの力を加味しても脆弱だった守備陣にある。ヘンドリックソンを再び仲間に迎えないことには、ベンガルズが後ろめたさを感じることなく2025年シーズンに臨む道はなかった。ベンガルズファンは自分たちのクオーターバックハンティングマシンが戻ってきたことにようやく安心できるだろうが、ベンガルズとヘンドリックソンのパートナーシップという意味では、これが最終章になるかもしれない。

ヘンドリックソンの経済的な要求は、常に正当なものと評されてきた。ヘンドリックソンは過去2シーズンでサック35回を記録しており、昨年はこのカテゴリーでNFLトップに立ったものの、その報酬は同じポジションの他の選手たちより明らかに少ない。2025年にはラスベガス・レイダースのマックス・クロスビー、クリーブランド・ブラウンズのマイルズ・ギャレット、ピッツバーグ・スティーラーズのT.J.ワットが高額で契約を延長。一方、ヘンドリックソンはベンガルズがワイドレシーバー(WR)ジャマール・チェイスやティー・ヒギンズに大枚をはたきつつ、NFLキャリアで重要な時期を迎えている自分には同様の対応がないのを目の当たりにしてきた。

ヘンドリックソンは12月に31歳になる。このことは、ヘンドリックソンと高額の複数年契約を結ぶことを検討しているチームにとって、マイナスの要素になりかねない。その年齢によって、ヘンドリックソンは難しい位置に立たされている。とはいえ、8月末まで待った末にベンガルズが報酬をアップしたことは、ヘンドリックソンが2025年により大きな契約を求めるモチベーションになったかもしれない。今季に過去2シーズンと同様の成績を残した上でオープンマーケットに出ることがあれば、年齢というリスクを引き受けつつ、ヘンドリックソンに報酬を払おうというチームが出てくるはずだ。

一方、今回の契約再構築は、2025年のベンガルズ守備陣にとってどういう意味を持つのか。ベンガルズはここ数カ月にわたって、新守備コーディネーター(DC)アル・ゴールデンの下で立て直しを図ってきた。報じられたキャンプの様子からすれば、2025年のベンガルズ守備陣は、そのパフォーマンスで多くの人々を驚かせることになりそうだった。しかし、プレシーズンゲームのフィールド上では――もちろん、サンプル数としては十分ではないものの――その期待に沿う結果は出ていない。そのことを念頭におけば、ヘンドリックソンの帰還はレギュラーシーズンを前にしたベンガルズにとって、大きな勝利だと言えよう。

今夏にフィールド上の活動をホールドアウトしたことから、ヘンドリックソンのシーズンに向けた準備にどれくらいかかるかを推測する材料はない。ザック・テイラーHC(ヘッドコーチ)指揮下で、シーズン序盤に苦戦することでよく知られているベンガルズとしては、ヘンドリックソンに1カ月近い準備期間を与えるために、この契約を2週間前にはまとめておきたかったはずだ。

しかし、その期間を乗り越えさえすれば、ヘンドリックソンは1巡目指名のシェマー・スチュワートがエッジで力を発揮することが期待される守備陣の一員として戻ってくる。過去2シーズンと同じくらいの好調さを保つことができれば、ヘンドリックソンとスチュワートは強力なコンビとなり、守備陣を立て直していくはずだ。

【A】