「俺たちは諦めなかった」とレイブンズ戦の第4Qで大逆転劇を演じたビルズQBアレン
2025年09月09日(火) 14:41
「資金と席さえあれば」というのは、ポーカーの世界で語り継がれる逆転劇のことわざだ。クオーターバック(QB)ジョシュ・アレンにとっては、フットボールとわずかな時計があれば十分だった。
前年度のMVPであるアレンは、現地7日(日)夜に誰も予想していなかった逆転劇を演出。15点差で迎えた第4クオーターでバッファロー・ビルズを立て直し、ボルティモア・レイブンズを41対40で下した。
ビルズの熱狂的なファンの中にさえ、この圧巻の逆転劇を予想できなかった者がいた。第4クオーターにビルズが40対25とリードを許した時点で、ハイマーク・スタジアムを後にする観客もいたほどだ。だが、そうしたファンはアレンが残り4分5秒で16点を連取し、勝利をもぎ取る瞬間を見逃すこととなった。
『Associated Press(AP通信)』によれば、アレンは試合後にフィールド上で「俺たちは諦めなかった」と『NBC』のメリッサ・スタークに語ったという。
「スタジアムを後にした人たちもいると思う。構わないさ。俺たちは気にしない。ただ、次はもう少し信じてほしい」
アレンが指揮を執る限り、どんな点差でも油断は許されない。
この日のアレンは第4クオーターだけで、今週の多くのクオーターバックにとっては1試合分に匹敵するような成績を残した。アレンは最終クオーターで251パスヤード、タッチダウン3回、パサーレーティング131.3を記録している。
当然ながら、アレンは仲間にも助けられた。ディフェンシブタックル(DT)エド・オリバーがランニングバック(RB)デリック・ヘンリーのファンブルを誘発し、ワイドレシーバー(WR)キーオン・コールマンはティップされたボールをなんとかキャッチしてタッチダウンに結びつけた。さらに、レイブンズが最後のポゼッションで消極的なプレーに終始し、守備でも崩壊したことも追い風となった。きわめつけは、木曜日にチームと契約したばかりのベテランキッカー(K)マット・プレイターが、試合終了の瞬間に冷静にキックを成功させたシーンだった。
「第4クオーター残り8分37秒、40対25とビハインドを背負っていた時点で、ビルズの勝利確率はわずか1.1%。これはジョシュ・アレンがクオーターバックを務めた試合の中で最もあり得ない形での逆転劇であり、過去10年間のNFL全体を見ても13番目に可能性の低い逆転となった」
The @BuffaloBills win probability was as low as 1.1% with 8:37 remaining in the fourth quarter trailing 40-25.
This was the most improbable comeback by the Bills with Josh Allen at QB, and the 13th-most improbable comeback by any team over the last decade.
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— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 8, 2025
予想通り、アレンはこの逆転劇の手柄を独り占めしようとはしなかった。
「全員でつかんだ勝利だ。最後まで粘り強く戦ったチームを誇りに思う」とアレンは語った。
「サイドラインにいた誰ひとりとして動揺しなかった。残り5、6分で15点ビハインドとか、そんな状況でもね。最後まで集中し続けた。観客がスタジアムを後にしても、このゲームは60分間戦い抜くものなんだ。相手は本当に手強いチームだったけど、神が味方してくれるなら、自分たちはやるべきことをやるし、そうできると信じている」
QBラマー・ジャクソンとヘンリーが試合の大部分で主役を演じていたが、残り12分間は完全にアレンの舞台だった。
アレンは46回中33回(71.1%)のパスを成功させ、394ヤード、タッチダウンパス2回、インターセプト0回、パサーレーティング112.0という成績で試合を終えた。さらに、ランでも14回のキャリーで30ヤードを獲得し、2本のラッシングタッチダウンを記録。これにより、シーズン開幕週に4つ以上のオフェンスタッチダウンを挙げた現役MVPとしては、サーマン・トーマス(1992年)、ブレット・ファーブ(1996年)、トム・ブレイディ(2011年)に続き、史上4人目となった。
アレンのチームメートたち、とりわけ新加入の選手たちは、目の前の光景が信じられないようだった。
「まるで夢を見ているみたいだ。とんでもない試合だった」と、ビルズの選手としての初戦を終えたディフェンシブエンド(DE)ジョーイ・ボサは話している。
「こんなにうれしい勝利は初めてかもしれない。もちろん、まだシーズン最初の試合だし、失点も多かったし、自分としてもまだまだ改善の余地はある。でも、勝利を手にできて、オフェンスにチャンスを与えることができた」
「それに、ジョシュ・アレンがいるなら、彼にできる限りのチャンスを与えるべきだ。そうすれば、何だって起こり得る」
まだシーズン第1週に過ぎない。これから257試合が続く。準備はいいか。
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