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QBウェンツが幼い頃に応援していたバイキングスで先発復帰へ

2025年09月19日(金) 11:10

ミネソタ・バイキングスのカーソン・ウェンツ 【AP Photo/Mike Stewart】

クオーターバック(QB)カーソン・ウェンツのNFLキャリアは紆余(うよ)曲折の連続だった。現地21日(日)には、かつては考えられなかった出来事が待ち受けている――自身が幼い頃に応援していたチームの一員として先発出場するのだ。

J.J.マッカーシーの負傷により、バイキングスはシンシナティ・ベンガルズ戦でウェンツを起用せざるを得なくなった。その試合はバックアップQB同士の対決となり、ベンガルズはジョー・バロウがつま先に深刻なケガを抱えていることからジェイク・ブラウニングに先発を任せる予定だ。この5シーズンに5つの異なるチームで先発を経験してきたウェンツは、今回の機会を決して軽く受け止めていない。

チーム公式サイトによると、ウェンツは水曜日に次のように語ったという。

「長くプレーしていると、そういうことは忘れてしまうものだ。だって、これはフットボールだし、いろんなチームを渡り歩くしね。でもここに来て、初めて来たときにも言ったけど、昔応援していた選手たちを見ながら(写真が飾られているTCOパフォーマンスセンターの)廊下を歩くのはどれだけ素晴らしいことなんだって思うんだ。昔はメトロドームに来て、タオルを振って応援していた。だから今週、そのトンネルを抜けてフィールドに出たら、ちょっと違う感覚になるんじゃないかな。本当にクールで、ある意味非現実的な感じがすると思う」

今回の先発はウェンツにとって、チームに対する個人的な思い入れがあるために特別な意味を持つだけではなく、来季以降にバックアップ選手としてNFLで生き残るためにも重要だ。2017年にはMVP候補になったウェンツだが、ここ数年では多くのチームを渡り歩いている。今年はプレシーズン終盤にようやくバイキングスと契約し、控えとして出場するというなじみのある立場に置かれている。

これまでの機会と同様に、ウェンツはバイキングスや他チームの幹部に対して自身の価値を証明できるだろう。しかし、当面はアトランタ・ファルコンズに敗れた前回の試合を経て巻き返しを図ることが最大の焦点となる。

ウェンツの先発出場を前に、チームメイトたちは楽観的な見方を示している。

ベテランワイドレシーバー(WR)アダム・シーレンは「彼は大きな自信を持ってプレーする選手だ。それは先発する前から伝わってきていた。個人練習やルート練習、スカウトチームの練習でも、ボールを投げて楽しむ姿から自信が感じられた」と話している。

「年を重ねてベテランになると、ただ楽しんでやればいいと学ぶんだ。仕事や職業として捉えすぎることなく、与えられた瞬間を最大限に生かす。彼はまさにそれを実践しているし、素晴らしいことだ」

2016年ドラフト全体2位で指名されたウェンツは、今や32歳だ。今後もNFLキャリアを継続するつもりであれば、日曜日のような機会はますます重要になってくる。

ウェンツがグリーンベイ・パッカーズ(2勝0敗)やデトロイト・ライオンズ(1勝1敗)といった強豪がそろうNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)北地区でバイキングスを成功に導くことも重要だ。バイキングスがこれらのチームに食らいつくには、たとえ9月であっても連敗を避ける必要がある。

オフェンスの運用にこだわるヘッドコーチ(HC)ケビン・オコンネルは、ウェンツであればその役割に伴う責任を果たせると感じており、それがベンガルズ戦での成功につながる可能性があると考えている。

オコンネルHCは「今日はチームに、うちには非常に高いレベルでたくさんプレーしてきた選手がいるという話をした。キャリアのこの段階だからこそ、その経験を存分に生かせると思うし、彼が快適にプレーできるゲームプランを作り、安定した成功を収めてもらいたいと考えている」と説明した。

オコンネルHCはウェンツが豊富な経験を生かして実りあるドライブを演出し、最終的に勝利をもたらすことを期待している。マッカーシーが週毎の経過観察とされている現状を踏まえると、バイキングスは幸先の良いスタートを切る必要がある。

ウェンツは「コーチたちは俺ができるだけ早く理解できるよう、本当によくサポートしてくれている」と話している。

「たぶん一番良かったことのひとつは、数週間前にここと契約するチャンスを得たときに、オコンネルコーチがどんなゲームプランを作り、どうやってプレーコールするかを遠くから見て知っていたことだ。遠くからその手腕を心から尊敬し、高く評価し、称賛していたんだ」

称賛が成果につながるのが理想だ。バイキングスは日曜日にそれを試すことになる。

【RA】