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オフシーズンの決断が迫る中、カーディナルスでの将来に疑問符が点灯するQBマレー

2025年11月09日(日) 16:28

アリゾナ・カーディナルスのカイラー・マレー【Brooke Sutton via AP】

カーディナルスのヘッドコーチ(HC)ジョナサン・ギャノンがシーズン第10週の先発クオーターバック(QB)としてジャコビー・ブリセットの名前を発表した翌日、QBカイラー・マレーは長引く足のケガによって故障者リザーブ(IR)入りした。

24時間のうちに、カーディナルスのQB事情を巡る当面の状況は一変してしまった。

突如として、1つの疑問が浮かび上がった。マレーはアリゾナでの最後のプレーを終えてしまったのだろうか?

関係情報筋も明確な結論は持っておらず、完全な答えを知るまでには段階を経る必要がある。数週間、数カ月単位の進展になるだろう。だが、いずれにしても2025年シーズン終了後、オフシーズンにマレーを手放すかどうかについて多くの議論が交わされることになる。

カーディナルスが離別を望んだ場合、そのための選択肢はいくつかある。そして今週の出来事を見ると、彼らがそれを望む可能性は高いように思われる。マレーは3月にリリースされるかトレードされ、競争相手のところでQBのつなぎ役を務めるかもしれない。

はっきりしているのは、2試合連続でパサーレイティング110以上を記録しているブリセットが先発であり、IR入りしたマレーは最低でも今後4週間はプレーできないということだ。では、それ以外についてはどうだろう?

まず、ケガに関して。情報筋によれば、マレーはリスフラン損傷の領域にあたる中足部を捻挫しているとのことだが、リスフラン損傷そのものではないとのこと。靱帯(じんたい)の部分断裂――いわゆる捻挫――であり、骨折や脱臼はない。現在も浮腫(メイヨー・クリニックによれば、組織に過剰な体液が溜まることによって起こる腫れ)は残っている状態だという。

当初の診断では3、4週間の離脱とされていたため、チームはマレーをIRに登録しなかった。しかし、4週間が経過してもマレーは100%の状態ではなく、再びケガをするリスクも残っている。

検査結果を見ると、マレーにはまだ完治していないケガがあることが示されていると情報筋は言う。あと2週間の猶予があれば、マレーは本来の自分らしい自由なプレーができる状態になっていた可能性が高い。もし彼が先発で、日曜日のシアトル・シーホークス戦がプレーオフゲームだったなら、マレーはフィールドに立っていたかもしれない。しかし、そうではない。

これからマレーは4週間、休養してリハビリに取り組むことになり、復帰可能となるのはシーズン第14週、12月7日(日)のロサンゼルス・ラムズ戦からとなる。その時点で、彼をIRから復帰させるかどうかが議論されることになる。

ブリセットが好調な状態であれば、復帰はないかもしれない。もしブリセットがケガをして、チームがプレーオフ争いに絡んでいるならば、マレーが助っ人として登場するかもしれない。理由が何もなければ、答えは「ノー」となる可能性がある。その間についてはさまざまな答えが考えられ、それらは今後数週間のうちに議論されることだろう。

オフシーズンに関しては、マレーが復帰するかどうかは未確定だ。元ドラフト全体1位指名のマレーは、2022年7月に総額2億3,050万ドル(約353億9,212万円)で5年契約にサインし、カーディナルスとの長期的な契約を結んでいる。今シーズンは、そのうち1億4,050万ドル(約215億7,307万円)を受け取ることになっており、2026年には3,683万5,000ドル(約56億5,583万円)をフル保証されている。

カーディナルスが彼をカットすれば、その全額を負担することになる。さらに、期限の問題もある。もしマレーが来年3月のリーグイヤー開始から5日目の時点でロースターに残っていれば、2027年分の1,950万ドル(約29億9,413万円)が(実質的に1年早く)フル保証される。

簡単に言えば、カーディナルスが2027年の報酬支払いを回避するためには、3月までに彼をカットしなければならないということだ。リリースした場合、5,770万ドル(約88億5,955万円)のキャップヒットが発生するが、これは2026年と2027年に分割計上することが可能だ。一方、トレードした場合、デッドキャップヒットは1,790万ドル(約27億4,846万円)に抑えられ、3,530万ドル(約54億2,014万円)を節約できる。

どちらにしても高額だ。

カーディナルスにとっては、いくらかの金銭的負担から逃れられるトレードの方が間違いなく望ましい。だが、それは同時に別の先発QBを見つけなければならないということでもある。とはいえ、トレードには3者(カーディナルス、マレー、関心を持つチーム)間の調整、カーディナルスが金額の一部または全額を負担するという合意、そして双方が合意できるトレード相手が必要となる。これは可能な話ではある。しかし、過去の例を見ても、これだけの変動要素があるとかなり困難だということが分かる。

マレー側とすれば、カーディナルスのメンバーでなくなるのであれば、2026年のリーグイヤー開始前にリリースされる方が望ましい。最近のラッセル・ウィルソンのピッツバーグ・スティーラーズに対する状況と同様に、契約が相殺されることになるからだ。マレーは最低額でチームと契約することができ、プレーオフに行く準備はできているものの、QBがいないチームにとって大きな価値を持つ存在となる。

多くの未確定要素がある中、マレーの将来は次のオフシーズンで大注目の議題となるだろう。

【M】