移籍後の初戦で再編されたイーグルス守備陣をけん引したDEフィリップス、パッカーズに勝利
2025年11月12日(水) 12:39
現地10日(月)の夕方、マイアミの気温は心地よい気温19度前後。
一方、約2,600キロ離れたウィスコンシン州グリーンベイは氷点下に迫る寒さだった。そんな中、ディフェンシブエンド(DE)ジェイラン・フィリップスはフィラデルフィア・イーグルスの一員として初めて姿を現した。
フィリップスは、その瞬間を心からかみしめていた。
マイアミ・ドルフィンズからトレードされてわずか1週間。フィリップスにとって移籍後初の試合で、チームは今シーズン最高のディフェンスを披露し、グリーンベイ・パッカーズを10対7で下した。
この試合でフィリップスはタックル6回、QBヒット2回、タックルフォーロス1回、フォースドファンブル1回、そしてチーム最多となるQBプレッシャー7回を記録。試合後にフィリップスは「とにかく感謝の気持ちでいっぱいだった」と語った。
「試合前にここまで感情が込み上げたのは久しぶりだった。この舞台、そしてこの場所に来られたこと。初めてのランボー・フィールドで、あのトンネルを抜けてフィールドに出る瞬間は最高だった。感謝しかない。仲間たちからは素晴らしいエネルギーを感じたし、自信に満ちた空気があった。全員が一つになって戦った。本当に粘り強い、いい試合だった。ここにいられることに心から感謝している」
イーグルスもまた、新たなパスラッシャーを迎えられたことを喜んでいた。負傷者リストから復帰したDEノーラン・スミス、現役復帰を果たしたブランドン・グラハムと並び、再編されたディフェンシブラインの中でフィリップスは主役級の存在感を放った。
新戦力のデビューとベテラン勢の再集結が相乗効果を生み、イーグルスはあらゆる場面でパッカーズの攻撃を封じ込めた。アウトサイドラインバッカー(OLB)ジョシュ・スウェットとディフェンシブタックル(DT)ミルトン・ウィリアムズをフリーエージェントで失い、さらにスミスの負傷離脱も重なっていたが、伝統のディフェンシブラインは完全に息を吹き返し、今後への大きな期待を抱かせる内容を見せた。
「チームの力になれたことが何よりうれしい」とフィリップスは話している。
「俺にとって一番大事なのは、自分のエゴを持ち込まないこと。チームメイトやコーチ、ファンのみんなから信頼される存在になりたい。自分にできることは、与えられた役割を果たし、プレーブックを完璧に理解して、全力でプレーすること。1プレーごとに全身全霊で戦う。それが自分のスタイルだ」
この試合でパッカーズのクオーターバック(QB)ジョーダン・ラブは3回のサックを浴び、ドロップバックの40.5%でプレッシャーを受けた。ほとんど機能しなかったオフェンスはわずか261ヤードにとどまり、今季最低の7点しか奪えなかった。一方のイーグルスも今季最少得点に終わっているものの、フィリップスをはじめとする守備陣の奮闘で勝利をつかみ取っている。
フィリップスはフィールド上だけでなく、チームメートとの関係づくりでも好印象を受けているという。温かく迎え入れてくれたロッカールームのおかげで、新天地への順応も早かった。その中でも特に影響を与えているのが、現役復帰したグラハムだ。月曜日の試合ではスナップ8回の出場にとどまったが、フィリップスにとってすでに大きな存在となっている。
「B.G.は本当に最高だ」とフィリップスは言う。
「もう何年も前から知っているような気がする。あんなに楽しそうにプレーしている姿を見ると、この競技の原点を思い出す。ノーランも同じだ。ずっとフィールドに戻る日を待ち望んでいて、それがやっと叶った。ジャリックス(ハント)も素晴らしかった。全員が自分の役割を果たし、全力でプレーして、そして何より楽しんでいた」
試合開始から3回目のスナップで最初のタックルを記録したフィリップスは、その後も随所でビッグプレーを披露。中でも圧巻だったのは、第4クオーターでランニングバック(RB)ジョシュ・ジェイコブスを止めたプレーだった。試合後にジェイコブスが、イーグルスはこのプレーを読んでいたと語った通り、フィリップスとセーフティ(S)リード・ブランケンシップが第4ダウン残り1ヤードのランプレーを見事に止め、パッカーズの攻撃を5ヤードのロスとファンブルに終わらせている。
ヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニは「見てのとおり、彼は相手の攻撃を完全にかき乱していた」とフィリップスを称えた。
「試合を通して彼は常にアグレッシブに動き、ユニット全体が連携して素晴らしいパスラッシュを見せた。フォースダウンのプレーは、彼のフィジカルの強さを象徴している。練習での姿勢を見ても、どれだけ真剣に取り組んでいるかが伝わってくる。心からフットボールを愛しているんだ。努力を惜しまない。練習中も常に動き続けていて、少しでも上を目指そうとする姿勢がある。イーグルスでの初戦として、これ以上ないインパクトを残してくれた。映像を確認する必要はあるが、彼が良いプレーをたくさん見せてくれたのは間違いない」
ドルフィンズで4シーズン以上を過ごしたフィリップスは、2023年シーズンに守備コーディネーター(DC)ビック・ファンジオの下でプレーしていた。再びファンジオDCの指導を受けることになった今、フィリップスはマンデーナイトの試合でさっそくその実力を発揮した。
もちろん、この日活躍したのはフィリップスだけではない。ハント、DTジェイレン・カーター、コーナーバック(CB)クインヨン・ミッチェルなど、多くの選手が素晴らしいパフォーマンスを見せた。2021年ドラフトでドルフィンズに1巡目指名されたフィリップスは、まるで以前からこのチームにいたかのように、自然にイーグルスへと溶け込んでいる。
QBジェイレン・ハーツもこう語る。
「彼はチームに完璧にフィットしているように見えた」
【R】



































