ジェッツとECACが米国最大の大学女子フラッグフットボールリーグを発足へ
2025年12月03日(水) 14:29
アラバマ州バーミンガムで育ったクインシー・ウィリアムスは近所の仲間たちと共に、走り回れる場所があればどこでも集まってフットボールをして遊んでいた。
そのウィリアムスは現在、ニューヨーク・ジェッツでプレーするラインバッカー(LB)として子どもの頃の夢をかなえ、現在そのフィールドで遊んでいる子どもたちの模範となっている。そして女の子たち――いずれは自分の娘も――がフットボールをプレーできる機会が増えていることに、ウィリアムスは胸を躍らせている。
「子どもの頃、自分たちと一緒に7対7のゲームとかをやりたがっていた女子がいた。ここまで発展したのを見ると、本当にすごいことだ」とウィリアムスは語った。
現地2日(火)、ジェッツとイースタン・カレッジ・アスレチック・カンファレンス(ECAC)が来年2月に国内最大の大学女子フラッグフットボールリーグを立ち上げると発表。このリーグには、ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、メリーランド、オハイオ、バージニアの各州から、ディビジョンIからIIIの大学15校が参加する。
ジェッツが米国内外で進めてきた女子フラッグフットボールリーグを支援する取り組みに深く関わってきたウィリアムスは「そのチャンスをつかみ、実際に試合をするという大きな一歩を踏み出すことこそが、この大学リーグを創設することで示したかったことだ」と語り、こう続けた。
「そして、これが単なる構想ではなく、実現可能なものだと人々に知ってもらうためでもある」
「そうした女の子たちや若い世代に機会を与えることもできる」
ジェッツのオーナーであるウッディ・ジョンソンはベティ・ウォールド・ジョンソン財団を通じて、女子フラッグフットボールリーグの創設と運営を支援するために100万ドル(約1億5,564万円)を拠出している。参加校にはそれぞれ、装備やユニフォーム、コーチの給与、遠征費などの負担を軽減するための助成金が支給される。
ECACコミッショナーのダン・クーナンは「それは非常に大きなことだ。まさにゲームチェンジャーだ。それがなければ、これは実現しなかっただろう」と述べた。
ジェッツが女子フラッグフットボールを支援し始めたのは2011年だ。当時、ジェッツはニューヨーク州の高校の代表チームレベルでリーグを立ち上げるのを支援した最初のNFLチームとなり、それ以来、イングランドやアイルランドを含む世界各地で260以上のチーム創設をサポートしてきた。
ジェッツのコミュニティ・リレーションズ担当副社長を務めるジェシー・リンダーは「結局、これは単純に女子フラッグフットボールの分野で私たちが取り組んできたことの次の段階だった」と話している。
「彼女たちにとって次のステップは何か? どうやってプレーの機会を提供するか? 高校とオリンピックや国際大会の間にはギャップがあることも見えていた。だから、大学レベルの枠組みが最も理にかなっていたのだ」
リンダーとジェッツは、同じく大学レベルでこのスポーツに空白があると感じていたクーナンに連絡を取った。クーナンはその時点ですでに、どのNFLチームがECACに適しているかを確認するために各チームの事務所に連絡を取っていたと明かしている。
「電話の向こうで最も切迫感があるように感じられたのは、ジェッツと話しているときだった。それはまさに理想的な組み合わせのようだった」とクーナンは語った。
2018年にECACのeスポーツプログラムを主導したクーナンは、女子フラッグフットボールリーグへの関心度を探るために同カンファレンスに加盟する全200校のアスレチックディレクターにメールを送付。
「10日ほどで、“参加したい”という返事が15件届いた」とクーナンは明かしている。
初シーズンに参加する学校の最初のグループには、アレゲニー・カレッジ、イースタン大学、フランシスカン大学、キーン大学、ロングアイランド大学、マーシー大学、マーシーハースト大学、モントクレア州立大学、マウントセントメリーズ大学、ペンシルベニア州立大学シュイキル校が含まれる。
残りの5校、コールドウェル大学、フェアリーディキンソン大学、ドミニカン大学、ユニオン・カレッジ、スウィート・ブライアー・カレッジは、2027年から参加する見込みだ。
リンダーは最初の4年間で少なくとも20校が参加することを目標としていると述べ、クーナンにもその数はすぐに達成できるはずだと言われたと明かしている。NCAAが1月に女子フラッグフットボールを“新興スポーツ”として承認するかどうかを投票で決める予定であることも踏まえ、両者は新リーグが大学スポーツにとっての青写真として機能すると考えている。
「これが物事を一気に前進させるきっかけになればと思う」とリンダーは語った。
レギュラーシーズンの試合は2月から4月にかけて、各大学のキャンパスで7対7形式で実施される。ポストシーズンゲームは将来的にメットライフ・スタジアムで行われる予定で、ジェッツは5月に自チーム施設でプレーオフトーナメントを主催する。
ジェッツのフラッグフットボールアドバイザーを務めるのはキャリー・ブラウンソンだ。2017年にニューヨークでスカウティングのインターンを経験したブラウンソンは、その翌年に女性として初めて、ダートマス大学でNCAAディビジョンIのフルタイムコーチとして採用された。バッファロー・ビルズとクリーブランド・ブラウンズでもコーチを務めた経験を持ち、今後はジェッツのフラッグフットボールアドバイザーに就任する。
NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは10月、初めてフラッグフットボールが正式種目として採用される2028年ロサンゼルス五輪に先立ち、NFLが“数年以内に”女子および男子のプロフラッグフットボールリーグを立ち上げることを計画していると明言した。
クーナンは「意欲も才能も常にあった」と述べ、こう続けている。
「ただ、誰かが“なぜやらないのか? なぜできないのか?”と少しのビジョンを持って言う必要があっただけだ。ケイトリン・クラーク(女子プロバスケットボール選手)が活躍し、それによって女子スポーツが再び大きな注目を集めている今こそ、完璧なタイミングだと思う」
「つまり、それに関わることは非常に意義深いし、かけがえのないことだ。私たちはそのために存在している」
記事提供:『The Associated Press(AP通信)』
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