コルツから連絡を受けるまでNFL復帰の「チャンスは過ぎ去った」と考えていたQBリバース
2025年12月11日(木) 12:52
インディアナポリス・コルツを立て直すために現役復帰を試みているクオーターバック(QB)フィリップ・リバースは、まるで時の流れに逆行しようとしているかのようだ。
2020年にコルツでプレーしたのを最後に、現役を退いていた44歳のリバースは、現地10日(水)に正式にチームと再契約した。リバースはヘッドコーチ(HC)シェーン・スタイケンとの関係と、組織に対するなじみ深さが現役復帰の決め手となったと明かしている。
リバースは水曜日に復帰について「理由は単純で、大好きなコーチと、本当に楽しく過ごした組織だからだ」とコメント。
「(ジム)アーセイ氏は2019年にうまくいかなかったことを受け、2020年に俺を信じてくれた。当時一緒にプレーすることができた選手はなんと、14人も残っている。トレーニングルームも、PR担当者も、用具室も変わっていない。彼らが自分を必要としてくれた。俺はそれを単純に受け止めようとしている」
ロサンゼルス・チャージャーズで16シーズンを過ごしたリバースは、2020年にコルツに加入し、チームを11勝5敗でプレーオフ進出に導いた。それは、コルツが最後にポストシーズンに進出したシーズンとなっている。
引退後、高校でコーチを務めてきたリバースは、復帰は考えていなかったと明言。しかし、日曜日にQBダニエル・ジョーンズがアキレス腱(けん)断裂で離脱したのを見て、スタイケンHCから連絡が来るかもしれないと思い始めたようだ。
「大好きだけど、もうプレーすることはないと思っていたゲームだ」とリバースは話している。
「またプレーできるなんて本当に思っていなかった。もうチャンスは過ぎ去ったと思っていたんだけど、何かが俺をワクワクさせた。そういうものだ。扉が開いたら、通ってみて確かめるか、そこから逃げるかだ。もちろん、何が起こるか分からないというリスクがあるのは分かっている。でも確かめるには挑戦するしかない。それにこれはまるで贈り物のように感じられたんだ。もう一度プレーして、仲間や自分の愛するゲームと全力で向き合える機会だ」
リバースが最後にNFLでパスを投げたのは2021年1月9日、プレーオフでのバッファロー・ビルズ戦だった。17年のキャリアを持つリバースの知力は疑う余地がなく、スタイケンHCのオフェンスに精通していることも大いに役立つだろう。しかし、これほど長いブランクを経たうえに44歳という年齢で、体力面で問題なく戦えるのだろうか。
「それもこれから分かるだろう」とリバースは語った。
「そう思う。厳しいことは分かっている。5年というのは長い時間だ。正直、それだけ時間があいたことは自分にも重くのしかかった。でも、これは長くプレーしてきたゲームであり、この5年間も関わってきたことだ。高校のフットボールが別物だってことは分かっているけど、ゲームにはずっと関わってきた。毎週日曜はコルツとチャージャーズの試合のほぼすべてのプレーを見てきた。それがNFLのクオーターバックとしてプレーする準備につながるわけじゃないことは分かっている。そこから程遠いことも分かっているけど、フットボールから完全に離れていたところから再開するわけではないんだ」
また、リバースは“48時間前”まで復帰についてほとんど考えていなかったと話している。スタイケンHCは44歳のリバースがリクライニングチェアから立ち上がってハドルに入るのは負担が大きすぎるかもしれないとの見解を否定し、次のように述べた。
「彼はフットボールの投げ方を忘れてはいない」
PCL(後十字靭帯/こうじゅうじじんたい)のケガを抱えるQBライリー・レナードが水曜日の練習に参加する見込みだと言及したスタイケンHCは、日曜日に臨むシアトル・シーホークス戦の先発を週の後半に決める予定だ。誰が先発となるにせよ、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の首位からわずか4週間でプレーオフ進出圏外まで転落した8勝5敗のコルツにとっては厳しい戦いとなるだろう。
今シーズン、優秀なクオーターバックさえも苦しめてきた守備コーディネーター(DC)マイク・マクドナルド率いるシーホークス守備陣に立ち向かうのは一体誰なのか? 膝のケガを抱えながら初先発するドラフト6巡目指名の新人選手か、それともほぼ1,800日ぶりにNFLでボールを投げる44歳の高校コーチか?
コルツは感覚を取り戻す必要があるリバースと練習生として契約した。リバースはアクティブ登録された場合、殿堂入り候補としての資格がリセットされ、少なくともさらに5年間待機することになる。プロフットボール殿堂2026年クラスの選考でセミファイナリストの26名に含まれているリバースは、復帰を決める際にその点はまったく考慮しなかったと語った。
リバースは「間違いなく、あの25人と並んで名前が挙がるのは本当に光栄なことだ」と話し、「でも、固唾(かたず)をのんで見守っているわけではないし、あと何年で殿堂入りできるかを数えていたわけでもない。もしいつかそのグループの一員になれたら、それは特別なことだ――それは間違いない。でも、その期間が伸びたとしても、それは自分の考えには影響しなかった」と続けている。
【RA】



































