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4INT後に浮上したQBハーツのベンチ降格論を一蹴するイーグルスHCシリアニ、「ばかげている」

2025年12月12日(金) 12:31

フィラデルフィア・イーグルスのヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニとジェイレン・ハーツ【AP Photo/Caroline Brehman】

NFLシーズンがクリスマスへと近づく中、現スーパーボウルMVPからは本来の輝きがまったく感じられない。

実際、フィラデルフィア・イーグルスのクオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツは深刻な不調に陥っており、ヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニはシーズン第15週を前に、ハーツが引き続き先発を務めることを明言せざるを得なかった。

『ESPN』が報じたところによれば、現地10日(水)にフィラデルフィアのラジオ局『94 WIP』に出演したシリアニHCは、クオーターバック交代の考えについて「そんな話はばかげている」と述べ、否定したという。

「ジェイレン・ハーツを先発クオーターバックに据えてフィールドに出るたびに、われわれには勝つチャンスがあると分かっている。それはこれまでに証明されてきたことだ。実際、多くの試合で勝ってきた」

「フットボールは究極のチームスポーツだ。勝つときも負けるときもチーム一丸だ。原因が一つだけということは決してない」

シリアニHCの言う通り、フットボールは究極のチームスポーツであり、シーズン終盤に苦しむイーグルスの現状はチーム全体で責任を分かち合うべきものだ。その中にはハーツも含まれており、ロサンゼルス・チャージャーズに22対19で敗れた月曜日の試合では、インターセプト4回とファンブルロスト1回を喫している。数字だけを見れば厳しい内容だが、イーグルスのファンが口をそろえるように、この試合の出来はこの1カ月間に見せてきたパフォーマンスと大きく変わるものではなかった。

イーグルスのオフェンスは停滞している。オフェンシブラインの負傷による入れ替わりの影響でランゲームは安定せず、豊富なパスキャッチャー陣を擁しているにもかかわらず、パスオフェンスも思うように機能していない。

ハーツはここ最近、リスクを取ることに慎重になり過ぎており、一般的にクオーターバックがパスを投げるまでに要する約2.5秒を大きく超えてフィールドを見渡す場面が目立つ。キャリアの大半において、投球までに時間をかけるスタイルは彼の武器だった。しかし近頃はそれが裏目に出ており、直感を信じるよりも完ぺきなパスを探し続けるあまり、時間を使い過ぎている。

その違いはマンデーナイトの第4クオーター終盤のように、イーグルスが追い込まれた切迫した状況でははっきりと表れる。素早くボールを動かすことを求められると、ハーツは本能的で才能あふれるクオーターバックへと姿を変え、自信を持って正確なパスを投げ込む。ワイドレシーバー(WR)のA.J.ブラウンやデボンタ・スミス、タイトエンド(TE)ダラス・ゴーダートら実力あるレシーバー陣を次々と捉え、クイックパスが大きなゲインへとつながっている。

月曜日の試合では、ハーツが1分17秒で34ヤードを前進するドライブを率い、キッカー(K)ジェイク・エリオットのフィールドゴールで同点に追いつき、延長戦へと持ち込んだ。さらに1週間前には、テンポを上げたアプローチの中で、5回のプレーで77ヤードを獲得したドライブの所要時間はわずか1分54秒だった。最後はブラウンへの33ヤードのタッチダウンパスでシカゴ・ベアーズのリードを1点差に縮めている。

問題なのは、こうした展開が常態ではなく、あくまで例外に過ぎない点だ。ボックススコアにインターセプト4回という数字が刻まれれば、クオーターバックの座を疑問視する声が上がるのも無理はない。

ハーツを擁護するなら、最後のインターセプトは彼自身のミスではなく、チャージャーズのコーナーバック(CB)キャム・ハートとセーフティ(S)トニー・ジェファーソンによる見事なディフェンスプレーの結果だった。

ランニングバック(RB)セイクワン・バークリーは「延長戦でボールを持ち、クオーターバックがジェイレン・ハーツであれば、試合に勝てると全面的に信頼している」と語った。

「時には、うまくいかないこともある」

もっとも、その言葉ですべてが帳消しになるわけではない。

多くのファンベースがクオーターバック不振の際に示す反応と同様に、フィラデルフィアでも一部からはタナー・マッキーの起用を求める声が上がっている。スタンフォード大学出身のマッキーは2023年ドラフトで6巡目に指名され、レギュラーシーズンで目立った存在感を示したのは、昨季第18週のニューヨーク・ジャイアンツ戦での、さほど意味を持たない勝利に限られている。

シリアニHCは、マッキーがオフェンスの問題を解決する存在ではないことを理解している。だからこそ、自らのプロセスを信じ、昨季にチームをロンバルディトロフィー獲得へ導いたクオーターバックへの信頼を揺るがしていない。

ただし、楽観論に見合う結果が伴わなければ、批判は今後も続くだろう。日曜日に控えるラスベガス・レイダース戦は、立て直しを切望するイーグルスにとって格好の一戦であり、シリアニHC率いるチームがその評価を覆せるかどうかが問われる。

「われわれはまだ成長できると分かっている。月曜日の試合でも、オフェンスには多くの良い点があった」とシリアニHCは言う。

「ディフェンスは素晴らしく、スペシャルチームも非常に良かった。そしてオフェンスにも良い部分が数多くあった」

「改善すべき点があることは分かっているが、あの試合を終えて前向きな気持ちになっている。誰も焦ってはいない。ただ、どうすればこの試合に勝つための最善の状況を整え、自分たちのベストなプレーをこの試合で発揮できるかを考えているだけだ」

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