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西地区対決に挑んだ3年連続AFC制覇のチーフス

2025年12月15日(月) 14:47

カンザスシティ・チーフスのトラビス・ケルシー【AP Photo/Peter Aiken】

現地14日(日)はカンザスシティ・チーフスにとって辛い1日となった。ホームでロサンゼルス・チャージャーズと対戦したチーフスは、16対13でこの試合に敗北。この敗戦によって、なんとか望みをつないできたポストシーズン進出の可能性を失っている。これにより、NFL史上2番目に長い連続記録となる10年連続プレーオフ進出の流れが断ち切られた。また、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームへの7年連続出場という記録も、ここで途切れている。こちらもリーグ史上2番目の長さとなる。

NFLの歴史に残る偉大な連続記録の一つが、ついに終わりを迎えた。

さらに同日、バッファロー・ビルズがニューイングランド・ペイトリオッツに、ジャクソンビル・ジャガーズがニューヨーク・ジェッツに、ヒューストン・テキサンズがアリゾナ・カーディナルスにそれぞれ勝利を収めたことも重なり、チーフスのプレーオフ進出の道は完全に閉ざされた。

チーフスは、同点の可能性を残してロングフィールドゴールを狙える位置にいながら、控えのクオーターバック(QB)ガードナー・ミンシューがインターセプトを喫し、3点差で敗戦。その瞬間、ポストシーズンからの脱落が決まった。ミンシューは、2ミニッツウオーニングの直後に強烈なヒットを受け、膝が不自然に曲がったパトリック・マホームズに代わって途中出場していた。試合後、チームはマホームズが左膝のACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂したと発表している。

チーフスがポストシーズンを逃すのは、アンディ・リードがヘッドコーチ(HC)に就任して2年目、9勝7敗で終えた2014年以来となる。

1週間前には、ヒューストン・テキサンズに敗れたことで、9年連続で続いていたAFC西地区制覇の記録も途切れていた。この連続地区優勝も、NFL史上2番目の長さを誇るものだった。

チーフスとマホームズがリーグを象徴する存在として君臨してきた時代に、ひとつの区切りが打たれたと言える。

2017年NFLドラフトで全体10位指名を受けたマホームズにとって、キャリアで初めてポストシーズンに出場しないシーズンとなる。長期のリハビリを控える中、先発クオーターバックとして本格的にキャリアを歩み始めた2018年以降、これまで一度もAFCチャンピオンシップゲームの延長戦以前に脱落したことはなかったが、今回はそれより早い段階でプレーオフ争いから姿を消すことになった。

キャリアで初めて自宅でポストシーズンを迎えるのは、マホームズだけではない。3度のオールプロ選出を誇るディフェンシブエンド(DE)クリス・ジョーンズ、プロボウルに3回選ばれているセンター(C)クリード・ハンフリー、ラインバッカー(LB)ニック・ボルトン、DEジョージ・カーラフティスらも同様だ。複数回のスーパーボウル制覇を経験してきた彼らは、1月に空のロッカールームを経験したことはない。その状況も、日曜日のチャージャーズ戦の敗戦で一変した。

チーフスが重ねてきた成功の数々が、いかに驚異的なものだったのか。その価値は、終焉を迎えた今だからこそ、より鮮明に浮かび上がる。

シーズン第15週の日曜日をもって、次の連続記録が途切れた。
• チーフスは、NFL史上わずか4チームしか達成していない3年連続スーパーボウル進出を果たしていた。
• カンファレンスチャンピオンシップゲーム7年連続出場は、2011年から2018年にかけて8年連続で進出したペイトリオッツに次ぐスーパーボウル時代歴代2位。
• マホームズのタイトルゲーム7年連続出場も、QBトム・ブレイディの8年連続に次ぐ歴代2位。
• チーフスの10年連続プレーオフ進出は、2009年から2019年にかけて11年連続を記録したブレイディとペイトリオッツに次ぐ。
• 7シーズン連続のプレーオフ勝利も、2011年から2018年にかけて8年連続で達成したペイトリオッツに次ぐ記録。

今後、チーフスがどのような道を進むのかは、このオフシーズンにフランチャイズのみならず、NFL全体に影響を及ぼす重要な局面と言えよう。

リーグ屈指のスターであり、将来の殿堂入りが確実視されているタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーは、昨季に去就を熟考した末に現役続行を選んだが、失意のシーズンを終えた今、引退という選択を下すのか。

さらに、67歳のリードHCが来季も指揮を執るかどうかも注目点だ。28回の通算プレーオフ勝利数は、ビル・ベリチックの31回に次ぐ歴代2位であり、カンファレンスチャンピオンシップゲーム制覇6回も同様に歴代2位を誇る。過去2度のスーパーボウル進出時にも引退に関する質問を浴びてきたが、次のオフシーズンはその声が一層強まる可能性がある。

この10年、チーフスは常にポストシーズンの中心にいた。直近7シーズンにおいては、スーパーボウル争いの主役であり続けた。その栄光の歴史は、アローヘッド・スタジアムで迎えた第15週の日曜日をもって、終止符が打たれた。

【R】