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悪夢のような1年目を経てもレイダースで「多くの試合に勝てる」と期待するQBスミス

2025年12月19日(金) 14:19

ラスベガス・レイダースのジーノ・スミス【AP Photo/Candice Ward】

オフシーズンのトレードでクオーターバック(QB)ジーノ・スミスがラスベガス・レイダースに加わったことで、チームの注目度は一気に高まった。

デレック・カー時代の終焉(しゅうえん)以降、オフェンスを成功へ導けるベテランQBがシルバーとブラックのチームに在籍するのは初めてのこと。さらに、スーパーボウル制覇の実績を持つピート・キャロルをヘッドコーチ(HC)に迎えたことで、レイダースはようやく見応えのあるチームになったはずだった。

しかし、そこから9カ月が過ぎ、現実はこれ以上ないほど厳しい。レイダースは2勝12敗でNFL最下位グループの一角にいる。スミスは肩の負傷で戦列を離れており、チームを取り巻く話題はキャロルHCの去就に集中している。

課題が山積する状況でも、スミスの姿勢は変わらない。現地17日(水)の取材で、「このチームで多くの試合に勝てると期待している」と、将来に対する前向きな思いを口にした。

『ESPN』によれば、スミスは次のようにコメントしている。

「それが今、俺たちが目指していることだし、1日や1年で何かが劇的に変わるわけじゃない。今年スーパーボウルで勝てたら最高だったけど、それが今の現実ではない。現実として、俺たちはもっと良くならなければならないし、日々の積み重ねに集中する必要がある。それ以外のことは、正直ナンセンスだ」

スミスが2025年以降もレイダースの構想に含まれている保証はない。獲得時にスミスは2年の契約延長に合意し、契約最終年を巡る不安を取り除くと同時に、35歳のベテランに対するレイダースのコミットメントを示す形となった。

もっとも、その契約はスミスとキャロルHCの体制が2025年以降も続くことを前提に結ばれたものだった。しかし、今季ここまでの成績は2勝のみで、直近14週では1勝にとどまる。その前提が揺らいでいるのも事実だ。

最大8,550万ドル(約133億1,748万円)規模のスミスの延長契約は、レイダースが体制を一新し、決別を選んだ場合でも財政面で大きな足かせにはなりにくい。新リーグイヤーに放出した場合、2026年のデッドキャップは1,850万ドル(約28億8,156万円)に抑えられ、トレード相手が見つかればキャップヒットは完全に解消される。

今季の不振を環境によるものだとレイダースが判断するなら、2026年もスミスと歩む可能性は残る。NFL最悪と評されるオフェンシブラインの後ろでプレーしながらも、2,648ヤード、タッチダウン16回、インターセプト14回を記録した点は、評価材料となり得る。一方で、新体制が発足すれば、すべてが白紙に戻る可能性も否定できない。

現時点で、スミスが気にかけているのは自身のコンディションだけだ。シーズン第14週のデンバー・ブロンコスに敗れた試合で肩を負傷して途中交代。その影響で第15週のフィラデルフィア・イーグルス戦も欠場した。レイダースは第16週にヒューストン・テキサンズの本拠地での一戦に臨む。

その一時的な離脱が、大局的な視点を曇らせているわけではない。スミスは、これまでのレイダースのパフォーマンスが受け入れがたいものだったことを理解している。そのうえで、自らが立て直しを率いる機会を与えられることを望んでいる。

「これが俺たちの成績だ。評価のしようもない」とスミスは語る。

「俺がコントロールできるのは、フィールドに出てフットボールをプレーすることだけ。自分ではどうにもならないことに目を向けて考え始めた瞬間に、集中を失う。だからこそ、集中し続ける必要がある。それが今、俺がやっていることだ」

【R】