チーフス、カンザス州での新本拠地建設に向けてアローヘッド・スタジアム離脱が濃厚か
2025年12月20日(土) 08:06
カンザスシティ・チーフスが州境を越える移転に向けた大きな一歩を踏み出すまで、あと数日という段階に近づいているようだ。最終的には、ミズーリ州にある長年の本拠地アローヘッド・スタジアムを離れ、カンザス州に新設される屋根付きが濃厚とされるスタジアムに移る見通しだ。
年末の期限が迫る中、カンザス州トピカで現地22日(月)に立法調整評議会が開催されることになっており、NFLフランチャイズを州内に誘致するため、スタジアム建設プロジェクト費用の最大70%を賄うSTARボンド(*)の承認について審議される。
【(*)編集部訳注:STAR/Sales Tax and Revenue債はカンザス州の自治体が大規模な商業、娯楽、観光プロジェクトの開発資金を調達するために債券を発行できる資金調達手段。債券の償還は、開発によって得られる売上税収入によって行われる】
チーフスとカンザスシティ・ロイヤルズはミズーリ州ジャクソン郡において、50年以上にわたって隣接するスタジアムを本拠地として使用してきた。しかし、両球団のリース契約は2031年1月に満了を迎える予定で、どちらも数年前から将来計画について検討を重ねてきた。
昨年、ジャクソン郡の有権者は、アローヘッド・スタジアムの8億ドル(約1兆2,000億円/1,200万万円)規模の改修と、ロイヤルズのためのダウンタウン・カンザスシティにおける20億ドル(約3兆円/3,000万万円)規模のボールパーク地区整備を資金面で支援する地方消費税延長案を大差で否決した。これを受け、チーフスとロイヤルズはそれぞれ別個の計画を模索してきたが、現在は両チームともカンザス州への移転に向けた機運が高まっているようだ。
ジャクソン郡の有権者は昨年、チーフスの本拠地であるアローヘッド・スタジアムの8億ドル(約1,245億4,327万円)規模の改修工事と、カンザスシティ中心部に20億ドル(約3,116億5,997万円)規模のボールパーク地区を建設する計画に充てられる予定だった売上税の延長案を否決。これを受け、チーフスとロイヤルズはそれぞれ個別の計画を模索してきたが、現在は両チームともカンザス州への移転に向けた機運が高まっているようだ。
チーフスの移転先として有力視されているのはカンザス州カンザスシティにある地域型ショッピングモールおよび商業エリア『The Legends(ザ・レジェンズ)』だ。この商業エリアにはスタジアムや複合商業地区を建設できる十分な土地があり、すでにカンザス・スピードウェイ、ハリウッド・カジノ、そしてMLSクラブ、スポーティング・カンザスシティの本拠地であるチルドレンズ・マーシー・パークといった主要施設が集積している。
また、州間高速道路70号線と435号線の交差点に位置していることから、交通の利便性にも優れている。
カンザス州商務省は声明で「カンザス州はカンザス州内での新スタジアムおよび関連施設建設の可能性について、カンザスシティ・チーフスと積極的に協議を進めている。最終合意には至っていないものの、実現すればカンザス州にとって極めて大きな経済的成果となり、将来世代のカンザス州民にも恩恵をもたらすだろう。我々はこの機会を全力で追求している」と述べた。
一方で、これはミズーリ州にとっては大きな損失となる可能性がある。同州は10年前にロサンゼルスに移転したセントルイス・ラムズを失っており、マイク・キーホー知事にとっても痛手だ。キーホー知事は6月、特別議会を支持し、新設または改修されるスタジアムの建設費用の最大50%を賄う債券発行、さらに各スタジアムにつき最大5,000万ドル(約77億9,149万円)の税額控除、加えて地方自治体からの詳細未定の支援を認める内容を承認していた。
ミズーリ州のこうした動きは、カンザス州議会が両フランチャイズ誘致を狙い、独自の債券パッケージを可決した後に出てきたものだ。
チーフスのオーナーであるクラーク・ハントは亡き父でありチーム創設者のラマー・ハントが愛したアローヘッド・スタジアムを改修することが最も望ましいと、長年にわたり語ってきた。しかし、屋内型施設を建設することで、アローヘッドでは得られなかった新たな高級席収入や、年間を通じたスポーツイベント開催といった収益源を確保できるようになる。
それは、ラマー・ハントのもうひとつの夢を実現することにもつながる可能性がある。スーパーボウル開催だ。
月曜日の立法調整評議会ではロイヤルズについて議題に上がる予定はないものの、州境越えの移転が否定されたわけではない。ロイヤルズをカンザス州オーバーランドパーク郊外へ移転させる案への支持は高まりつつあり、候補地としては、かつてスプリントの本社が置かれ、現在は複数企業のオフィスが入居するアスピリア・キャンパスとして知られる土地が挙げられている。
ミズーリ州側に両プロスポーツフランチャイズを引き留めようと尽力しているカンザスシティのクイントン・ルーカス市長は木曜夜に声明を発表し、市は公の場で交渉を行わないと述べた。
「市およびミズーリ州のパートナーが、チーフスおよびロイヤルズという長年のパートナーと協議を続ける中で、われわれは地域社会の最善の利益、そしてフィールド内外における両チームの最大限の成功を実現するための合意に向け、揺るぎない姿勢で取り組んでいく」
記事提供:『The Associated Press(AP通信)』
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