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ブロンコス、HCキュービアックが辞意を表明

2017年01月02日(月) 12:04

デンバー・ブロンコスのゲイリー・キュービアック【Al Messerschmidt via AP】

デンバー・ブロンコスのヘッドコーチ(HC)ゲイリー・キュービアックは2016年2月7日、サンタ・クララにて行われたカロライナ・パンサーズ戦でHCとしてキャリア初のスーパーボウル勝利を飾った。

それから1年と経たぬうちに、キュービアックは自らの意志でフィールドから退くことを決意。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが伝えたところによると、キュービアックは現地1日(日)に行われたオークランド・レイダース戦を終えて、チームに辞意を表明したという。彼は日曜午後、記者に対して数回に渡り、月曜日には進退について公表すると発言していた。

今シーズンのキュービアックは複合性偏頭痛に悩まされて入院も経験している。ヒューストン・テキサンズのHCとして活躍していた2013年には一過性脳虚血発作を起こして病院に緊急搬送されもした。今回の動きは彼の健康問題に大きな要因があると考えられている。これによって、ブロンコスは得意のHC探しをまた始めることになりそうだ。ラポポートは、マイアミ・ドルフィンズの守備コーディネーター(DC)バンス・ジョセフの名前が次期ブロンコスHC候補リストに挙がっていると伝えた。

ブロンコスのHC職に多くの応募が集まるのは言うまでもないだろう。

スーパーボウルでも通用したブロンコスの守備陣は今シーズン、いくらかの変化を余儀なくされたものの、中心選手はいまだ健在である。NFLの中でもラインバッカー(LB)ボン・ミラーは圧倒的な存在感を誇り、試合の流れを変える力を持っている。また、有能なコーナーバック(CB)のクリス・ハリスやブラッドリー・ロビーなどもチームに残っている。現在のフットボールでは、攻撃陣が戦略もなしに自ら勝手に動き出すことはほとんど不可能であろう。しかし、それに近いことができるとすれば守備陣だ。彼らは自分たちの力で試合を作ることも可能である。

また、ブロンコスの攻撃陣にも光は見えてきている。クオーターバック(QB)トレバー・シーミアンが見せた好プレーや、2016年ドラフト1巡目指名のパクストン・リンチの存在も大きく、攻撃陣に関して次期コーチが恐れることはないと言えよう。故障者の多発で苦しんだブロンコスは来季、チームが誇る最強のWRコンビと共にランゲームで相手を支配する。チーム再建もそう難しい仕事ではないはずだ。

毎年必ず、HCに関しては驚きの人事がある。HCとして第50回スーパーボウルを制覇し、アシスタントとしては第29回、第32回、第33回を制覇したキュービアックについてもそうである。そんな彼でも、選手としてスーパーボウルに出場した際には1度も勝利を手にしていないというのも面白い話だ。彼の独特な攻撃スタイルはNFL史に1ページにしっかりと刻まれるだろう。とりわけ、昨年度の第50回スーパーボウルは見事だった。昨年は守備コーディネーター(DC)ウェイド・フィリップスの功労が大きかったのは確かであるが、理想的とは言えないQB陣の状態で、指揮をうまく執ったキュービアックは称賛されてしかるべきだ。NFL史上最高のQBとまで言われたペイトン・マニング主導の攻撃陣に絶妙な修正を加えたのである。

55歳のキュービアックはHCとして、これまでに82勝75敗の成績を収めている。